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全房発酵をより戦略的に使う方法

Pinot Noirを中心に、完全除梗から全房率を上げた造りに移行する流れが目立つようになってきました。

新世界では以前からそれほど珍しくない取り組みだったように感じていましたが、やはりBourgogneで完全除梗から造りを変える動きが出てきていることが大きいように思えます。

一方で最近のように酸落ちが心配される気候状態の中で、確実にpHが上がる全房発酵に切り替えることが本当にいいことなのかどうかには個人的には疑問を覚えています。もちろんそこのさじ加減をするのが造り手の技術です。そしてそうした技術への要求は赤ワインに限らず強くなってきています。

世間の流れはエレガントなワインへの志向が続いていますが、そうした中でもフェノールをうまく使って厚みを持たせたワインへの人気が白・赤を問わず高くなってきているように感じています。そうなるとやはり醸造手法として向いているのは全房率を引き上げる方法です。

除梗率を引き下げることを前提にしたワイン造りを考えるにあたり、もう一度、全房発酵が及ぼす影響を整理し、より確実に使いこなす方法を考え始めています。

全房発酵を整理しなおした内容は以下の記事にまとめました。

全房発酵のウソ、ホント | ブドウの茎がワインに与える影響

この記事ではこうした基礎を押さえたうえでどうしたらよりよく醸造工程中に全房率の引き上げを取り入れていけるかを考えていきたいと思います。

この記事はオンラインサークル「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」内に投稿した記事を一部再編集したものとなります。
#サークル記事

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