ワイン造りの産業化と品質の維持

現在、収穫作業とそれに伴う仕込み、ワインの管理作業に忙殺をされておりまとまった文章の執筆が進められていません。そうした状況ではありますが、仕事中に思ったことを簡単にお伝えさせていただこうと思います。

欧州をはじめとして「ワイン」がある程度以上に定着している国・地域ではワイン造りが産業化しており、様々なメリットが生じているといわれます。実際に日本のようにワイナリーはあってもまだ生産規模が小さく、集積された産業として定着していない地域では業界に関係する企業数が少なく、結果として使用する資材を輸入に頼らなければならないような状況です。

こうした意味では業界が産業化できていることは、生産コストの引き下げや品質の向上に大きなメリットがあるのは間違いがありません。そうした一方で、産業化しているということは何をするにしてもそれだけ関係者が増える、ということでもあります。ここがかえって品質に対してネックになるように感じる場面もまた、多くあります。すべての関係者が必ずしもワインの品質を高めることを利益とはしていないからです。

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