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小説  名前のない自分

注: 3章変更・修正点(人物の名前 疾風→颯 )

3章 すれ違い



 俺は疾風の母親に電話を終えたのち、またみんなのいるリビングに降りていった。電話で声を聞いているときに本当に疾風の母親は優しい人で論理的に物事を伝えてくれるからわかりやすいし、こっちが納得できるように言葉を選んで話をしてくれる。

 階段を降りている間に1年前のみんなの姿を思い返してみた。大人が思うようにみんなに大きな変化を感じる事はなく、去年と同じみんなに会って心の中で安心していた。自分はどう思われているか聞きたいところだが今はやめておこう。もう少し聞けるタイミングを見計らうことにする。今は何も変わっていないみんなと遊ぶことに全力を尽くしたい。俺が本当に楽しいと思える場所はここしかないから。

((地元A 「。あそこのボール全部拾って欲しいんだけどいい?」

  なぎと 「わかった!いいよ!」

  地元B  「おい、後でみんなで拾ー、うぐっ!」

  地元A  「まーまー。拾ってくれるんだからやらせとけよ。しかもあんなに嬉しそな顔してるんだからそのままやらせとけ。取るのめんどくさいし。パシリで使われてるのも知らずにいるんだからそのままこき使ってやればいんだよ。」

  地元C  「適当に友達みたいに振る舞っておけばバレる事はないんだから。しかも俺たちは結構古い付き合いになるからまさかゴミ扱いされてるとは思わないだろ。誘う時も何かさせるときも適当に理由ゆけてパシらせればいんだよ。

  地元B」 「まぁそうだな。何も考えてるようには見えないし。仲良く接しているように見せておけばいいか。」

  なぎと  「おーい、ぜんぶ拾ったぞー!次何するー?」

  地元A  「あーおけー。ちょっと一人で壁あてかなんかしてて。すぐ行くわ〜。」

  なぎと  「わかった。、、、、、聞こえてんだよ。」))

 良い記憶を思い返すと同時に悪い記憶も思い出してしまう。そのせいで必ず気分が悪くなる。憎悪、嫌悪、嫌な感情が自分を取り巻く、自分はどうせと考える。反論もできず、気持ちを相手に伝えることもできず、弄ばれてると噛み締めながら聞こえない振りをする。いつも、、、いつも、、、いつも、、、。俺は。

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