小説講座まとめ 3

 サマンサ編集長様が行っている講座、3回目のまとめです。

 早3回目。折り返し地点です。
 前半は、事前に提出して添削していただいていた原稿の直しを元に、復習やポイントを、後半は新しく出した長編のプロット(プロット…???みたいな状態で提出しましたが…詳しくは後程…)を元に良し悪しやアドバイス、ポイントなどを。
 という内容でした。では本編へ。


■全体の中でのメリハリ

 冒頭
→小さい楽しい・辛い
→乗り越えて
→大きい楽しい(お楽しみシーン)
→大きい辛い(主人公が一番辛い・落ちる場所)
→ラストの楽しい(楽しさの更新)

 物語の中にはいくつかの楽しい・辛いがありますが、前半に大きい辛いを乗り越えて、そのあと小さい楽しいがきて、小さい辛いがきて…とはなりません。
 前半で小さい楽しい・辛いがあり、それを乗り越えて(場合によっては放置かもしれないですが)、大きい楽しい→大きい辛い→ラスト、となる。この「大きい楽しい→大きい辛い」の流れは大事。
 前回の私の課題でもあり、まとめ2でも書きましたが、楽しいシーンがちゃんと書けていることで、次の辛いシーンが際立つし物語のメリハリもつく。(読者も楽しい)

 ラストの楽しい、というのは()にも書きましたが、講座の中では「楽しさの更新」とも言われていました。
 これは講座が終わったあとにまとめながら、更新、という言葉は色々な意味があるのかなと思いました。
 ラスト。主人公の幸せという意味で、今までで一番幸せだった「大きい楽しい」よりも楽しい(幸せな)状態かもしれないし、主人公が成長したことで種類の異なる楽しさを手に入れているかもしれない。物語的な新たな楽しい(考えさせられる、とか、解決されない気持ち悪さ、とか)も更新と言えるなあ、と。

■丁寧さと簡潔さ

・主人公の感情やストーリー上で重要なシーンは丁寧に
・途中のシーンやただの動作は簡潔に

 文章の書き分けについて。
 私の文章はちょっとくどくなっているところがあり。(これを読んでいても思われているかもしれない…ちょっと自覚はある)物語の大事なところは丁寧に書くことが必要だけど、そうでないところはさらっと書く。話も分かりにくくなってしまうので注意。
 自覚があると言いましたが、私は癖になっているのか気づかないので、ここは大事なシーンだ! 以外のところはそういう目を持って見ることが必要かもしれません。

■章の中での視点移動

できれば物語全体で統一した方が良い
視点を変える時は「今誰の視点か」を早めに示す

 物語全てを同じ視点で書く! という意味ではなく、全てを通して同じ視点なら同じ、変わるのなら一章ずつ交互にする、など。統一しましょう、ということです。
 イレギュラー、例えば特定の章だけ二人の視点になる、ということも必要があればやってもよい。それをすることで小説の構造が壊れるわけではないし、小説自体のルール違反ではない。
 ただし、視点を変える際は「Aは、Bは、俺、僕、私」というように人の名前を最初に出すなど、できるだけ早めに「今誰の視点で物語が進んでいるか」を読者が理解できるようにする。

 映画は見ていて視点が分かるので、そういう感覚で情報を提示せずに書いてしまう人など、できてない人もいますね…ということでした。
 読者は続きの視点だと思って何行か読み進めて「あ、今AさんじゃなくてBさんの話だったの?」となる。
 私が冒頭で情報を出せていなかったように、作者の頭の中ではイメージができているので、自分では気づきにくいのかもしれない。

 物語によっては視点がどんどん変わっていくこともあるかもしれませんが
分からなさ=面白い
 というストーリーであれば、視点の切り替わりには一定の時間が必要、という話も。例えで出たのがミステリー。
 探偵が「きっとAというトリックで殺したに違いない…」と考えた。
 犯人は「Aというトリックを使ってついに成し遂げた…!」と思った。
とかだったら…たぶん面白さ半減どころではない。

 小説によってはそれも手ではあるが
小説は説明してはいけない(読者に想像させる)
 という言葉もあるのでね…ということも。

■目線で○人称を考える

一人称=主人公が見聞きしたこと、考えている情報しか出てこない
三人称=登場人物全員の見聞きしたこと、考えている情報が出てくる

※ここでいう主人公は、物語全体/章/シーン、と様々

 上記の視点の話から派生して。「誰の目線で書いているか」という見方で、小説における一人称、三人称を考えています、とのこと。

 一人称は、主人公が見聞きしたこと、考えている情報しか出てこない。他の登場人物の考えていることは分からない(主人公の想像でしかない)し、主人公の視界に入らない物は書かれない。読者もAと同じ情報しか持たない。
 対して三人称は、登場人物全員の見聞きしたこと、考えている情報が出てくる。何を書くかという取捨選択はもちろんありますが。情景描写であれば誰も見ていなくても…もあるな、と思いました。

一人称=「私」「俺」「僕」…
三人称=「A」「B」「C」…
 と私は思っていたのですが(そんな方が多いのでは? みなさんどうなんだろう)これを聞いて分かりやすいと思いました。
 視点がブレないし、書く情報や内容を混同しない。
 逆のパターンはなさそうですが、ABCで書いているからと、Aが主人公だったはずなのにいきなりBの心情を書いてしまう/Aから見えない部分の情報を出してしまう、といううっかりが起こらないのでは。

 下は考えがてらちょっと書いてみたので載せておきます。次の見出しまで飛ばしていただいて問題ないです!

 たとえばABCが食事するシーン
起こったこと:BがAに「明日の予定は?」と聞く。Aは「何もない」と答えたあと「何で?」と聞き返す。Cにメールが届き、Cはテーブルの下でこっそりスマホを見る。

一人称 主人公A
>Bに「明日の予定は?」と聞かれて、Aは「何もないよ」と答えた。しかしBは普段、他人の予定など気にしない。どうしてだろう、とAは思った。味噌汁のお椀を傾けながらBをうかがうが特におかしな様子はない。けれどやはり気になる。Aはさりげなさを装って「何で?」と聞き返した。~~ふと見るとCの皿の料理は全く減っていなかった。

三人称
>BはAに「明日の予定は?」と聞いた。Aは「何もないよ」と答えるが、Bは普段、他人の予定など気にしない。これは何かあると思ったAはBに~~この時Bには△△という事情があった。できることなら~~CのスマホにDからのメールが届いた。開いた文面にCは目を見開くが、AとBは互いの探り合いに必死で気づいていない。
 
 みたいなね。と、これを書きながら思いましたが、私、こういう意味での三人称を書いたことがなかったですね…初めての試みだった。難しい! 要らないことまで全部書いちゃいそう。
(即興なのでその他気になる点は目を細めて読んでください。なむなむ)

■プロットについて

 さて。冒頭で少し言い訳しましたが、プロットを出すという課題がなかなかできず。いかがでしょうかと聞いていただいて、メモ程度で読みにくいですが…と言いつつ提出しました。
(これはいつもそうなのですが、私のメモやプロットは、きっと~だと思う、たぶん~になる、~な感じ、のオンパレード。最後に決めるのも私なのですけれども、という)
 しかし予想外に、私には分かりやすかったですよというようなお返事をいただき、気をつかわれて…いや読み取る能力が…などと思いつつ講座に臨みました。

・テーマ(何を書きたいか)を書くのは良いかも
 
何を書きたいか=その話で自分が書きたい/伝えたいこと ≠ストーリー

 上記の気をつかわれ云々は私の妄想でして、これが分かりやすかったとおっしゃってくださった理由です。なので、書かなければならない! というわけではないです。 

 今回私は
「こうこうこういう(例:○○な部分を見つめ直して○○する)話」
「上記の詳細やそう考えた理由」
 を頭に書いていました。

 これには理由がありまして。
 今までの講座で「書きたいこと」という話が何度か出てきていたからです。なので今回も、何を書きたいか、から考え始めました。そして、それはどうして? と自分で思考を探りながら、後からでも分かるようにメモ代わりに残していました。
(もう1つは、これはどういう話? 何で書こうと思ったの? とか聞かれたら口頭で上手く説明できないと思ったため。こういうのを人に伝えるのに苦手意識がある。書いてるのに。いや、だから書いているのかも)
 
 プロット(物語の筋や構成)からは外れた内容ですが、書き手が何を伝えたいのかが分かるので話がしやすい、とのこと。(書く側もテーマを見失わない)
 そして私にとっては功を奏してというか、書いていて、ああこういうことを書きたかったんだなと思考がまとまりやすかったので、試してみるのもいいかもしれません。講座の成果の一つかなと思ったのでお伝えしておきます。

■複数ある問題は連動する

 問題が複数ある場合、問題1が起こって→解決して、2起こって→解決して…とはならない。それぞれが進行して、ほとんど同時に爆発! それをきっかけに主人公が自分を見つめ直す。

問題の連動
※問題発生と解決のタイミングは一例。状況によりけり

 爆発=主人公踏んだり蹴ったり状態→「自分を疑う」ことが発生
 上手くいっている時は自分を疑わないし、問題が1つだけだったら、あれは相手が悪かった、などと考えることもできる。でも問題が2つ3つ重なると、さすがにこれは自分が悪いのでは…? となる。
 この流れは大事で、ちゃんと書けるとメリハリもつく。

■テーマに対する「主人公なりの答え」が必要

 物語のテーマに対して主人公がどういう答えを出すか。
 たとえ自分の中で答えが出ていないテーマを設定して物語を書くのだとしても、その主人公がその物語の中で出す答えはいる。

 また、物語によっては答え自体はそれほど重要でないことも。
 答えがどのようなものであれ、主人公がその答えを出す(決断をする)までの心情や考えといった過程は大事。読者が納得できるものであるか。

 そして、そういう主旨の話ではなかったのですが、これは私にとって「主人公との距離の取り方」についての話ともなりました。

 ここから余談ですが、これがツイッターで少し書いた「長編書けそう」という気分になった一つです。(言ってしまえば他も全部ですが)
 当たり前じゃん、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私は「これってどうなんだろう」と思ったことを長編のネタに考えて、いや分からん!まだ書けない! となってしまうことがありました。
 そして主人公はどこかに自分と共通点があるので、更に「書きづらい…」となる。
 でもこの話を講座でしていただいた時「この主人公は自分じゃないし、この主人公がこの物語の中でこの決断をするのであって、それがこの主人公の人生全てを決めているわけでも、私の思考が全てこうですと言っているわけでもない」と気づきました。
 そうしたら何だか、そんなに悩まなくても良いのでは、と。う、と詰まった時には、時と場合によってはそうやって主人公と距離を取って書けばいいなあ、とちょっと気が楽になったのでメモとして残しておきます。

■ラストは「決断の結果どうなったか」が必要

 どうなったか書かないと尻切れトンボ。何かあって、決断して、それで? の部分。その話のテーマに立ち返って、その結果はテーマの答えか、自分が伝えたいことに対応しているか、テーマを見た時にどういう結果となるのが良いのかも見ること。

始まりと終わりの環境を同じにする
 =変わった部分と同じ部分との対比で、成長が分かりやすくなる
 主人公の変化を分かりやすくする方法の一例として。全部そうすれば良いということではないです。
 例えば「周囲が変わっていない中で主人公は変わっている」状態を書くと、周囲との対比として変化が分かりやすい。
 環境、というワードをどう考えるかによって結構広がりがある話かもしれない、とこれを書きながら思いました。ポイントは対比なので、主人公が集団を変える物語なら、当初と同じ場面で対応が変わった集団の様子を書く、とか。

あとがき

 ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
 今回は私の感想が多かったですね。実は書いていないだけで、毎度こんな感じで内心わたわたしているのですが、でもやっぱりその分(?)発見があり学びがあり、引き続き頑張ろうと思います。

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