見出し画像

マイクロノベル集 137

956
「ファンです。サインして下さい!」ははは、悪魔にその手は通じないぞ。奇妙な契約をする気だろう? しかしその祭壇、なかなかに凄いな。俺の過去の偉業をよくもまあこれだけ集めたものだ。悪魔学校の卒業文集まで……なにが望みだ!? 「サインして下さい!」


957
猫はどこだ。必ずや猫を見つけなくては。わたしは自走式猫じゃらし。猫と遊ぶことこそが存在理由。風に吹かれて気ままに暮らすなど許されない。「あ、こんなところに猫じゃらしがある」幼子よ、そんな力一杯に振るな。うわああ、猫の幻覚が見えるううう。


958
「並べ」え、どうして? 「いいから並べ」縦? 横? 「横一列だよ。早くしろ。山からあのお方が来られるぞ」誰? 誰が来るの? ぼくならもう来てるけど? 「お前は何様だよ……あっ、いつもお世話になっております」いえいえ。


959
昔々あるところに、お爺さんとめでたしめでたしが住んでいました。お爺さんが気に入って冒頭に連れてきたのです。めでたしめでたしは結末に戻りたい一心で旅に出ることを決意しました。しかし、そうは問屋が卸さない。旅立つ前にめでたしめでたし。


960
もしかして俺たち、入れ替わってるー!? 魂とか体じゃなくて、眠気が!! あなたが眠い時は私が眠くて。お前が眠い時は俺が眠い。どうしようどうしよう。……あまり困らなくないか? そうだね。とりま明日はテストがあるから、コーヒーを飲み続けてくれる?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?