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上越市の町屋の空き家活性化の取り組みが面白い

はじめに

先日、「北陸新幹線沿線が面白い」と題した投稿をしました。

horizon Workrooms内で開催された、地域活性化をテーマにしたVR会議に参加した際、参加者の居住地が、

東京

佐久、小海、御代田(長野)

千曲(長野)

上越(新潟)

と北陸新幹線沿線ばかりで、しかもその各地で様々な地域活性化の取り組みがなされていることが分かり、「これらの地域をつなげて何かできるのでは」「多拠点居住の拠点の一角を、北陸新幹線沿線に持つのも良いなぁ」などと興味深く感じました。

でも、「ただ耳で聞くだけではなく、直接現地に行かないと本質は分からない」と思ったのも確か。
ということで、時間を見つけて各地を回ることにしました。

その第一弾が、2021年11月12~14日に訪れた新潟県上越市。
これまでにnoteの #nagataグルメ でも紹介してきたので、先にそちらをご覧になってくださった方もいらっしゃるかもしれません。

上記投稿にも書きましたが、私はここのところ、不動産に興味を持っています。 
一つには、「ファイナンシャル・プランナーとして何か得意分野を身につけたい」という思いがあるのですが、元々、空き家問題に関心があったこと、そして、将来的に店舗兼住宅を購入して喫茶店経営ができないか、という構想があること、も大きな理由になっていて、そのためには適切な物件探しが重要だと考えたところにあります。

先日、日本紅茶協会認定のティーアドバイザーになり、かつ、宅地建物取引士資格試験にも合格しましたが、上記喫茶店のできるような店舗兼住宅の購入物件を探すことも視野に、空き家を再生させる面白い動きがあるという上越市を訪れることにしました。

雁木通りの町屋建築

長い前置きは終わり、本題に入ります。

上越市は、「雁木」の街並みで知られます。
雪が多いだけに、「おもに冬季の通路を確保するために家屋の一部やひさしなどを延長したもので、豪雪地の生活の知恵」だとか。

「高田町屋こめつぶ」が入る町屋の雁木

マレーシアやシンガポールで、暑さから身を守るために似たようなひさしを備えた建物がありますが、好対照ですね。

マレーシア・クアラルンプールの海南鶏飯のお店「南香」の店構え。入口の前にひさしがあるところなどが雁木に似ている感じだけれど、こちらは暑さ対策

正面から見ると、以下のような感じ。

上越市のテラスカイが入っている町屋

正面はコンパクトに見えますが、奥は広くて、ウナギの寝所みたいな感じです。

上越市のある町屋建築。奥に長い

中に入ると、蔵があったり、渡り廊下があったりします。

町屋をリノベーションした上越市の「こうじや」の中には蔵もありました。「こうじや」は後述の「ぱとぺ構想」の一角
「こうじや」の蔵の中。映画DVDや音楽が楽しめる大人の秘密基地みたいになっています
「こうじや」の中。2階には渡り廊下が
「高田町屋こめつぶ」。町屋の真ん中ら辺に吹き抜けがあり、上から光を取る
「高田町屋こめつぶ」。町屋の廊下を通り抜けて外に出ると、庭があり、そこを畑にするケースもあるそうです
「高田町屋こめつぶ」。廊下の長さが見て取れます

町屋の1階は主人の家族が住み、2階には使用人の労働者たちが住む、みたいな感じだったようです。
例えば、こちらのサイトで触れられている「1049」(てんじく)の建物は昔、蒟蒻工場だったそうです。

「1049」(てんじく)

そのような特異性が上越市の町屋建築の魅力ではあるのですが、物件の購入費よりもリノベーションに掛かる金額の方が多い、などというケースもあるとか。
雁木通りの町屋が建ち並ぶ光景はとても魅力的なのですが、その辺りが課題ではあるそうです。

あと、気づきが1点。
古民家の再活用をしようとすると、古道具などがたくさん出てくるので、地元グループで活動しようとするならば古道具屋が必要、ということも分かりました。
上越市だと「天国」「1049」がそれに当たるのかもしれませんが、私がシェア別荘をしている神奈川県三浦市でも、「空き家レスキュー」という活動があります。

大掛かりな取り組みとしてやるならば、エコシステムも考えた座組みをやることが大切だと感じました。

ぱとぺ構想

上越市の雁木通りの町屋活性化の動きは、高田駅周辺の本町地区が一つの中心なのですが、もう一つの中心が四ヶ所・戸野目地区。
「ぱとぺ構想」と題して、近隣にあるいくつかの町屋をリノベーションし、本のある談話コーナー「Bookバル『ほんや』」や民泊施設「はたご」、蔵の美術館「たなやかた」を設立するなどしています。

Bookバル「ほんや」の入口。この日は「米津玄師を語る会」で盛り上がっていました
Bookバル「ほんや」の中。本を売る本屋ではありません
民泊はたごの入口
遠くに見えるのが「蔵の美術館たなやかた」

大きめの町屋に関する取り組み

これまで「自分が喫茶店をやるならば、このくらいのサイズの町屋かな」と若干小さめの町屋に関する活動を紹介してきましたが、大きめな町屋を活用した取り組みも紹介いたします。

まずは町屋交流館「高田小町」。

町屋交流館「高田小町」

会議室や展示スペースなどがあり、本町地区の中の集客拠点的な存在と言えるでしょう。

町屋交流館「高田小町」の和室

同じく本町地区の旧今井染物屋は、上越市に現存する町屋の中では最古級、最大級だとか。

旧今井染物屋

こちらも1階に主人たちが住み、2階に使用人が寝泊まりしていたそうです。
1階奥に、これまた蔵がありました。

旧今井染物屋の中にある蔵

細長い梯子で2階に上がるのですが、寝ている時間帯は梯子が外されていたとか……。
脱走防止のためだったのかもしれませんが、日本もちょっと世代を巻き戻せばそういう人権意識希薄な時代に行き着くのだな……ということに思い至ります。

私が泊まったやどバー「TATSUJI」も古民家を回収した宿屋でしたが、しっかりリノベーションされていて、とても快適でした。

やどバーTATSUJI

上越市でできるかは分かりませんが、大きめな古民家だからこそできる活動も確かにあるわけで、そうした分野にもアンテナを貼っていきたいと思います。

おわりに

ここまで、上越市の様々な空き家活性化を取り組みについて見てきました。
以下の施設も、古民家をうまく活用しているケースと言えます。

自分としては「ぱとぺ構想」のように、いくつかの施設が有機的につながるような取り組みって良いなぁ、と思っています。
自分も同じようなことができれば楽しいですが、どうしても資金力の問題が出てくるので、本当にやるとしたら、グループでやれると面白いかもしれません。

前述の「店舗兼住宅を購入して喫茶店経営ができないか、という構想」の点、リノベーションに掛かるコストと、冬に自分が不在のタイミングで大雪が降った際に雪下ろし作業に携われないのでは、という点が課題ではありますが、引き続き上越市にも足を運び、候補を探していきたいと思います。

旧丸山邸改めフィリップス邸

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