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句を読む―よそのお家は

きみんちのわけわかんない秋はじめ

佐藤文香 編『天の川銀河発電所』より
「中山奈々」

秋はじめ、うちにはあるだろうか。
オーソドックスに夕飯にサンマが並ぶと「秋が来たなぁ」と思うけど、この句のように「わけわかんない」ではないなぁ。

ガーデニングが趣味の母には、きっと「秋はじめ」がたくさんあるのではないだろうか。この花が終わったら秋、葉っぱの水分が減ってきたら、この虫が減ったら。植物と関わるのは季節に敏感になることでもあり、俳句向きの趣味だなぁと思う(母は俳句に興味がないですが)。

よそのお家の慣習って、だいたいわけわかんない。友達であっても、なんなら叔母の家、いとこの家であってもそうだろう。

江國香織『流しのしたの骨』は、家庭の行事をとにかく大切にする家族のお話だ。誰かの誕生日、クリスマス、お正月など、イベントごとをきちんと行う。あのお家なら「わけわかんない秋はじめ」がありそうだなぁ。

(中山さんの句集というものはないようなのですが、こちらの本に寄稿しているみたいです。面白そう…!)

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。

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私が読んでいるのはこちらのアンソロジーです。


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