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いつまでも誇りたい資格、校正技能検定

ライティングのお仕事と同分類でカテゴライズされているお仕事の中に「校正」があります。

これから、少し長いですが、校正にまつわるある資格の紹介を、わたしの昔話を交えて書いていきます。

一瞬ではわからないけどなんとなくこの記事の中が理解できる目次↓

校正とは

こう‐せい【校正】
①文字の誤りをくらべ正すこと。
②校正刷を原稿と引き合わせて、文字の誤りや不備を調べ正すこと。「厳密な―」

広辞苑

文字の誤りを正すことです(そのままww)


校正の資格があるんです

校正は、もちろん資格なしでも取り組むことができますが、出版業界のイロハをどこまで知っているかを明確化するための資格もあります。

それが、「校正技能検定」です。

初級・中級・上級の3つのレベルに分かれており、中級以上が出版社の編集部門でも通用する程度の技能と言われています。

私は約10年前に、中級(当時は三級と呼ばれていました)を取得しました。

たまたま、今のライターのお仕事で校正のお仕事の近しいところにいるのだと実感したので、当時の試験勉強を振り返ってみようと思います。


当時の校正技能検定

校正技能検定の中級試験は、実技試験と学科試験の2つの試験があります。

校正を課題つきで実際やる『実技試験』

実技はその通り、校正の実技で
 ・手書き原稿からワープロ原稿に起こしたものを校正する
 ・ワープロ原稿を要項に沿った内容で校正する

の2つだったと思いますが……?どうやら今?は3つ目も存在するようですね。

Ⅲ.縦組データ入稿の赤字確認と通読. 指定付き PC のハードコピー(原稿整理の赤字を含む)と CD-R を印刷会社に入稿.印刷会社で CD-R の文字情報を原稿の赤字に そって修正,組版し初校校正刷りを出力. PC のハードコピー(原稿整理の赤字を含む)と初校校正刷りの 引き合わせと通読作業.

日本エディタースクール校正技能検定中級 試験情報・要項(第162回)

これは、当時受験した校正技能検定が四級制で、いつしか三級制になったからだと思います。

各実技には、課題のような「要項」があります。
その要項は、いわゆるルールみたいなもので、校正するにあたり「この場合はOKで、これは訂正する。でも訂正の仕方はこう。」といった指示があります。
ただ単に、文字の訂正だけではなく、その『本』の文字の大きさや、ページ数のところの文字と文字の間、大見出しの表記の仕方も指示があります。
文字スケールという「文字専用のものさしシート」を使って、これらも誤りがあれば訂正します。


このルールに従って、正しく、かつ速く校正します。

実技試験の、とくに2つ目の課題は、量がものすごく多いです。
おそらくお仕事でやっていらっしゃる人が普通にやって時間ちょうどくらいのボリュームだと思います。
その量を素人でいまから資格取ろうとしている人たちに投げかけているところ、私はこの試験の信ぴょう性を高く感じています。

プロと同等の技能を求めています。


当時受験した私は、最後までできず「やっばー😨」と思った記憶がありますw
模擬試験の時も、最後までできなかったので当たり前なのですが(笑)


実技試験のコツ

実技試験の合格の糸口は、「速く、でもとにかく正確に、見落とさない」でした。
実際、その時教えていただいた先生からも、かなり口を酸っぱくしてこのことを伝えていらっしゃいました。

最後までやり切ることは優先してはいけなかったのです。

とにかく正確に訂正を入れること、そして訂正箇所を見落とさないこと。
でも速く!

求めることは多いのですがw
でも、この教えのおかげで「最後までたどり着けない」を前提にして挑めたので、焦ることはありませんでした。


語彙力を試す 『学科試験』

学科については主に漢字検定のような、漢字や言葉の問題です。

漢字は、おおよそ漢検2級程度の実力があれば大体の問題は攻略できます。

勉強中少し困ったのは、慣用句やことわざだったと思います。
なかなかなじみない言葉のせいで、不随する漢字すら覚えるのが大変だった気がしますw

学科試験のコツ

学科試験は漢検2級レベルが解けていたら大丈夫なので、漢字ドリルをやりましょう。笑


校正技能検定の合格率

校正技能検定の試験は、これを昼休憩含め丸1日かけて行う試験でした。

校正技能検定は、毎年7月と12月に行われていて(※コロナ禍は言わずもがな不定期でした)
次の試験は162回目になります。

合格率は、中級で40%、上級で30%でしょうか。
私のときは、38%だったらしいです。

受験人数の分母が少ない上に、合格者も5人に1人程度なのは、世間的な目での資格としての価値はどうなんでしょうか(。´・ω・)?w
正直このあたりの重みはわからないのですが…w

校正技能検定中級合格のための勉強量

限られた受験資格

校正技能検定の中級試験は、募集要項に書かれている応募資格に満たした人でしか受けられません。

1 校正に関し,日本エディタースクールの所定のコースを修了した者
2 校正に関し,各種機関で一定の実技訓練を受けた者,もしくは実務経験のある者
3 前各項規程に準ずる者として校正技能検定委員会において認定した者

なので、通信教育か日本エディタースクールである程度履修してからの試験になります。

そもそも、いくら漢字が得意な人であっても、独学では絶対に攻略はできません。
それくらい、実技試験は細やかなルールや法則、校正するための蓄えるべき技能があるのです。

日本エディタースクールでの学習

日本エディタースクールでは、校正技能検定合格のためのいろんな講座があります。

👆日曜日だけの集中講座の場合、
全4回、4時間40分/回 = 1,120時間

👆通信講座の場合、8ヶ月にわたり講義を受けるとのことです。


かかる時間の見積は+αで

ただ、先ほどもずっと言ってますが、講義を受けるだけではなく、実技もやらなければなりません。

自習時間も必要なので、+αで見積もった方が良いでしょう。

実技試験は流しでやっても大問3問で合計210分です。
これらを一日でこなすための集中力を付けることも、試験勉強では必要ですね。

取って損はない資格

おそらくこれで、校正技能検定は、結構きびしめの資格に見えてきたのではないでしょうか。

マイナーかつ、厳しい上に難しいとなれば、受けても意味があるかわからなくなってきそうです。

ですが、私は10年たってもこの資格を持っていることを誇りに思っています。
自慢できます。

なぜかというと、合格に値する恩恵があるからです。

校正から派生する仕事スキル

校正は、ただ出版社に就職するためだけの資格ではありません。
校正は、出版とはちがう一般的な企業で働くに必要な要素が詰まっています。

出版とは全然関係のない業種で営業をしている人
 そのプレゼン資料、誤字してませんか?

出版とは全然関係のない業種で事務をしている人
 業務連絡のメール、誤変換してませんか?

出版とは全然関係のない業種で販売をしている人
 値引きシールを貼る商品のチェックはどうしてますか?

これらすべて、「校正」と深いかかわりがあります。

プレゼン資料は、発表前に読み直して誤字がないか確認しますよね。
メール分も、送る前に宛先のアドレスが間違えてないか見返しますよね。
値引きシールも、貼るべき商品の賞味期限をちゃんと見て貼りますよね。

校正という行為は、日常のあらゆる業種、職種でその存在を示しています。

校正の能力がないと、
誤字にしか目がいかないプレゼン資料だったり、
メールの誤送信で何度も同じメールを送ることになったり、
値引きシールを間違えて貼って売り上げを下げることをしたり、
そんなことが起こってしまいます。

校正はあらゆる仕事のスキルの一つなのです。


普遍的な資格を求めないなら校正技能検定

いかがでしょうか。
少しは、校正の世界に興味を持ってくださったかなと思います。

10年たっても誇れる資格は、そうたくさんないと思います。

勉強は大変ですが、何か他の人とちょっと違うことしたいときに、こちらの資格取得を視野に入れてみてください。


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