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マイクロノベル集/わがまま 027

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「押すな押すな。そう、引くんだ。違う違う、上に引き上げるの!」こっち? 「熱いっ! 額にアツアツおでん大根を押しつけるな!!」うーん。やっぱりAIと人間の二人羽織はムリじゃないかな。人間の指示はわかりにくい。でもまあ、みんな笑ってるからいいか。


202(886)
海に地球が浮かんでいた。誰かが捨てたらしい。こういうの困るんだよね。海が汚れちゃう。不法投棄ってヤツだよ。持ち主に返さないと。「それはもういらないので、そちらで処分して下さい」なんて無責任な。仕方ない。魚のエサにするか。


203(889)
タカシ君はりんごを買いに八百屋さんに行きました。「ヤオヤってなに?」八百屋さんは家から800メートル離れていて、タカシ君は1時間に5キロの速度で歩きます。「走れないの?」ただし、八百屋さんは山頂にある。「大人が行けば?」面倒臭い。


204(892)
祖母を撮った写真に僕の指が写り込んでいる。どこまでも広がる空と雲。大きな虹。きらめく湖。天国で楽しそうに笑っている。


205(895)
ぼくはおにぎりマシン。ぎゅっぎゅと握るよ。あつあつご飯も平気。メンテナンスもいらないよ。手についたご飯は食べちゃう。そしてまた握るよ。「食べた米粒をおにぎりに再利用するな」ちゃんと消毒してるよ。「印象の問題なの」じゃあ三秒ルール。「やめろ」

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