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詩 『かりんとう日和』

かりんとうに似た雲を見つけた
それがわたしの絶望の始まりだった
かりんとうにもいろんな形があるのに
そう思うのはなぜだろう
わたしはそれを手に入れたかった

わたしは入道雲に足をかけた
切り立った崖に似ていた
見下ろした街は巨人の腕の鳥肌のようだった

あの頃
若いうさぎであるわたしにはわからなかった
なぜこの手がやさしさしかつかまないのか
この口が甘さしか感じないのか
この目が悲しみを見ないのか
この耳が喜びしか聞かないのか

ずっと上の方で
かりんとうによく似た雲が浮かんでいた
体中の汗が塩の結晶となって斜面を落ちた
手のひらの皮はボロボロ
血豆から血が噴きでた
爪も割れた
かりんとうに似た雲はちりぢりだった

もうかりんとうとは呼べない
たどり着けるすべはなかった
夏の背筋に一筋の冷たい汗が流れ落ちた

        *

わたしは帽子を編んだ
銀の草を素材にして
わたしはそれを
穴うさぎの寝床からくすねてきた

凄まじいビル風が吹き荒れるなかを
人々が行く
我々はどこへ向かうのか
日時計は「海」を指している

風がわたしの帽子を飛ばした
それがわたしの絶望の終わりだった
帽子は太陽のもとにいき
すぐに友達になった

わたしは胸の懐中時計をとりだし
時間を調べた
結婚式までまだ少し時間がある
海に立ち寄ってその音を拾い
彼女に聞かせてやろうとわたしは思った

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