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アール・ド・ヴィーヴル08/ささやかな、快楽主義!春の夕べSTAY AT HOME

渚(以下、N)-さっき散歩してたら、ツバメちゃんが戻ってきていてうれしかったな。電線でじっとしていて、パートナーも戻ってきてるか探してるのかな?

繁雄(以下、S)-さっき見たら、まだ巣作りにはかかってなかったね。それにしても浜松は風通しがよい街だね。

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人はいつもよりはまばらだけど、あまり変わらない。

N-でも、リモートワークって言ったって、東京みたいに、結局はコンクリートジャングルに閉じこめられていて、風通しも悪い部屋で、ソーシャル・ディスタンスも保たなきゃいけないし。やっぱり自然の中でこそ、リモートワークの意味もあるのにね。

S-その点、鳥や動物たちは、本能に忠実に生きているから素敵だね。ある意味「美しい生活」だ。鳥や植物がよく見えるようになる。

N-そうそう。

S-仕事はストップしたし、先は見えない。退屈で何もすることがないという人もいるけど、日々丁寧に生きたいな。今夜、どうしよう?

N-今日の晩御飯は、タケノコもまだあるし、福岡の実家から送ってくれたイノシシを食べようよ。朝、準備しておいた。肉がやわらかくなるように、お酒に漬けこんでおいたから。

朝からYou Tubeの収録で一仕事したふたりは、歩いて5分の浜松城公園に。

これまた近くの小さなハンバーガー屋「グレイトフルズ」でテイクアウトしたチキンナゲットとポテトフライ(両方とも自家製なので油も良くてうまい)をもっていって、移動式コーヒー屋「タタズミコーヒー」でドリンクを買い、晩御飯までの軽いブレイクタイム。人もまばらだ。

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S-桜は終わっても、「緑」の色が、いろいろあるなあ。すっごいキレイだね。

N-STAY AT HOMEって言うけど、人のすくない、風通しのよいところに散歩に行くのはよいね。でも東京じゃ、難しいのかな。気持ちのよい場所も、すぐに過密になるし。

S-誰かが、自然のないところでコロナウイルスは爆発的に広がるって言ってたけど、実は、人がもはや自然じゃない、ってことだろうね。

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だらだら話して、散歩。いい天気。ふたりはそこからさらに散歩して、野菜をゲットしたり、メイン料理の前のチョイ食べ・チョイ飲み用に、近くの魚屋(基本的には料理店が買い付けに来る卸の店)に行って、マグロのたたきも購入する。贅沢に見えるけど、激安。地方暮らしの特典。

イノシシを食べる前に、ちょっとだけ、おつまみ。マグロのたたきを海苔に巻いて食べるのがSの好物である。

家に戻り、すぐに着ているものを全部隔離し、即座にバスタブにお湯を張り、全身洗い流す。着ていたものも、全て即洗濯に。だけど天気が良くて風が強いので、洗濯物も一日で見事に乾いてしまう。ありがたい。

さて、あっと言う間に夕方だ。

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N-(仕事の手をとめて)夕日だよー。(っと言ってすぐに好物のハイボールの準備。アペリティフなのである)。

S-コロナに感染している人がいる一方で、リモートワークになって、満員電車にも乗らなくてよくなって、健康を取り戻した人もいるだろうね。あんまり大声では言えないかもしれないけれど。

N-コロナで、密着できないから、恋愛はもっと難しくなるかもしれない。でもその一方で、仲の良いカップルは、もっとお互いが知れて、いい機会かもね。これは、とても大切な転換点だね。

(ベランダの外を眺めながら)

S-鳥の声がすごく聞こえるようになったね。仕事しててもよく聞こえるよ。

N-なにをしゃべっているのかな。

部屋の中には、日没後の白いやわらかい光があふれている。かけっぱなしのテクノミュージックがきもちいい。風も、部屋のなかをふきぬけていく。あと30分もしたら、夜がやってくる。

N-さあ、晩のみ開始!まずはマグロのたたきだよ。日本酒だよね。(先日買っておいた山形の名酒「初孫」を出す)

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S、さっそく海苔で巻いて、わさびをつけて食べる。

そのほかにも、小さいラディッシュを生で、タケノコをステーキ用のミックススパイスで焼いたものなどが並ぶ。

その間にNは、漬け込んでおいたイノシシをジュージュー焼いて、サンチュといっしょに出す。マヨネーズも。

S-なにこれ。めっちゃうまい。

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N-さあ、ここからは、赤ワインだよー。ボルドーのわたしが好きなシャトー・プピーユ。オーガニックワイン。(ひとくち飲んで)全然イノシシの肉に負けてない。

S-こりゃうまい。(目をつぶる。Sは、いつも料理のときに目をつぶって、味わうのが習性である。)

N-イノシシの肉はなかなか切れないから苦労する。ウチの包丁、切れにくいからなー。(なるべく薄くスライスしたいが、なかなか切れない。イノシシは煮込むと柔らかくなるので、途中であきらめて、長めに煮ることに)。

S-(まだ目をつぶって食べている)。ウーン、料理というのはさ、食べられたらいいとかいうんじゃなくて、味の旅だな。食べながら、2人でいっしょに旅する。

N-いいこと言うね。さて、いよいよ、今日の本命イノシシ鍋の登場。ネギたっぷり、ごぼうとにんじん、根菜たっぷりいれといた。おいしい味噌とお豆腐も。

我が家では、鍋といえば水炊きやしゃぶしゃぶなどの、素材の味を楽しむ昆布だしの鍋が多く、味付きの鍋をするのは珍しい。でも、イノシシにはやはり味噌がいちばん合うので、味噌味の鍋。だし汁に、酒・醤油、そして味噌のシンプルな味付け。

テーブルには土鍋にぐつぐつイノシシの肉が煮えている。山椒、七味、柚子胡椒も並べられる。

N-(ひとくち食べて)ウーン、うまい。赤ワインに合う。

S-(肉に七味を振り)ちびちび味わうのも好きなんだよなー。

N-イノシシはからだを暖めてくれる。ほんとに、免疫あがるから。(Nの故郷は熊本の山奥で、子ども時代によくイノシシ鍋を食べていた)。

ここから30分くらい2人は、わいわい鍋をつつく。おなかがいっぱいになりかけて、酔いがまわりかけたら、2人の恒例の余興がはじまる。

それはなんと、料理本の「朗読」なのだ。

我が家には、テレビがない。テレビがあると、メシがまずくなる。

そのかわりに、食事のインターリュード(間奏曲)として「朗読」がある。

N-春のレシピのところ、読んでよ。(今日の本は『パリっ子の食卓』佐藤真著)。

S-じゃあ、「子羊のロースト」とかは?

N-いいねー

S、朗読。

そうこうしているうちに、ワインのボトルもすっかり空いていい気持ち。

N-あー、おなかいっぱい。もう食べられない

S-いや、まだまだいけるよ。お茶わかしてよ。あのおいしい中国茶。それお茶漬け。上には、チェダーチーズと黒コショウ風味の柿の種をまぶして食べるから。

N-なにそれ。ほんとうに食いしん坊だね!!

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links…

後藤繁雄instagram https://www.instagram.com/shigeogoto

渚instagram https://www.instagram.com/nagisagototeshima

浜松城公園 https://www.entetsuassist-dms.com/hamamatsu-jyo/

グレイトフルズ http://gratefuls.co.jp/shop.php

タタズミコーヒー http://tatazumi.com/

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