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分裂する 浜辺で鯨の群れが 打ち上げられ 死んだ 七年前の話 標本は 図書室にある 彼女は肋骨…
あの白く輝くすすきを見て 美しい言葉をいって、ときみはねだった 何もいえなかった 気のきい…
ここに獣と呼びたい心がある それは海に向かって吠え 砂丘に対して爪を立てる 生きろとハッパ…
城の前で待つ 夕暮れどき ベンチに座った影は 猫背になっている 窓という窓に明かりがつきはじ…
サスペンダーにシャツ 紺のネクタイ ローファーと帽子 人も信号機も街路樹も アップデートさ…
ぼくのいつも左側を歩くきみの ほんとうは右から見る横顔が好き ぼくの瞳が茶色いといったき…
改札で待つきみのもとに羽が降ってきて あたりの空気をごちゃまぜにする 言葉は渦を巻き 排水溝へと吸いこまれる 文庫本から顔を上げたきみは何もいわない 沈黙が鳴るなかぼくをじっとを見つめる ぼくは声を失う はじめて見る服を着ていたからじゃない ぼくはそこに“ある詩”を見つけたのだ きみのそばに隠れるようにして 光が介在すると消えてしまう まだ現像されていない暗室の中の写真のよう きみは歌いだす ぼくたちの未来が歌われた詩を 音程に狂いはなく テンポもはなはだ正確だ それ
かりんとうに似た雲を見つけた それがわたしの絶望の始まりだった かりんとうにもいろんな形が…