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登山に行けなかった悔しさでソロ旅行したら自分を見つめ直すきっかけになった話。

私は足に障害がある。
先天性内反足という生まれつきの足の障害だ。
そしてそれは治ることは無い。

最近登山を始めたけれどそれは想像以上に自分の負担になっていた。
登山に行きすぎて手術後、足の関節が動かないせいで左足が炎症を起こしてしまったのだ。
登山は3週間、控えるように言われた。

それを言われた一週間後に私は友人との登山を控えていた。

私は行く気満々であったが相方にものすごい剣幕で止められた。

「今のできる我慢をしないでこの先の登山人生を失ってもいいのか」

それを言われると私はYesとはいえなかった。

条件をひとつ。
「私の代わりに相方は絶対いってくれ。」


悔しさで夜中に涙が出てくる。
こんな足に生まれて来なければ。
そんなことを思うけれど、普通の足に恵まれていたらそもそも登山なんかやっていなかったかもしれない。

悔しさで枕を濡らしながら私は私のできることをした。
とりあえず、ストレスが溜まっていた。
この前の仕事での理不尽な八つ当たり。
それは意外にも私の心をざっくり討ち取っていたので、とりあえず。

私は私の機嫌を取る事にした。

・ソロ旅行にでも行ってみようかな

今回は自分でテーマを決めていた。
それは「気になっていても今までの制約のアレヤコレヤで手をつけられなかったもの。」
かつ「足に負担をかけないもの」

となると私はキャンプorゲストハウス巡り
キャンプは道具揃えたりが大変だから最終手段にしたい。

とりあえず今年もロウバイが見ごろだという宝登山へ行く、という目的を入れて
じゃあ秩父周辺でゲストハウスを探してみるか 」という結論に至った。

・それは思いのほかすぐに見つかった

「かめのこホステル」というゲストハウス。
決めては「看板犬がいる」という情報だった。

早速申し込んでみる。
すると…

予約で満室…
だが時代は三連休!
すると…
よっしゃ!キャンセル待ちをゲットすることが出来た!もしダメでもそんとき考えればえーねん!

そして希望日2日前…


よっしゃあ!!!
結構ハラハラしたけど宿泊できることに…!!
いや、人間あきらめないの大事ですね…

ということで当日、ウッキウキでゲストハウスに向かうぞ。
(その前に近くに住んでる友人がお子さんを産んだので会いに行ってきたぞ)


そして元気よく出迎えてくれた看板犬のクマちゃん。
お鼻でクンクンと匂いチェックを始める。
(お客さんが来たら必ず来るらしい。)

ゲストハウスの簡単な説明と近所の美味しいご飯屋さん、温泉、銭湯などを一通り教えてもらい、そしてお部屋へ。
 
詳しくはこちらの動画へ⬇


荷物整理も落ち着いた頃近くの温泉へ。
 おっと、その前に腹ごなしをしなくては。
秩父の温泉、祭りの湯には今まで何回も入っているのでそこでご飯を食べるのはなんだか味気ない。
せっかくなら地元の店に入ろうと思った。

今日はとことん自分を甘やかそう、と食べたいものを好きなだけ注文した。

秩父で有名なわらじカツと豚みその丼、しいたけがこのお店の売りらしいので焼きしいたけ
秩父はジビエも有名なので鹿串も。

これで全部で1650円ほどだった。
安すぎる。

わらじカツは(小)と書いてあったのを頼んだけどそれでも結構なボリュームだった。
ほんのり甘くあの駄菓子のカツのお菓子を思い出す。
鹿串は少し辛かった。
そしてシイタケ。
これはかなり驚いた。
だってこんなに歯ごたえのある食感のしいたけを食べるのは初めてだった。
もしかして私たちがいつもスーパーで買うあのしいたけは劣化版…?(農家さんごめんなさい)
種類が違うのかもしれない。

以前母に「今度山行ったらしいたけ買ってきて欲しい」と言われたのだが母がなぜそういったのか納得した。
(母よ、時間なかったわ、すまん)

そしてご飯を食べておなかいっぱいになったあとは祭りの湯で一風呂浴びる。

そして近所のスーパーでプロテインを仕入れてゲストハウスに戻った。

そして早めに就寝。
ニトリのマットレスはとても寝心地が良かった。


タイミングの悪いハプニング

夜中にふと目が覚める。
ハプニング発生。
トイレで目が覚めた。
すると貧血になったのか猛烈な吐き気と腹痛に襲われる。
あと立ちくらみ。
あ、これは早くベットに戻らないと失神するやつだ…と思った。
(経験がある)

トイレで動けなくなり冷や汗と過呼吸になりながらゲストハウスに迷惑をかけたくない一心で部屋に戻る。
稀に急に立ち上がったり腹痛で失神したりが年一程度でありはするが… 
なんでこのタイミング?!?!

整理してみると多分
調子に乗って夕飯の食べ過ぎで頭に血が行ってない
                               +
生理一日目でそもそも血が足りてない

最悪の重なり方をしてしまったものだ。

どうにかして部屋に戻る。
この時トイレの電気を消さずに出てしまった。
ゲストハウスの人すみません…


・体調最悪の朝

朝起きると夜中の余韻が残っているのか体は重く、そして若干気持ち悪い。
2日目は宝登山の予定だったが…
やめるか?
いや、ここまで来て帰るのはなぁ…
準備に時間は手間取ったけれど私はゲストハウスを後にしてとりあえず長瀞駅に向かった。

電車に乗る前に地元のおにぎり屋さんで海苔巻きとお饅頭を購入。

旅行に行った時は旅先の食べ物を極力食べるのが私の旅のあり方。
そして極力大金ははたかないのが私の旅のルールである。 (なのでゲストハウスが好き。場合によっては昔は現地で出稼ぎバイトなどもしていた。)

長瀞駅に着きまずは宝登山神社にて参拝することにした。

金運が上がるようにと、1つ購入させてもらった。来年また来て返しに来よう
脇道にさくうめがとても綺麗だった。
接木なのか1本の気に白とピンクの梅が咲いていた。

さて、参拝も済ませてケーブルカーに乗って山頂へ行くか。
(宝登山という山は実は山頂までケーブルカーで簡単にアクセスできる)

そう決意したもののケーブルカーと登山道の分岐のところで足がとまってしまう。

絶対に足が痛くなるとわかっている。
そのために昨日はみんなで登山行くのを断念した。
分かっているのに足が登山道の方を向いてしまう。
ここが私の悪い癖。
我慢ができなかった…
宝登山の登山道は実はほとんどが舗装されている。
その事実もあわさって「これくらいなら行けるのでは」という甘えか私の中で生まれてしまった。

歩いているうちに体調も戻ってきた。
私は歩き出してしまった。
(帰ってから相方にこっぴどく怒られた)


歩いているうちにわかったことがある。
私は今とても幸せを感じていることに気づいた。
心がとてもワクワクしていたのを感じた。

今回みんなで登山行けなかった悔しさ。
そこには自分の足の障害に対する恨みつらみも入っていた。
私は登山をし、山頂へ登頂を数多くこなしていくことで「障害に打ち勝つことが出来ている」
というふうに感じていたのだった。

今まで私の足では何も出来ない。
普通の人みたいに運動もできない。
そんな風に思っていた私が登山をしていくことで自信をつけていく。

私が狂ったように山に対して執着を持つようになったのはきっと
「山に登っているあいだは障害者ということを忘れられる」からだろう。

だから今回、参加を断念せざるを得なかった時「やはり私は障害からは逃げられない」
と絶望に追いやられたのである。
この足が憎かった。

だから宝登山に登っている時も少し足はいたんだけれど私の足はまだまだやれるんだ、と感じることが出来て嬉しかった。
(けれど帰って相方に「登山一生行けなくなってもいいのか」と、かなり怒られかなり反省はしている)

だけど自分はなぜ山に登るのか、そのヒントを得たような気がした。

山頂についた。
なんと42分で山頂についてしまったので時間を持て余してしまった。
お昼ご飯にはまだ早い。

そこで今回の主な目的であった
「ロウバイの写真を取りに行く」ことにした。

一通り沢山写真を撮り満足したところで今回の第2の目的。

「お昼ご飯の後で山コーヒー」をしに行くことにした。

人が多くなかなか山頂のベンチが空いていなかった。

そこで知らないご夫婦が座っていた端っこをお借りすることにした。

私「ここ、お借りしてもいいですか?」
夫婦「どうぞどうぞ」

私がバーナーで火を沸かす準備を始めると隣の夫婦の旦那さんに声をかけられた。
「今日はどちらから?」

私は登山の時の知らない人との何気ない会話が大好きだ。

私「東京の方から来てます。そちらは?」

旦那さん「僕たちは群馬の方から来てるんですよ」

奥さん「ほらあなた、最近の人はやっぱりお湯沸かしてカップラーメン食べるのよ」

私を見て夫婦の女性が言う

旦那さん「すごいね、お湯沸かすんだ」

私「山頂のカップ麺大好きなんですよ」

すると突然旦那さんが目の前に見える山を指さす。 
旦那さん「あ、ほらあれ見て、あれ、花粉だ」


みると山から吹き出す黄色のモヤ
気がつくと周りの人の多くがくしゃみを連発していた。

カップ麺を食べ終わり、さて、山コーヒーするか。とダイソーで買ってきたアウトドア用コーヒーミルを取り出す

旦那さん「え、すごいね。そんなのあるんだ。豆から引くの?」

私「百均で見つけまして…今日初挑戦なんです」

旦那さん「ダイソーでそんなの売ってるんだねぇ。初挑戦なのか!」

私「良かったら味見します?」

旦那さん「お、いいの?では少しだけ頂こうかな」

というわけでご夫婦のコーヒーも作ることになった。

頑張って作ったけどやっぱり初めてだったし…
正直美味しくできたとはとてもいえなかった。
それでもご夫婦は嫌な顔ひとつせず

「あら、インスタントとは違う本格的な味ね」ととても喜んでくれた。

とても優しい…

そしてお礼として羊羹をふたつもいただいてしまった
旦那さん「それで2日は生き残れると思うよ」と。

とても素敵な出会いだった。


・次の目的地、宝登山小動物公園へ

宝登山ってすごいね。
別に登ったりしなくても一日中遊べちゃうんだもんな。
というわけで時刻は13:45分。
めちゃくちゃトイレに行きたかったので並んでいたが待てども待てども待機列は減らない。
14:00からモルモットの行進を見なければならないのに…!!
やっとトイレから出られたのが13:51分

こっから歩いて10分くらいだが間に合うか…?!

私は猛ダッシュで動物園に向かった。
大荷物で走っていくその姿は登山をしない人から見たらものすごい迫力の絵面だろう。
道行く人に驚いた顔で見られたが気にしない。
モルモットが待っている!!!

猛ダッシュで走った結果、無事五分前にはチケットを買い入ることが出来た。

だが既に会場は人でいっぱい。(主にチビッコ)
また15:00にもイベントはあるので大人な私は後ろの方からそっと一眼を構えて待機することにした。

モルウェイを2回とも見てひと通り満足したあと園内をぐるり一周して回った。

去年もこの動物園に来たが見慣れた面々を見つけて嬉しくなったりもした。
長生きしてくれぇ…

うさぎたちの顔ぶれは去年とそんなに変わっていなかった


面白かったのが猿の軍団。1匹が「うー!」というとほかの猿が一斉に「うー!」という。これが格差社会か…

一通り写真を撮り満足して帰ろうとすると急にお腹が痛くなった。
私の体質で、コーヒーを飲むとお腹が緩くなるからだろうか。
無料配布のカイロがあったな…と思い出す。
貰いに行ったが閉園近くだったので既に撤去されていた。
売店のお兄さんに

「まだカイロありますか?」

と聞いてみる。
心優しくカイロを渡してくれた。
ひとつでいいですよ、と言ったのだが

「念の為ふたつ持ってってください!」

と2つカイロを貰う。
のちのちこのふたつのカイロに私はかなり助けられる。


・なんか今日運が良すぎて怖い!!!

売店を少し見て回ると先程のお兄さんに声をかけられ何かを手渡された。

左の缶バッジは「モルモットとロウバイ」の缶バッジ。200円。(ちゃんと買ったよ)
お兄さんに渡されたのは右の缶バッジ

急にお兄さんに何かを渡され見てみると、そこには「モールウェイ特別缶バッジが…!!」

えっ?!

これってあの

モールウェイのイベントでモルモットを呼ぶベルを鳴らすお手伝いをした良い子の小さなお友達が貰えるあの伝説の缶バッジ…?!?!

するとお兄さんがすかさず…

「大人の方には滅多に上げないんですけど、良かったらどうぞ」

と。
実は私、欲しかったのが体からにじみでてたのか…?
そう、私は家でモルモットを飼育する生粋のモルモット好き…!

愛モル、おもち

そのことをお兄さんに話すと妙に納得した顔をされた。

「だからですかね。何故かお姉さんにあげたくなりまして。そういうのってありますよね」

と言われた。ありがとう!私の愛するおもちくん!!

缶バッジを手にしウッキウキでロープウェイ乗り場へ向かう私。

するとそこでいいことを思いつく。

結構暗くなってきたし、もうちょっと待てば

「ロウバイ×夕焼け」のコラボレーションが撮れるのでは…?!

ここが一人旅のいい所。
時間も行先も自分だけの思い通り。
少し寒かったけど夕焼けを待ってみることにした。

夕方になるとなんとロウバイのライトアップも始まっていた。


めちゃくちゃ運がついていた


ロープウェイで下山後、小腹がすいていたので看板で見かけた「そば粉で作ったたい焼き」を買いに行くことを決める。

そしてここでも運が私を味方してくれたのたのだった。

私「まだたい焼き売ってますか?」

店主さん「あー、今落としたばっかりでね〜、これもう売れないのよ」

私「あー、そうですか、残念」

店主さん「だからこれ、あなたにプレゼントしちゃう」

私「?!?!」

めちゃくちゃ美味しかった。普通のたい焼きとは違ってもちもちしていてそばの香りがかなり強い。だけど外はカリカリ。小豆も大きくて歯ごたえがある。砂糖でぶん殴った甘さじゃなくて自然な甘さがとても上品

ちゃんとお金出しますよ、と言ったのだが店主さんに
「その代わりまた来てね」
と言われた。
せめてものお礼として宣伝を…⬇

絶対友達引き連れて買いに行きますわ…

そんなこんなで体調不良ハプニングはあったものの謎に運や周りの人に恵まれていた旅となったのだった。

そしてこの旅を通して私は分かったことがある。

私は案外1人が好きなのかもしれない。

人と行く旅行や登山、もちろん大好きだけれどそれなりに気は使ったりする。
安全面で言えば人と一緒の方がいいと思うけれど。
 
自分のペースで歩いて好きな方角に行き、のらりくらり過ごすことがこんなに楽しいことだなんて、昔はよく旅をしていた頃は思っていたものだけど、相方と付き合うようになり、多くの友達と付き合うようになりしばらくその感覚を忘れてしまっていた。

ココ最近、私は自分の中の孤独感に悩むことが多かった。

人と一緒でないと不安になる自分に嫌気がさしていた。
だからこそ今このタイミングで旅をしたことは私にとって必要なことだと、神様的な存在がいたら指し示していたのかもしれないなと思った。

自分を見失いそうになったらまたこんな旅を計画してみてもいいかもしれない。



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