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すぐに「落とし所」を求めようとする中堅社員について

仕事をしていると、お客さんとの交渉時が行き詰まったり、会社の他部署から難しい要求を突きつけられたり、または同じ部署の同僚から少し無理なお願いをされることは、ほぼ毎日発生する。

こうした少し込み入った状況に直面したとき、人はおおよそ2パターンの行動様式を取る。1つ目は「原理・原則またはあるべき姿に則ってきちんと交渉を進めていくパターン」、2つ目は「最初から交渉や議論の妥協点である落とし所を見極めてそこに向けて交渉を『調整』していくパターン」である。

1つ目の「あるべき交渉論を展開する人」は、交渉に時間もかかる上、効率至上主義の社員からは「そんな堅苦しいこと言うなよ」と諭され、そして実際に結論だけ見てしまえば妥協の末の着地点としての「落とし所」に持ち込まれることもある。

一方で2つ目の「最初から妥協点である『落とし所』を見つける人」は、他部署やお客さんからも物分かりが良く思われ、交渉もスムーズになあなあの温和な雰囲気の中で終わる。そのための仕事も早くスマートに終わるように見える。

そして2つ目のパターンはある程度仕事の慣れてきた中堅社員によく見られる。なぜなら経験則で「やってもやらなくても結果が変わらない交渉や議論」が見通せるので、「結果が同じならその間のプロセスはどっちでもいいでしょ」といく効率的な考えの下、淡々とこなすことができるからである。

しかし、自分は若手の人にはこうした2つ目のパターンの行動様式は真似をせずに、1つ目のパターンの通り正々堂々と仕事をする人になって欲しい、とつくづく思う。

自分の立場や原則論に立脚した上で持論を展開することは交渉や議論の基本である。最初から自分の立場も明確にせず、軸も持たずになあなあで落とし所を探りにいくスタイルは長期的に見たら他人から信頼もされないだろうし、何より説明責任を果たすことも出来ない。仕事も流すようにするようになって「どうせこんなもんでしょ」と思うようになり、仕事に対する熱も入らなくなるだろう。

そもそも「落とし所」とは英語で直訳するとCompromise(妥協)である。仕事で妥協点を最初から見つけにいく、と考えると非常に格好悪い仕事の仕方の仕方である。

幸い、今の会社の偉い人たちは2つ目のパターンの思考様式の人はほぼゼロであり、大半が1つ目のパターンの思考様式をまとっている。この点だけは救われたと思っている。

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