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心の雨を流そう そして心で宝石をつくろう

悲しいことがあった。
仕事中、電話口で蔑まれるというような経験をした。

うっと胸が苦しくなる。
あまりに久しぶりの体験。
その時私は、とっさに感情をそのまま雲を見ているように見ていようと思った。
自分を好きなようにさせようと思った。
私は仕事中だったのだが電話を切った後その場で泣いた。

時は遡って数年前、私は職場で職場の人から無視されるといういじめのようなことを受けていた。
でも、私はなんだかその人に対して感情を返すことも、泣くこともなく、淡々と日々を過ごしていた。あまりに感覚が違いすぎると、リアクションするタイミングがない。ただ少しびっくりして、少し傷ついて、でも普通にしている。そんな風に日々を重ねていた。
ある日、私は通勤中、吉本ばななの小説を電車の中で久しぶりに読んだ。
そうしたらどうしたことか、鳥肌がブワッと立って、忘れていた心が水で満たされるような感覚がした。私は、自分の心が感じることをしていなかったことにその時ようやく気づいた。

”感じたくないことも感じなきゃ
何も感じられなくなるから”

宇多田ヒカルの新曲”誰にも言わない”の歌詞を思い出す。

私はあの頃の記憶はあまりない。ただ、荒野のように心に水がなかったなということだけ覚えている。
ただ、この経験も必ずきっと意味がある、何かいいことになるとは思っていた。
今ならわかる。さっさと早く辞めればよかった。笑
どう考えても私のいるべき場所ではなかった。業務内容然り、職場環境然り。そのことを環境が教えてくれていたとも言えるかもしれないが、今はただただ早く辞めればよかったと思う。
でも、3年はいないと経歴が、、とかつまらないことを私は思っていた。それくらい当時の私は社会通念の檻に縛られていた。

今に話を戻すと、私は仕事中に泣き出したわけだが、そう、そうしたらものすごくすっきりとしてしまい。あの胸につっかえるものが、跡形もなく消えてしまった。
涙ってすごい。涙ってすごいよ。
心の雨みたいなものだな、と思ったら、本当に外では雨が降り出した。

仕事中に泣いたっていいじゃない。嫌な職場はすぐに辞めたっていいじゃない。
今なら心からそう思う。人生は時間が限られている。
一瞬でも楽しくないことはしていたくない。

そう、そして、私が次に思ったことは、これでまた私はこの経験から宝石を作れる、と思った。心につまったものは跡形もなく涙で洗い流されたけど、みるみるうちに違う形をとって私に言葉を生み出させた。私はそれを宝石のように思うのだ。こうしていろんな宝石を心は生み出していく。そして、それを集めて繋げて、ペンダントを作りたいなと思うのだ。見えないペンダントだけど、それはきっと私を輝かせる。

#エッセイ #仕事 #涙 #誰にも言わない #宇多田ヒカル #心

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