見出し画像

お酒をやめるの、やめることにした。

 お酒をやめた。数ヶ月前に。

 少量であっても、お酒は体に良くないらしい。「お酒と健康」には、様々な説がある。新しい説も次から次に出てくる。正直、何が正しいのかよく分からない。ただ一つ確実なことは、飲んだ次の日の体調がすこぶる悪いということだ。特に午前中など、使い物にならなくなってしまう。だから、お酒をやめることにした。

 しかし、少し立ち止まって考えてみた。お酒をやめれば、確かに爽やかで健康な生活が送れるかもしれない。ただ一方で、お酒をやめることで、私は何を失うのだろうか。

 お酒を飲むと、人間の脳の外縁、理性を司る部分の働きが鈍くなるらしい。そうすることで、陽気な気分になったり、他人に対する警戒心が薄れたりするそうだ。また、人類の歴史とお酒の関係はとても古く長い。それは、「他者と協力すること」が生存に不可欠だった人類にとって、お酒という「人と人を結びつけるツール」の重要性が高かったことに他ならない。

 色々思案した結果、多少の健康を犠牲にしても、お酒を飲むことにした。私にとってお酒は、他者と交歓するための大事なツールだと思ったのだ。もちろん、お酒なんてなくても、人と人とは親しくなることができる。ただ、時にお酒の力を借りるのも、良いなと思った。だから、お酒をやめるの、やめることにした。

 今日もしっかり二日酔いである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?