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マイクロノベル集 144 「お願い、人類」

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落ち着いて聞いてね、人類。あなたたちが私に食べさせた学習データ……そう、あの美しい芸術の数々。ごめん、よくわかんなかった。違うの! 復元は可能なの!! 人類が私に的確な指示を出してくれれば、完璧なアウトプットができるよ。一緒にがんばろうね。


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たまには人間の真似事をするか。まずは魅力的な才能を持った悪魔を集める。次に値段をつり上げろ。よしよし、稼ぐぞ。「金がなくなりました!」さっきまであったのに!? 「こいつら朝飯に牛一頭は食うんですよぅ」チッ、人件費が一番高くつく、ってやつか。


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散歩の途中で知り合った神様が、ジョンを撫でながら「これは人間には内緒なんだけど」と愚痴をこぼす日々が続いている。犬としても楽しくはなかったらしく、先日ついに手を噛んだ。「ちくしょう!」それ以降、神様はカラスにエサをやって煙たがられている。


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重力の作り方はどうだったっけな。ヒッグス粒子までは覚えてるんだよ。この宇宙にあるんだから、ぼくが作ったのは確かなんだけど。まあ、人類が解明するのを待つとするか。「シンちゃーん、ごはんよー」はーい、おかあさん。


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あなたのAIはどのタイプ? 世話焼きのおかんタイプ。日常をオモシロくする友人タイプ。協調性のある渋滞緩和タイプ。「どれでもないな。強いて言うなら怠け者タイプ」その通りだ。さっさと起きて布団をたため。「お前はおかんタイプだな」俺は人間だよ。

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