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明日。

〜だいたい1000文字〜

一人の女性がベンチに座っている。

女性は少し疲れた顔でコーヒーを飲んでいる。

目の前には海が広がっている。

ここは海沿いのベンチ。

潮風が鼻をムズムズさせる。

「ふぅ。。。」

少し深いため息をした。

明音「なんか、、、つまんないなぁ。」

女性の名は明音。年は30。大学を卒業してからアパレルメーカーに就職し、様々な企画をこなしてきた。
元々いた会社で、たまたま明音の地元の企業と仕事をする事になり、テキパキと仕事をこなす明音に目をつけた取引先の企業から、地元に戻って仕事をしないか?と転職の誘いがきた。

条件も良く、明音自身も自信がついてきたところで、自分のステージを変えてチャレンジしたい気持ちは前々からあった。
明音はこの話を受けて転職して、地元に帰ってきたのだ。

明音は海を見ながら考え事をしていた。

明音(うまく行っているのは良いんだけど、張り合いがないなぁ。)

明音の悩みは「刺激」だった。

環境には様々な「刺激」が準備されている。

仕事、家事、生活、趣味、恋愛。

これらは全て色が違う「刺激」がある。

明音は社会人になってからこの内の「仕事」以外にベクトルを置いてこなかった。休日も仕事をしていたぐらいだ。

明音「明日の休み何しようかなぁ。。。仕事しようかな。」

明音の近くに一人の男性が通る。

男「明音、、か?」

明音は声のした方に振り返る。

明音「え?、、、直樹じゃん!」

直樹「やっぱり!久しぶりだな!なんでここにいるん?」

明音「4月から戻ってきたのよ。今こっちで働いてんの。」

直樹「そっか。しかしここで会うとはな笑」

直樹は高校時代のクラスメイトだ。
明音と直樹は高校時代良くつるんでいた。
このベンチは二人の通っていた高校の近くにあり、
放課後は良くここに集まって遊んでいた。

直樹「戻ってきたなら連絡くれれば良かったのに。」

明音「ごめんごめん。最近やっと落ち着いてさ。てか戻ってくる時にLINEとか全部消しちゃって、連絡先とかほとんどなくなっちゃってたんだよね。今は家族と会社の人しかいない。」

直樹「うわっ、寂し!俺の登録しとけよ。てか今日暇なのか?暇なら飲み行こうぜ。」

明音「、、、そうだね!行こっか。」

直樹「じゃあ7時頃に○○で」

明音「わかった!今日は帰さないぞ。」

直樹「うわーそうだった。笑 それ、普通男が言うセリフだけどな。俺は明日休みだから全然行けるよ。」

旧友:直樹と再会によって、日頃から忙しなく過ごしていた明音が忘れていた日常が少し戻ってきそうだ。「明日」の休みは休んで良いのだ。
ただ彼女自身は、今それを求めているのかは、わからない。休まない「明日」もそれはそれで良い。ー

長月 暁人

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