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⑸東京湾の干潟再生計画がすごい。江戸時代モデルの水上移動手段が現代にヨミガエレ!

東京近郊のJR駅構内で最近よく目にする「ウォーターズ竹芝」のポスター。

水辺を活かしたまちづくり
ウォーターズ竹芝
駅から、街から、未来をつくろう

すごく気になっていました。

シンプルなキャッチコピー。「水辺を活かしたまちづくり」。
街好き、水辺好き、にはこのうえなく響くメッセージです。

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「CITY UP!」公式サイトから引用


竹芝ってどこ?

東京の人にもあまり知られていない、知名度の低いエリア「竹芝」。

ゆりかもめの駅はあるけれども、利用者が少ない地域です。

それもそのはず。現在の竹芝駅周辺の周りは、伊豆諸島等に向かうフェリーターミナル、ホテル、そして若干のオフィスがあるくらい。あとは、東京湾。

人が少ないわけだ。

そんな場所で開発?!

しかも開発主体がJRって!もう気になります。

気になっているなら、行ってしまえ!!

という事で、浅草雷門から自転車で10分の下町生まれ。下町の貴公子こと、オキツカズヒロが現地「ウォーターズ竹芝」を視察して参りました。

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浜松町駅からの道中で振り返った景色


ウォーターズ竹芝」は、JR東日本が竹芝の海沿いエリアに建設した、劇団四季の劇場、ホテル、商業、オフィスからなる複合施設です。

場所は、山手線「浜松町駅」から徒歩8分。東京タワーを背にして大通りを直進。
伊豆諸島への船の発着場である「竹芝桟橋」の近くです。


せっかくなので、下調べ無しで突撃!

感想は、想像を遥かに超えるものでした。

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ウォーターズ竹芝
シアター棟と海を見渡せる芝生広場


正直、「水辺にちょっと触れられるゾーンや、海風が気持ちいいと感じられるテラスがある…程度のまちづくり」を思い描いていましたが、確かに水辺に触れられるゾーンが創出されていました。

しかもかなりレベル高い。


それ以上に真正面から
☑️「水辺をどう活かすか」
☑️「水辺とどう共存するか」更には
☑️「我々の未来に今出来ることは何か」

を本気で考えているまちづくりを目にすることが出来ました。

① 舟運ネットワークの再構築

 過去の記事[地図で旅する東京の水辺 「江戸時代」「戦後」「未来」へ空想タイムトリップ!江戸古地図にみる東京湾の本当の姿。]で触れましたが、江戸時代の江戸の町は多数の川、運河が張り巡らせられ、舟による物流が盛んに行われていました。

今のように鉄道や自動車など陸の交通機関が発達していなかったころ、荷物を運ぶ手段は舟(=舟運)だったんですね。


人々の移動手段として船を利用する事も多く、東京は『水と共存した街』と言えました。

 今回の「ウォーターズ竹芝」では、移動手段として船が利用できるようになっています。

この開発に合わせて、水上バスの発着場を新たに整備したとのこと。

東京都観光汽船株式会社が運行する[浅草〜浜離宮〜お台場海浜公園・葛西臨海公園]を結ぶ水上バスの既存路線に、ウォーターズ竹芝を新たに発着させる取り込みを実施。

船でアクセスする施設って新鮮ですね。


 鉄道だけが、街の中心じゃない。鉄道がないなら他の交通手段を作ってしまえ!っていうアンチテーゼのようにも思えます。それを鉄道会社しようとしていること。す、すごい。

 更に、水と共存していた水の街である江戸を、竹芝の開発を起点に甦らそうという気概を強く感じました

既に思っていた以上のまちづくりです!

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ウォーターズ竹芝に接岸する水上バス


 それだけではなく、新たな試みとして、観光汽船興業株式会社が運行する羽田空港発着のチャーター船(貸切リムジンボート)がテスト航行。

 勝手な妄想ですが「必ず発生する移動時間をいかに楽しみに変えるか」という問いに対する、実験ではないかと。

船での移動、絶対楽しいじゃないですか。

チャーター船の乗船には事前予約が必要とのことです。

是非みなさんも、羽田空港から竹芝の移動にご利用してみてはいかがでしょうか。

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チャーター船に使用される「リムジンボート」
「CITY UP!」公式サイトから引用


 この船が本格稼働し、定期航路になる事があれば、新たな「水都東京」の形として、アピールする事に繋がりそうですね。

 このように「水辺」としての利点をフルに活かし、新たな価値を提供すること。これからの新しい街づくりにおける基準になるかも知れないですよね。


② ヨミガエレ!東京湾干潟再生計画

 今回、一番驚いたのが、「ウォーターズ竹芝」の敷地内に設けられた『干潟』です。

かつて、東京湾に多数あった干潟の再生計画を行なっているそうです。

 ただひとつの施設として、今の親水空間を創出するだけではなく、未来の水辺空間の為の種蒔きをしていた事に、まちづくりの醍醐味を感じました。その「未来」の為の活用方法として選んだ選択が「過去」に東京湾に自然に有った干潟の再生でした。

 江戸時代の東京湾の各地に自然の干潟が存在していたそうです。その姿は浮世絵にも数多く描かれております。


そもそも、干潟とはどんなものなのでしょうか。

 干潟は河口域や湾奥に広がる平たんな砂泥地で、川から流れ込む土砂や泥が堆積してできている地形を指します。

 干潟には、川と海から有機物が流れ込み、潮の干満による酸素の供給も手伝って,底泥には有機物やそれを分解するバクテリアが数多く生息しています。

 そして、バクテリアを餌とする、プランクトンやカニ,貝が生息し、さらにこうした底生生物を餌とする、魚や鳥などが生息する。生き物の宝庫となっているのが干潟

 干潟が多数存在する東京湾だったからこそ、江戸の人々は、目の前の海で取れた新鮮な魚介を食す事ができ、以前の記事[【大江戸今昔めぐり】「江戸前」って言葉の語源。古地図アプリで江戸時代へタイムトラベル!?]に書きました、「江戸前ブランド」が完成したのではないかと考えます。

 それだけ、干潟が重要な役割果たしているんだなと、気づきました。


 そんな東京湾の干潟も、東京湾の埋め立てが盛んになった事や、高度成長による環境汚染等により得た物理的に得られた豊かさと引き換えに、どんどん姿を消し、今じゃ殆どみる事が無くなってしまいました。

以前あった干潟の90%が消滅したとも言われおります。

 生活の利便性向上の為、干潟が埋め立てられ、土地が拡大。工業化に伴う海洋生物の生態系の崩壊。

当時求められていたのは「物理的」な豊かさでした。

 そして時が経ち、「物理的」豊かさが確立された令和の今、今度は「」の豊かさが求められているのではないでしょうか。「」の豊かさを得る手段として選択されたのが、今回の『東京湾干潟再生計画』なのです。

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出来たばかりの竹芝干潟


 干潟を再生させる事で、多種多様な生態系が形成され、身近にその生物たちに触られる環境が出来る。まさに新しい水辺の活用方法ですね。

ただ、すぐに生物の楽園のような干潟が完成する訳ではなく、ゆっくりと、将来に向けて、再生していくようです。未来の我々が心豊かになる為に、今から着々と準備しているんだと思うと、嬉しくなりますね!いつかはこの干潟で潮干狩り!してみたいですね。

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竹芝干潟の将来イメージ
「ウォーターズ竹芝」公式サイトから引用


未来に繋がる街づくり。

「過去」の良い風景を、「未来」に残す為、「今」できる事をする。

単なる今の為の親水空間ではなく、未来に繋がるために、何をすべきか?

考えるキッカケになりそうです。

 まちづくりとして、時代の繋がりを持たす事、他のまちづくりにもの参考になるかも知れないと、ウォーターズ竹芝を見て思いを巡らす事が出来きました。

 そして、街を作るだけではなく、きっとウォーターズ竹芝の取組みは、環境に対する考え方や、未来の事を思いやる気持ちといった我々の意識づくりも、裏テーマになっているのではないかと、勝手に考えました。

 是非みなさんも、この新しい水辺を体験して、未来の事考えてみてはいかがでしょうか。

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□ ライター オキツ カズヒロ
隅田川と神田川の近くで生まれ、3歳の時見た二子玉川兵庫島からの夕日の素晴らしさに生まれて初めての感動を覚える。それ以降、足しげく多摩川に通う等、水を身近に感じながら育つ。水泳、スキューバダイビング、と水に触れる趣味を持ち、大学でも水理学を学び、その後、スイミングインストラクターとしてスポーツクラブに就職。人生の半分を水と共に過ごす。 残り半分は街歩きに従事。地図片手に、東京を歩き回る。スイーツ求めて走り回る。美味しさがしてかけずりまわる。東京の良いとこ、悪いとこ発信していきます。


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【studio iota label】

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