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サラリーマンを辞めて起業したわけ vol.2「加工食品の裏側」

◾️独立のもう一つの理由とは

中学、高校の3人の子供と妻を抱えて、
独立しようとした理由がもう一つあります。

私は大学を出てから、冷凍食品メーカーに22年在籍していました。
業務用専門メーカーでしたので、
お客様と「売れる商品を一緒に作り上げる」メニュー開発の仕事です。
最後の4年間は、東京で大手のコンビニやスーパー惣菜の担当部長でした。

◾️売れる新商品の開発

ここで、先方のバイヤーと新商品を開発するのです。
大手になると、関連メーカー(お米、パン、パスタ、ソース、サラダ、冷凍食品、包材など)の開発担当とチームを組んで、お弁当やおにぎり、調理パンなどの新商品を話し合いながら開発していきます。
大手コンビニの場合は、各メーカーのトップクラスの開発担当と議論を繰り広げます。

テーマ、対象(性別や年齢層は?)、時流、流行に合っているかなど、なぜこれが売れるのか?を、理由づけしていきます。
この経験はとても勉強になりましたが、売れる新商品の企画書は大変な仕事でした。

◾️販売価格と原材料

たたき台の商品が出来ると、ターゲット層のお客様を何名か呼び、
モニターをかけて意見を拾います。
味、見た目、価格、トータルバランス、買うか買わないか、どうして買おうと思ったか、または買わないと思うか、などなど…

そこで大抵引っかかるのが、「価格」です。
「もう少し安ければ買いたくなる。」それがお客様の声です。
そしてここからが、メーカーの本番といえます。
いかに同じ味で安く出来るか
・あと◯◯円価格を下げて欲しい
その声に答えられるメーカーが採用されるのです。

味を近づけて安くするには、原材料のコストを下げるしかありません。
安い原材料を探すのです。
同じレベルのもので安いものが見つかれば良いのですが、
なかなかそうはいかない。

そこで、安い(品質の低い)原材料に食品添加物や着色料を使い
同じような味や食感を出す
のです。

これがメーカーの技術といっても良いでしょう。
簡単にいえば、いかにごまかすか。
これをやらないと他社に取られてしまう。
売上を取るために必死で開発します。
気がつくと大量の食品添加物が入るわけです。

◾️安全基準とは?

さらに、コンビニの安全基準というのがあります。
「食中毒対策」です。

お弁当、おにぎり、調理パン、レジ横のホットケース商品は
傷みやすい商品なので、食中毒の危険性があります。
食中毒が一店舗でも出れば、
一気にイメージダウンとなり、会社の経営にも関わります。
その為、販売する側の安全基準があるのです。

それは
お弁当、おにぎり、ホットケース商品は
 30℃で48時間(2日間)置いても食べられる
調理パンは
 30℃で72時間(3日間)置いても食べられる。

この基準を満たさない商品は使わないという基準です。

◾️真夏でも大丈夫!

30℃ですよ、真夏の昼間の気温。
この温度に2日、3日置いても大丈夫!

おかしいでしょう!

コンビニでこれらを買って、
車の中に放置したまま忘れていても、大丈夫という最悪のケースを想定して基準を決めているわけです。

2004年までは保存料(防腐剤)を使っていました。
ところが、これは消費者に印象が悪いと、自主的に使用禁止になりました。

そこで代わりに使っているのが、
「pH調整剤」「酢酸ナトリウム」「グリシン」です。
これらで少し酸性にして菌を繁殖しにくくしています。
安全基準は同じです。量的には保存料よりも多く使う印象です。

◾️ヒット商品を開発も嬉しくないわけ

このような環境下、大手コンビニである調理パンを一緒に開発し、
その商品が爆発的なヒットをしました。
「安くでうまい!」
1日何万個も売れる、累計100万個達成とか、会社は大喜び。

しかし、私は全く嬉しく思わなかったのです

本当にこんなに食品添加物が入ったもの食べても大丈夫なのか?
この仕事は本当に人々に役に立つのか?
眉間にシワが現れました。

食べたもので体は出来ているよなあ。
若い人が世界を引っ張っていくのに体調は悪くならないのだろうか?
子供がちゃんと出来るのだろうか?
こんな思いが広がって来たのでした。

食をもっと学びたいなあ。
きっと食事で健康になる方法があるはずだ。
そんな思いが膨らんできたのでした。