MLFが高めるワインのリスク | 乳酸菌のもたらすオフフレーバー
ワインは味もさることながら、その香りがとても重要な役割を果たします。
芳香で潤沢な香りに触れると、それだけで幸せな気持ちになれることもあるのがワインの魅力の1つです。
そんなワインにとっての天敵が欠陥臭とも呼ばれる、不快なにおい。オフフレーバーとも呼ばれます。ワインのボトルを密閉しているコルクが原因となるブショネ (TCA) や灯油やガソリン、プラスチックのような匂いのするぺトロール香などは特に有名なオフフレーバーです。
ワインのオフフレーバーにはいくつもの種類があり、その原因も様々です。そうした数ある原因の中でも特に注意したいのが、微生物を原因としたもの。
ワインは様々な微生物を活用して造られています。最も重要なのは酵母。彼らがいないとワインはいつまでたってもブドウジュースのままです。
酵母に続いて重要な役割を果たすのが、乳酸菌です。
乳酸菌というとバターやチーズ、ヨーグルト、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。もしくは味噌、醤油、お漬物、かもしれません。乳酸菌には数百ともいわれる種類が存在していて、それぞれの用途にあった利用がなされています。
そのうちの1つが、ワインです。
ワインの分野では乳酸菌は主にワインの酸味を和らげるため、そして独特の香りやニュアンスをつけるために利用されています。こうした手法を主にMLF (Malolactic fermentation、マロラクティック発酵) と呼んでいます。
こうして活躍の場をワインにまで広げた乳酸菌ですが、ワイン製造にとって乳酸菌は役に立つばかりではありませんでした。時として、ワインに致命的なダメージを与える原因になったのです。
乳酸菌はワインのオフフレーバーの原因となる微生物の中でも中心的な役割を果たす存在です。この記事では乳酸菌がどのような経緯でワインを傷つけるのか。オフフレーバーの原因となってしまうのか、さらに詳しく見ていきます。
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