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句を読む―月が出た出た、月が出た

キムチより朱き汁出て月が出て

小川春休『銀の泡』

「月」は秋の季語らしい。十五夜のように、秋は月が特に輝いて見える季節だからだろう。季語というのは、そのものが特に美しい時期を教えてくれるんだなぁ。

輝く秋の月を「キムチ」と合わせるのが面白い。
「朱き汁出て月が出て」というセンテンスは、炭坑節の「月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)」を連想させる。
「炭坑節」は、福岡県の盆踊りの唄。戦前から東京方面でも流行って、坂本九が歌ったものはアメリカでも発売されたらしい。

秋の夜長、台所で酒の肴にキムチを用意する。炭坑節を口ずさむ。
そんな心愉しい情景が浮かぶ。

(小川さんの句集『銀の泡』はAmazonで正規の取り扱いがありませんでした。かわりに小川さんが所属する「童子」の主宰・辻桃子さんの著作を貼っておきます)

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。
Amazonアソシエイトリンクは、取り上げた作品が収録された句集・歌集が分かればそちらを貼っています。分からなかったときは私が読んでいるアンソロジー本のリンクにしていますので、こちらもご覧ください。


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