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『kotoba』2023年春号のカズオ・イシグロ特集で古川日出男さんのインタビューが掲載されています。

聞き手を務めました。

カズオ・イシグロ特集を組むから、誰か日本の作家にインタビューしてくれと編集の方に言われて、「じゃあ古川さんでお願いします」と僕から頼みました。

というのも古川さんのカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』(入江真佐子訳、早川書房)の解説が素晴らしいんですね。文庫解説名選みたいな企画に必ず選ばれるような文章です。

 最終ページを読み終えた瞬間から、物語の内容を反芻しはじめる。ただちに、脳裡で。冒頭の一ページめからのさまざまな挿話を回顧するように。語り手(主人公)の感情を、再び咀嚼するように。年に何冊か、僕はそんな本に出会う。何かが圧倒的に"自分の一部"なのだ。もちろん、これはフィクションであって、ここには"自分の一部"は描かれていない。表層的には、もちろん。なのに、読後、捏造されはじめる感情すら ーー 断言すら、あるのだ。
 つまりわたしたちも、孤児だった。
 わたしたちも、また。
『わたしたちが孤児だったころ』解説

17年近く前のこの解説を手がかりに、古川さんとカズオ・イシグロの「出会い」、カズオ・イシグロにとって、あるいは古川日出男にとって、いや、人間そのものにとって、孤児とは、記憶とはなんなのかを聞いています。

至言の連続に慄くはずです。ぜひ。

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