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ハコヅメ・殿、利息でござる!

最近面白かったもの

 将来について考えることが多くなっているので、お仕事系の小説、漫画、映画などなどを見ることが多くなってきた近頃である。結局、お話に夢中になってしまい考える材料になっているのかは不明だが知らなかった世界を知ることができているとは思う。

ハコヅメ

 その中でも一番好きで追いかけているのは『ハコヅメ』という漫画だ。基本一話完結でたまに複数話のお話がある。作者の泰三子さんは漫画家になる前は実際に警察官として働かれていた方で、インタビューからして一線を画している気がする。ほかの漫画家のことはよく知らないけれど。

 魅力的な点はググると一番目に出てくるのは「パワーワード」だそうで、実際そうだと思う。セリフが端的で、シュールな現実を面白おかしく伝えてくれる。警察官の仕事は非常事態が多い分、冷静になってみると「おかしくね」的な状況が多いのだろうか。

 登場人物たちもリアルにいるかのようである。ちょっとした失敗や抜けているところも、「パワーワード」と相まって、友達の失敗談のような、気安く見れる。『相棒』や『教場』のような、ピリピリしているものを積み重ね、クライマックスでカタルシスを得るタイプよりも、コメディよりな『踊る大捜査線』の日常パート的な面白さだと思う。しかも『踊る大走査線』ほど臭くなくあっさり系でそれが逆に、自然な感動につながっている。

 警察官の仕事は、意外と普通の人が志を秘めて、坦々と日々の非日常と向き合っていくものだと思った。アプリで一通り無料で読んでしまったが、勢い余ってkindleで買ってしまった。それくらい好きなのである。

殿、利息でござる!

 早速、お仕事モノとは外れる。藩主の浪費が原因でお金がない仙台藩は「伝馬役」となっている吉岡宿にお金を出さない。「伝馬役」の負担は大きく吉岡宿は夜逃げも多発し、このままでは滅びてしまう。村の有力者たちは、「伝馬役」の負担の代金を藩にお金を貸すことで生じる利子で賄おうと画策する。そのたくらみはたくさんの人を巻き込んでいく。

 現実にこんなに人に尽くすということがあるのかと思った。フィクションで滅私奉公の話をしても、キャラクターありきの自己犠牲になり、前も見たこの展開となってしまうことが多い気がする。「現実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、現実はもっと複雑で何人もの見えないものが物事を動かしている。そういうものをまずは感じ取れる感受性を身に着けたいと思った。

 今年のクリスマスイブは初めて一人でゆっくり過ごしたのだが、忘れられない思い出ができた。『殿、利息でござる!』を見ることができたのである。行事やら合宿やら仕事に追われたりしたら、一人で映画を堪能するなんて一生できないかもしれない。全然寂しくなかった。

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