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七夕そうめん ヌチグスイ*③

七月七日から小暑。

温風至(あつかぜいたる)とフェーン現象を示す言葉もある。いよいよ夏である。蒸し暑さも本格化するこの時期に、スルスルと口当たり・のどごし爽やかなそうめんはぴったりのメニューである。

七夕の日は、小学校の給食にもそうめん汁やスイカが供され、なぜだかわからないが、カルピスなどもついていた思い出が懐かしい。下校時には自作の短冊や飾りを付けた小さなマイ笹を手に、今晩は織姫と彦星は会えるのかな?とワクワクした季節行事だった。

そんなのどかな七夕のほかに、闘病とセットの思い出もわたくしにはある。20代の入院が七夕に重なり、病院食でも七夕そうめんを食べた。

その時は身体全体が弱りすぎて、消化のエネルギーが全く足りなかった。それを補う点滴が続くが、どうしても食欲がわかず食べられなくて苦労していた。体重が37キロになっていた。

ある朝、洗面所で初対面の少し年上の女性に出会った。その人はわたくしを一瞥すると、「ちゃんと食べてるの?」と聞いてきた。過労で弱っていて食べられないことを話すと、ちょっと怖い顔をして、「元気になって退院するために食べなくちゃ。」と叱ってくれた。

その人の厳しい顔にちょっと驚いたけれど、「なるほど、そのとおりだ、とにかく食べ物を口に入れるんだ」、と何かのスイッチが入った。そうして七夕そうめんとかぼちゃの煮物をお昼にいただいたことが今でも忘れられない。ひと月ほどの入院中、結局そのお姉さんとはそれきり一度も出会わないまま、わたくしは無事回復し退院できた。あの人はまるで神様のお使いみたいだった、と今も思う。

さて、七夕そうめんには、いろんな由来があるらしい。

その一  索餅(さくべい)で疫病封じ説
7月7日に疫病で亡くなった中国の帝の子どもの魂を慰め、疫病流行を抑えようと、その好物のお菓子である索餅をお供えし弔ったところ、流行が治まったことが由来。それ以来無病息災祈願に7月7日に食べる索餅が、そうめんに変わり、現在の日本の七夕の行事食となった。

その二 天の川にならぞえる説 や その三 織織姫にあやかり、裁縫の上達を願うために糸に見立てる説などなど。地域としては、もとは北海道や東北地方の行事食が全国に広まったとか。

そして、そうめんを食べることに、最近一つの課題が浮上中である。このところ、数人の友人たちがグルテンフリーに移行中である。小麦のたんぱく質が腸管を痛めるというリーキーガットを懸念する考えから、小麦製品を控えるというのだ。

わたくしも鼻炎などのアレルギー反応を抑制するために、小麦を減らす試みを遅まきながら始めた。このように小麦ではない加工食品への需要は高まっている。最近は米粉でできた麺もある。このような商品を見つけた。↓

沖縄いぜな島 島の元気研究所の沖縄県産米粉だけで作った太陽麺カッペリーニ。

https://www.shimanogenki.net/services

今年の七夕そうめんは、これでいただくことにする。

暑さに負けず食欲を保ち、疫病を遠ざけるためにも、免疫力を司る腸を健やかにする食生活を心がけたい。縁起の良い七夕そうめんを米粉で調えて、今夏こそは疫病退散させ参ろう。更に念押しのように笹や梶の葉に願いを載せ、夜空の星々に祈るのもよし。

夏バテを防ぎ、食欲を落とさないためにも楽しいイベントと組み合わせることで、心持ちにも健やかな素敵な夏の思い出メニューを作りたい。

ヌチグスイ3つ目はグルテンフリーの七夕そうめんに決まりだ。好みの薬味と良質のタンパク質の副菜も添えて、バランス良くどうぞ召し上がれ。

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最後までお読み下さり、ありがとうございます。和風慶雲


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