見出し画像

母への「ありがとう」を届けた日




もう20年も前の話ですが、
母への感謝を突然強く感じたことがありました。

それは長男出産後に迎えた
自分の誕生日のこと。


看護師として大きな病院の病棟で働いていた私は、人手不足の職場で妊娠中も夜勤をやらざるを得ない状況でした。

病棟内には他にも妊娠中のスタッフがいて、自分だけ夜勤免除は許されない、、、

みんなでなんとか協力してやっていた頃、仕事中に破水してしまい、働いていた病院の産婦人科で診察を受けました。

その時が妊娠32週。
まだ生まれるには小さい命。

NICU(新生児集中治療室)がある病院に救急搬送された私は、33週で小さな息子を生みました。


不安と 
悲しみと
罪悪感の中での

喜び。


息子は私が退院後も 1ヶ月NICUに入院が必要。

離れるのも寂しく、一緒に帰れないことに罪悪感を感じながら、保育器の中で眠る小さな息子に母乳を届ける日々。

無事に成長することを祈る毎日でした。

その後は初めての育児や夜泣きに奮闘しながら、息子はすくすく育っていきました。

小さく生まれた息子は母乳をよく飲み、あっという間に丸々と太ってムチムチに。



そんな中迎えた、私の誕生日当日。

ふと思ったのは、

「ああ、誕生日ってお祝いされる日じゃなくてお母さんに感謝する日だったんだ。」

ってこと。



母は厳しい人で、
私は小さい頃から
甘えることも
褒められることもなく育ちました。

小学生の時に先生が、
「お腹を痛めて生んでくれたお母さんに感謝するように。」
と言っていましたが、

私が生まれた時は苦労せずあっさり生まれたそうで、
「あやうく病院に着く前にトイレで生まれそうだったくらいよ。」
とのことでした。

おまけに
「赤ちゃんの時は動き回るお兄ちゃんを追いかけて、かずは自分で哺乳瓶持って飲んでたから楽だったよ。」
と笑う母に対して
当時は出産時の感謝の気持ちなんて湧いてこなかったんですよね。


それでも

命が生まれるって
当たり前じゃなくて、

無事生まれることも奇跡的で、

その後育てるのにも
いろんな苦労があったはず。

自分が母となり
そのことに気がつけたんですよ。



それで、息子を抱っこしながら母に電話しました。

「誕生日は母に感謝する日だった。」という気づきを伝え、

「お母さん、生んでくれてありがとう。」

と言わずにはいられませんでした。


電話越しに
母が涙ぐむ声が聞こえました。





今は亡き母に、
あの時溢れてきた素直な気持ちを
ちゃんと伝えられて良かったと思います。




大切な人へ
「ありがとう」の気持ち伝えられていますか?

恥ずかしさもあるけど
伝えたい時に伝えないと
チャンスを逃して後悔するかも。


あなたが感謝を伝えたい人は

誰ですか?



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?