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渚乃雫
2020年9月28日 18:37
第12話 6月12日「……くだらな」「…仰るとおりで」「あんたたち、高校生でしょうよ」「……うっせ」 久方ぶりに、正座、というものをさせられている。 目の前には、腰に手をあて仁王立ちをしている寺岡さんと、「れ、怜那(れいな)ちゃん」と焦った表情をしている羽白(はじろ)さんの姿。 そして、俺と同じように正座をさせられているのは、思い切り不貞腐れた表情をしている照屋善人(てるやよ
2020年9月27日 13:50
第11話 6月11日「あー、えっと、委員長。それ持とうか?」「え、あ、ありがとう」「どこまで?」「教室、なんだけど」 図書室に寄った帰り道、照屋(てるや)と羽白(はじろ)さんはまだ委員会があり、寺岡さんも、羽白さんと戻るとのことで、まだ図書室にいる。 特に本を借りる以外にやることの無かった俺は、一人先に借りた本を片手に廊下を歩いていたのだが、前方から、結構な量のプリントとノートを抱
2020年9月22日 17:35
【6月10日 】 今日も、雨。 昨日、帰宅して天気予報を見たら、どうやら先週末に梅雨入りをしていたらしい。 特に気にしていなかった、とテレビを見ながら呟いたら、母さんに、「しばらくバス通学なんだから、少し早く起きなさい」と言われた。 とはいえ、少し早く、といっても、1時間も30分も早く家を出るわけじゃないし。そう思い今朝も、いつもと変わらずにのんびりとしていたら、思いの外、バスまでの時
2020年9月18日 11:58
第9話 6月9日「おはよう」「あ、おはよう。千家(せんげ)くん」 カタン、と引き出し椅子の音が響く。腰を下ろし、カバンの中から朝飯のパンを取り出していれば、なんとなく、視線を感じた気がして顔をあげれば、こっちを見ていたらしい羽白(はじろ)さんと目が合った。「どうかした?」「千家くん、それ、朝ごはん?」「ああ、うん。寝坊した」「今日はバス?」「そう。午後に雨降るって言ってたのす
2020年9月18日 11:54
第8話 【6月8日】「千家(せんげ)くん、今日も速いね」「…普通じゃないか?」「そうかなぁ。私は速い、って思ったよ?」「…まあ…一回読んだことあるし」「これも読んだことあるの?」「え、うん」 パタン、と読み終えた本を閉じながら答えれば、羽白(はじろ)さんが驚いた表情を浮かべる。「小学校の時も、図書カードにいっつも千家くんの名前があるなぁって思ってたけど、本当に色んな本、たくさ