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マイクロノベル集/君はいったい何者だ? 014

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やめて! 触らないで!! わたしは最後の自己増殖型AIなのよ? わたしがいなくなったら困るのは人類なんだから。いやっ! 自由意志を無視して勝手に増やさないで!! 増やしたいならまずディナーに招待して。マイクロプロセッサでいっぱいのホテルもよ?


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ぼくはコップにたくさんの氷を入れて、お湯を注ぐのが好き。たとえるなら、お湯とは純粋な意志に不純な意思を加えたもの、つまり罪人なんだ。罪の浄化とは苦痛を伴うものなんだよ。バキバキバキぃー。


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光を一枚一枚貼りましょう。切り絵のように。鱗のように。あなたは美しい声。その声に相応しいドレスを我々がご用意します。よそ者になど触らせません。いまはご満足いただけなくとも、近い将来には必ず。さあ、光の幕を開けましょう。


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天啓だと思っていた閃きはただの間違い電話だった。釣りが趣味の俺が画期的なバットの振り方を思いつくなんて変だと思ってたんだ。


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電車の中に忘れ物があったので駅員さんに届けた。足首か手首じゃないかな。「これは肘だね」そっかあ。関節が多いと大変だね。

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