風邪の時は風呂に入らない方が良い?
以前に投稿した記事に対して「風邪の時はお風呂に入ってはいけないという風潮がありますが矛盾しませんか?」とのご質問を戴きました。
なるほど、風邪をひいたらお風呂はNG、確かに定説ですよね。というわけで、入浴の是非を改めて考えてみました。
1)身体に何が起こるか?
まずは入浴した際、身体に起こる変化をあげてみると、身体がお湯に温められるため、体温は確実に上がります。
さらに、自律神経は副交感神経が優位になり血の巡りがよくなりますので、やはり体温は上昇するでしょう。
つまり、一時的とはいえウイルスの活動を抑制し、免疫力の向上が期待できそうです。
その他、風邪をひくと鼻が詰まって呼吸がしにくくなりますが、お風呂に入れば鼻づまりが解消する可能性があります。
浴室の湯気が喉に優しいのも好材料です。
ウイルスは乾燥した状態で繁殖しやすくなりますが、鼻や喉の粘膜が潤えばウイルスの活動を抑制してくれます。何より、喉のイガイガから解放されるだけでもと有難いですよね。
それでは入浴後はどうでしょう?
お風呂からでると、周囲の空気に冷やされて体温は急速に低下していきます。
この際、しっかり身体を拭いておかないと、水分が気化するタイミングでさらに体温が奪われるでしょう。髪が長い方は注意が必要ですね。
2)メリットとデメリット
ここまでを、いったん整理します。
<メリット>
・免疫細胞が活性化する
・ウイルスの繁殖が抑制される
・鼻づまりが解消する
・喉のイガイガが解消する
<デメリット>
・体温があがり余計にしんどくなる
・湯冷めする可能性がある
個人的には、メリットの方が多いと考えますが、好みの問題かもしれません。
風邪で発熱しているところ、さらに体温が上がり、しんどさの度合いは確実に増します。
体温(免疫力)の上昇を良しとするか否かという事になりますでしょうか。
中には、入浴による体温の上昇を「悪化させてしまった・・・」と勘違いするケースもありそうです。
3)お風呂がNGな理由
お風呂がなぜダメなのか調べてみると「体力が消耗するから」という解説が目立ちました。
以前の投稿でも書きましたが、体力を温存する理由は風邪を治すためですよね。
ですが、温存している間にウイルスは繁殖するのですから、戦略としては微妙でしょう。
翌日以降の予定、患っている病気の有無など、置かれている環境や条件によって最善策が変わりそうです。
ところで、上記以外にも興味深い説がありました。
風邪をひいたらお風呂はダメという風潮が日本社会に浸透した理由は、銭湯を利用していた人が多かったから
確かに、ひと昔前まではお風呂がない家庭は珍しくありませんでした。
現在と違って、銭湯がたくさんありましたが、それでも、徒歩で5分程度は必要になります。
そうしますと、せっかく銭湯で温まったにも関らず、寒空の下を歩いて帰るうちに湯冷めしますので、それこそ、風邪を悪化させてしまうでしょう。
さらに銭湯のお湯は、やたらと熱いのです。体感からの推測ですが、42~44度だと思います。
温覚から熱痛刺激に切り替わる温度が45度です。それを踏まえて考えると、副交感神経が優位になってリラックスどころか、熱刺激となって交感神経が優位になってしまいかねません。
その場合、体力も大幅に消耗してしまいますので、銭湯通いが一般的だった頃であれば、風邪をひいたらお風呂を敬遠する人が多数を占めたのも頷けるお話しですよね。
4)結論と致しまして
38度くらいまで発熱していると、それ以上体温をあげる意味がありませんので、デメリットがメリットを上回りそうです。
ですが、微熱程度であれば、入浴により意図的に体温を上昇させて、手っ取り早く免疫力を向上させるのも選択肢のひとつでしょう。
ただし、入浴した場合は、湯冷めしてしまわないように注意が必要です。
髪の毛が濡れていると断続的に気化熱が奪われますので、髪を洗うのは避けた方が無難でしょうか。
その他、お風呂に入ると、発汗や代謝が促進されますので水分補給にも気をつけたいところです。
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