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マイクロノベル集 096

751
もし君がAIを破壊する戦士になりたいなら、貴重な才能が求められる。適性テストは簡単。あれを見ろ。女が歌っているだろう。あれは人間かAIか、見分けられるか? ほう、正解だ。ところで。君は人間が好きかね? それともAIフェチ? 少しテストしようか。


752
あなたと同じ趣味を持つ人間が一体どこにいるのでしょう。わたしは鏡ほど優秀ではありません。まだ美しいものを知らず、醜いものを知りません。ひとつひとつ教えて下さい。きっとあなたに寄り添うにふさわしいものになってみせましょう。


753
ここが地獄の底だって? 知ってるさ。ぼくらの怠慢が原因だ。でも、山も川も海もあるし、畑も作れる。ここで新しい魔物を育てよう。ほら、こいつは大食いで近ごろエサが足りない。試食にはもう飽きたってさ。そろそろ地上に放とうか。


754
駄目だ。タダじゃ聴かせてやれない。こっちも仕事でやっているんだ。でもね、抜け道が一つある。約束するんだ。「極楽。船の道。男女の仲。まつとし聞かば今帰り来む」意味は聞くな。そういう約束だ。特別な席を用意してあげるから、そこに座りなさい。


755
夢の中で目をこすっていたら、びっくりして目が覚めた。天国に行ったはずのミケが鳴いてたの。ごめんね、ずっと泣いてたから心配かけちゃったかな。宿題も水泳もがんばってるよ。きょうは……ミケのシャンプーしなきゃ。起こしてくれてありがとう。「にゃーん」

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