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信じてもらえる、というだけで力が湧いてくることもある

プールに通ってきている男の子の話。

中学生の男の子です。
今、いろんな行先で「問題行動が多い」(本当に問題なのか?ということもそもそもありますが…)と言われまくっているそうです。
プールでは、そんな様子は見られません。
ということは、何かが違うはずなんです。
もちろんプールという限定的な活動と時間だからという事はあるかもしれませんが…それを差し引いても、というお話です。

女性の胸を触る
突発的に走り出して周囲がヒヤリとする
人を叩く
人の髪の毛を触る

僕の耳に入っている行動で、こんなものが見られるとのことです。

こうやって並べて書いてみるだけでも、なんとなく行動に隠れた彼の要求というか願いみたいなものが見えてきそうですが…

これらが継続的に表出すると、確かに「周囲は困る」という事になるかもしれません。
ただ、適切な手立てを講じれば間違いなく周囲が困ることは減っていくはずです。
ここで言う「手立て」は、「行動を抑える」ということだけにこだわってはいけないと思っています。
まずは、この子の要求について思いを巡らせることが大切です。

言葉が豊富な子ではないので、行動から思いや要求を推察していくことが求められるので、それが難しいという事かもしれません。

どういう時に、どんな表情で、何を…

もちろん「困る」ことは「困るから止めてね」ということを伝えることは必要だと思うのですが、「気持ちは分かる」上で伝えるのと、機械的に止めさせるのでは、全く意味が異なってくると思うのです。


さて、この子の話に戻します。
プールというのは水着です。
普段着姿よりも「性」を意識する機会というか、しやすい環境にあると思うんです。
それでも、この子は、僕とある程度の距離を取り、他の利用客がいても他の女性客の胸を触ろうとするとか、突発的にプールサイドを走り出すという事はありません。

これまでの、彼と僕との時間で積み上げてきたものがあるので、信じて彼自身に任せる間と距離を取ることが出来ます。
「信じる」って漠然としているかもしれませんが、信じられるだけの根拠を用意、準備して距離を取ります。

また、彼の様子を見ているともちろん情動の変化がありますから、「今は少し近くに居ようかな」みたいな判断をして、微調整をします。
そうして困りごとが何事もなく心地よく過ごせるようにして、「気分良く過ごせた」という経験を積んで帰って、安心と自信を持って帰ってもらうようにしています。

こうしてお互いに信じあっていくと自由が増えていくのだと思います。

彼と関わりのある事業所さんなどからお尋ねがあるので、どうやって伝えるのか…ここからは僕の仕事です。

僕のやってきたことを言葉に、人に伝わるように。


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