おまえは自分をしるために言葉をつづれ

よくきたな。おれはバンデラス・デ・サザンクラウドだ。
きのうしょうもない値落ち話で逆噴射氏のパロディな題名をメキシコでたれ流した南雲とかいうこしぬけは、うっかり入った酒場でミルクしかのめず、ゴロツキに撃たれてしんだので今日はいない。だが明日は分からない。メキシコの荒野はかこくだからだ……。

(編集部より:本日は逆噴射聡一郎氏の文体を元にして提供しております)


その物体はなんのためにある

もしもおまえがスマッホンやパソでネットの海をサーフィンし、このメキシコの片すみに置かれた石碑にたどりついたなら。まず一度かんがえろ。
おまえの手元、眼前にあるぶったいはそんなサーフィスな行為のためのものか? 違う。その物体はかこくなメキシコを生きのびるためのGUNだ。おまえはトゥイッターアーをしているか。そのトゥイッターアーは別におまえにおっぱいだのネコの鳴きマネだのをツイットさせるためにそんざいしていない。そのザマでは情報の海におぼれ、スマッホの予測変換や薄味のコロナにまみれてブシェミじみてしぬ。END・OF・MEXICOだ……。
それがいやなら銃にかえろ。言葉をつづれ。おまえのことばは未熟かもしれない。だがそれはおまえがメキシコ空港に降り立ったばかりのよちよち歩きの赤子だからだ。なんどもなんども銃を撃ち、あきらめずにいきていけば。いつかはジャステン・ベーバーとかに10000000RTされてビッグマネーを起こし、雑誌の裏に札束とHOTなベイブをはべらせた肖像を残せるかもしれない。タフになれ。


おまえはおまえをしっているか

赤子でこしぬけなおまえは言うだろう。
「そんなことをいわれても銃の撃ち方なんて知ってるわけがないじゃないか」
ふだんならおれは気が短いからおまえを撃ち、その足でコロナをせしめて飲み干すところだ。だがこんかいは南雲のやつが万札をさしだしておれに書けと言ってきた。だからというわけではないがかくことにした。
おまえがメキシコ港に足をおいたとき、おまえは武器を確認する。武器をかくにんしなければメキシコさばくで道にまよい、やがてブシェミじみてたおれるからだ。
おまえの武器はなにがある? GUN。鞭。カタナ。きんにく……。なんでもいい。とにかくピックアッポしろ。ささいなことでもかまわない。その気づきがおまえをメキシコでタフにする。おまえがしっているおまえを、とにかく絞り出してならべてみろ。そこに、メキシコを泳ぎぬくかぎがある。

「こまった。なにもないよ。あっちのマッチョマンのような筋肉もないし、こっちの蛮人コナンのような生き方もしたことがない」
そういうこしぬけもいるだろう。
ビッグマネーのサクセスや、マリアッチな生き方……そういうのに焦がれてメキシコに来るブシェミじみたれんちゅう。そういうやつを、おれは何人もみてきた。
だがビッグMoneyのSUCCESSやダニー・トレホの生き様は一晩で手に入らない。もしもそういう文句のボロボロのチラシが、風に乗っておまえの乾いた肌に張り付いても、おまえはそいつに飛びついてはならない。飛びついたら最後、意地汚いシャークどもに骨まで食われてしぬ。それはタルサドゥームのわなであり、ブチョのてしただからだ。メキシコさばくではそういうやつから先に消えていく。おまえには今、ハートとボディとブレインしかない。タフになれ。


ボディがあればブチョの手下は殴れる

おまえは、おまえが身一つでメキシコにきてしまったこしぬけのデスペラードだと理解した。だがブチョの手下になさけはない。おまえをたやすくなぐり殺し、街角でコヨーテの餌にする。そしておまえは誰にもかえりみられることなく、メキシコのかわいた空気の中で風になる……。
それがいやなら話はかんたんだ。そのボディについているのはなんだ。手足だ。保護されたうすぎれいな食事や、インターネッツにまみれた生活でぜい肉だらけのその体にも、そうなったれきしがあるだろう。タルサドゥームやブチョの手下、きれい事ばかり言うあほや予測変換にのみ込まれてきた、おまえだけの歴史があるはずだ。
それを思い出し、吐き出してしまえ。恨みをぶちまけて殴りつけてもいい。おれはなにもおまえにきれいなものを書けと入っていない。まずはとにかく手足を振り回せ。奴らを近づけなければいい。それがメキシコでの第一歩だ。
そうして繰り出したものを並べたとき。おまえは自分をしる。

なににニューロンのスパークや化学物質の弾けるような感触を味わい、なにに温いコロナのような無意味さや無味乾燥な荒野を思いうかべるか。
どう行動したときにナイトフィーバーを得、どう行動した時に奴隷バーを足かせ付けて回すような無意味さをえたか。
そういうものに気づき始める。そうしたらそれも記してしまえ。それがおまえのGUNだ。それを続けたとき、やがておまえには道がひらけているだろう。


この文章を見ておまえがなにを思うか。おれはそれを矯正しない。要求もしない。おまえの魂は自由であり、命令によって動かされるのはブチョの手下でじゅうぶんだからだ。
おまえはここから自由で無限な荒野に旅立ち、ギラついた太陽に照らされて歩いてもいい。

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