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デジタルアート作品を制作するにあたって知っておくべきソフトウェア

デジタルアート作品というと何を思い浮かべるでしょうか?

デジタルアートと言われるとピンとこないかもしれませんが、所謂プロジェクションマッピング、近年ではチームラボの展示などが印象的かもしれません。

目で見える、デザイン、映像やそれに付随するVFX,3DCGに目が行きがちですがそういった部分以外にも様々なソフトウェアが用いられ作品を制御しています。

ここでは、そういったソフトウェアを一挙に紹介し、実際に制作した作品をもとに話を進めていきたいと思います。

図1を参照しながら話を進めていきます。

作品には映像、音、造形物、センサーなどありとあらゆる要素が用いられ構成されています。

映像

ここではセンサーの反応によってリアルタイムに映像が変化しています。このような映像は、いわゆる普通の映像編集ソフトでは制作できません。

Adobe Premiere ProやAfter Effectsで制作した映像は、プリレンダと呼ばれ、映像がリアルタイムには変化しません。一方、これから挙げるソフトウェアでは、センサーやデータを元にし、リアルタイムに映像を変化させることが出来ます。

わかりやすくするために、After Effectsで作成したノイズの映像(プリレンダ)とTouchDesignerで作成したノイズの映像(リアルタイムレンダリング)を用意しました。

画像1

After Effects

画像2

TouchDesigner

After Effectsで作成した場合、はじめに説明した通り書き出し済みの映像ですので、この映像にリアルタイムで変化を加えることはできません。一方でTouchDesignerで作成すると、マウスの動きを参照してリアルタイムに変化を加えることができます。

映像を制作するソフトウェアの種類

ビジュアルプログラミング

パッチ、オペレーターと呼ばれる箱を線でつなげることでプログラムをしていく方式です。プログラミングが苦手な初心者でも簡単に始めることができるので、非常におすすめです。

TouchDesigner

ライセンス:基本無料(商用利用については有償ライセンスの購入が必要且つ、一部機能に制限あり)

使い勝手:独自のユーザーインターフェースですが、取っ付きやすく、わかりやすいです。

参考資料:近年、人気のあるビジュアルプログラミングのソフトウェアで日本語での解説記事も多く、コミュニティやユーザー数の規模感も大きく増えています。

vvvv

ライセンス:基本無料(商用利用については有償ライセンスの購入が必要)

使い勝手:好みが別れますが、Touchdesignerよりシンプルで何もないキャンバスに箱を置いて線をつなげていくようなユーザーインターフェース。操作性がかなり独特で、慣れが必要です。

ただ、有志が開発しているプラグインが充実しており、制作するものによってはvvvvを使うことで効率化につながる場合もあります。

参考資料:Touchdesignerより古くからありますが、国内の参考資料は少ない印象です。

コードベース

いわゆる想造する通りのコードを書いていくタイプのものです。とっつきにくい印象がありますが、自分自身でコードを書く力を身につければ出来ないことはないくらいに何でも出来ます。

ビジュアルプログラミングも、実際に自身がコードを書くことと同じことを内部で処理しています。根本的な理解にもつながるので、苦手でも一度は実際に使ってみることをおすすめします。

Processing

ライセンス:無料

使い勝手:コードベースの中では、難易度が低くプログラミングを全くしたことない人でも学習がしやすいです。高等教育や大学教育でのプログラミング教育でも用いられている事例も多数あります。

参考資料:書籍も多く刊行されているほか、インターネット上で体系的に解説している記事も多くユーザー数も多く、学習するにあたってこれ以上ないくらい環境が揃っているソフトウェアです。

openFrameworks

ライセンス:無料

使い勝手:MacはXcode、WindowsはVisual Studioといった統合開発環境を用いて開発する必要がある他、初学者には難易度が高い印象を受けられる人が多いかもしれません。

今回はカテゴライズの都合上、映像を制作するソフトウェアのような紹介の仕方になってしまいましたが、何でも出来ます。実際はデータを受け取る目的のみで使用したりと映像と関係ない場合でも多く用いられます。

参考資料:以前から人気の高いツールで、参考資料も多いです。

ゲームエンジン

もともとはゲームを制作するために作られたソフトウェアです。コードを書かなくてもマウス操作で簡単に制作ができます。また、機能が多くイチから自分で準備しなくても、ある程度はゲームエンジンの機能で簡単に制作を進められます。

ユーザーやコミュニティの規模が大きいため参考資料も多く、学習がしやすいです。

Unity

Unreal Engine

ライセンス:基本無料(制作物で一定の額以上の収益を得ている場合につき、有償ライセンスが必要になります)

使い勝手:好みもありますが、ビジュアルプログラミングという先に紹介した手法とは違いエディタに対して直接、立方体や球体をドラッグアンドドロップで置いたり、マウス操作でオブジェクトにあらゆる機能を設定することが出来ます。

参考資料:ゲームエンジンということもあり、ゲームを制作するにあたっての参考資料は非常に多いです。どの機能を活用すれば、メディア・アートやインスタレーションに活用できるか考えながら資料を読むことをおすすめします。

(筆者がゲームエンジンをあまり積極的に使用したことがないので説明をまとめさせてください。よろしくお願い致します。)

通常の音楽制作ではDAW(Digital Audio Workstation)を用いて、楽器での演奏を録音したり打ち込み機能を使うことで音源の制作を行います。

上記手法を用いた音源制作では、楽器の演奏や打ち込みをソフトウェア上で録音した上で書き出しますので、映像作品と同じようにセンサーやデータを用いてリアルタイムで音に変化を加えることが出来ません。

音に変化を加えることだけでなく、音を生成したり自分好みの音色を作ることも出来ます。

そこで、用いられるのがこれから紹介するソフトウェアです。

音を作る・解析するソフトウェアの種類

ビジュアルプログラミング

基本的にビジュアルプログラミングを用いたソフトウェアを使うことになります。その他に、コードを書くことで音を生成するようなソフトウェアもありますが、この記事では手広く紹介せずに下記2つに絞ります。

Max

ライセンス:有償

使い勝手:vvvvとTouchDesignerの中間といった具合です。シンプルなユーザーインターフェースではありますが、初心者にもわかりやすいアイコンやボタンが使われており、機能についての理解はしやすい印象です。

参考資料:こちらも、openFrameworksと同様で比較的長く使われているソフトウェアなので、資料は非常に多いです。資料によっては最新のバージョンが使われてない場合もありますが、基本的には同じです。

PureData

ライセンス:無償

使い勝手:Maxの開発者であったミラー・パケット氏が開発したもので、操作性や機能もMaxとほぼ同じです。どちらかというと、Maxよりシンプルなユーザーインターフェースでvvvvに近い印象を受けます。

参考資料:こちらも96年から開発されているもので、書籍も多く刊行されており、資料は多くあります。

まずは色々試して自分に合うものを

初心者という観点からソフトウェアについての解説を、有償か無償であるか、操作性はどうか、学習する資料の多さについて比較をして書きました。

とは言っても、これだけではなかなか理解出来ないと思いますので、まずはダウンロードしてYoutubeで使い方を検索して学習してみてください。

これだけで制作する楽しみを覚えられると思いますし、何がしっくり来るか何となく掴めると思います。

ただ、一つのソフトウェアだけでは表現に限界を感じたり、やりたいことに対してカバーしきれない部分が出てくるかもしれません。そうなったときには、他のソフトウェアを触ってみたり、別の技術を探求してみてください。

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