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第2回 手続きの期限 | 学校では教えてくれない相続の話

行政書士の長岡です。相続の話、第2回目となる今回は、相続手続の期限について解説してみます。

相続の開始と手続きの期限

相続はいつ始まるのか……これはわりと単純な話です。「相続は、死亡によって開始する」と、法律に書かれています。つまり、人が亡くなると、その時点から相続が開始するわけです。

民法 第882条(相続開始の原因)
相続は、死亡によって開始する。
e-Gov法令検索

これに対して、相続に関する代表的な手続きの期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」ですとか、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」といった具合に定められています。開始の時点に比べると、やや複雑ですね。

といっても、手続きを進めるのは基本的に相続人(または相続人に依頼された人)でしょうから、たいていの場合は死亡日当日か、遅くとも数日以内には、その人が亡くなったことを知っていたと考えられます。ですから、「死亡日から○か月以内に」と考えて、諸々の手続きを進めていくのが無難です。

相続に関する手続きの中で期限が定められているものとしては、次の3つが代表的なものになります。

1.相続の承認または放棄の選択(3か月以内)
2.準確定申告(4か月以内)
3.相続税の申告と納税(10か月以内)

1.相続の承認または放棄の選択(3か月以内)

亡くなった人が多額の借金を残していた場合などは、その返済義務も含めて「相続放棄」をすることができます。放棄の期限は3か月以内ですので、期限内に放棄しなかった場合は、承認したものとみなされます。放棄しなければ借金を返済する義務を引き継ぐことになりますので、心当たりのある方はご注意ください。

ちなみに、借金がなくても相続放棄は可能です。また、正式に放棄をするためには家庭裁判所への申立てが必要になりますので、専門家に依頼するなら弁護士または司法書士への相談がお勧めです(行政書士は申立ての書類を作れないので)。

2.準確定申告(4か月以内)

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