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【マッチプレビュー】2022 J3 第16節 AC長野パルセイロvsFC今治

連勝による追い風を

 第14節、第15節はカターレ富山とSC相模原のアウェイ2連戦となりました。順位表で上位につけるカターレ富山に対しては、今季のパルセイロスタイルを貫いたものの、序盤の失点に泣き敗戦。連敗するわけにはいかない第15節のSC相模原戦では、14分までに2得点を奪い試合の主導権を掌握しました。後半中盤の失点を機に相手に流れを渡しますが、数的不利の状況も乗り越えて勝点3をアウェイでもぎとりました。欲を出せば、第10節から第12節で失った勝点分をアウェイで取り返してほしかったですが、連敗せず勝点3を持ち帰ってくることができたのは最低限の収穫と言えるでしょう。また、カターレ富山戦、SC相模原戦ともに今季のパルセイロの強みと発展途上の点が確認されました。チームは自らに矢印を向けて成長していることが伺える中盤戦になり始めているため、成長曲線をどれだけ急激に描けるかという点が昇格に向けては重要になってきそうです。
 第16節は久しぶりに迎えるホームゲームになります。前回のホームゲームのヴァンラーレ八戸戦では勝点3を掴み取っているので、今節のFC今治に対しても勝点3を奪いとり、ホームで連勝達成し大きな追い風にしていきましょう。

通算対戦成績

 FC今治とパルセイロのJ3における初顔合わせは、2020シーズンでした。まだ4試合しか記録されていないためデータとしては小さいものになりますが、パルセイロはFC今治に対してJ3通算1勝3分0敗を記録しています。負けていないという事実もありますが、それ以上に得点の動きにくい対戦カードと言えるでしょう。唯一この対戦カードで勝敗がついた1試合は2020シーズンの後半戦、お互いにJ2昇格圏内に向けて是が非でも勝点3が欲しい試合での対戦。ゴール前の混戦で東が押し込んでの1-0勝利でした。
 2020シーズンからの4度の対戦で両チーム合わせても3得点しかスコアが動かなかった堅い対戦カードですが、今季もその流れを踏襲してロースコアでの決着となるのでしょうか。それとも、ケチャップの蓋が外れた撃ち合いor
大量得点の試合になるのでしょうか。お互いにまずまずの成績で今季を戦ってきていますが、連勝は1度しかありません。両チーム共にさらに上位に食い込んでいくためには、連勝の数を増やし連勝を途切れさせない強さが求められます。昨季はホーム& アウェイ共にノーゴールでの決着。連勝達成のためにより多くゴールネットを揺らすことができるのはどちらになるでしょうか。

今季これまでの両クラブ

AC長野パルセイロ

 まずはホームチームのAC長野パルセイロ。15試合を終えて6勝5分4敗で勝点23、暫定8位に位置しています。
 第14節カターレ富山に敗れたことで今季初めてボトムハーフに転落しましたが、第15節の勝利によって再びトップハーフに戻ってきました。トップハーフとボトムハーフの境目である中位層の勝点差は非常に詰まっており、1敗すればボトムハーフに1勝すればトップハーフに行けるというような構図になっています。

 第9節の信州ダービー終了時点までは、トップ4に居続けることはできなかったものの自力で首位まで駆け上がる順位につけることができていました。第10節以降、悪魔の後半終了間際の失点が相次ぎ勝点を失うと上位を虎視眈々と狙う位置というよりも、その下の集団に飲み込まれた段階に入りました。前項でも挙げたように連勝が第6節から第7節にかけての1度しかないことが、この集団からトップ層に抜け出せない大きな原因と言えるので、中位集団の上位側につけるFC今治を直接破り、順位を一つ一つ上げていくにはこれ以上ないチャンスと言えるでしょう。
 負けない戦いが重要であると同時に上位に追いつき追い越すためには、ホームでは"負けない"のではなく"勝つ"ことが絶対条件になるでしょう。今季ホームで敗れたのはいわきFC戦が最後です。負けていないところから勝ち切る集団に進化できるかが今節をターニングポイントにできるかの分かれ目になるはずです。

FC今治

 次にアウェイチームのFC今治。15試合を終えて7勝3分5敗で勝点24、暫定7位に位置しています。
 開幕戦では福島ユナイテッドFCに敗れますが、第2節でカターレ富山を破り今季初勝利を記録します。パルセイロと同じようにコロナ禍の影響を受けることなく予定通りリーグ日程を消化できているFC今治ですが、パルセイロと同じように調子の波があるシーズンに思えます。

 第4節でギラヴァンツ北九州に0-3と大敗した後、ヴァンラーレ八戸、いわきFCに勝利、テゲバジャーロ宮崎との引き分けを挟んでカマタマーレ讃岐にも勝利して4試合負けなしを達成しました。上図の6位まで浮上したところがこの期間に該当します。しかし、鹿児島ユナイテッドFC、松本山雅FCの上位相手に連敗すると、上位陣に食い込む突き抜けは見せることができませんでした。ただ、第13節〜第15節までは2勝1分で負けなしとなっており、再び上位に食い込む意地を見せるチャンスが到来しているようにも思えます。そして、順位が近いパルセイロ相手に勝利を収めて今季2度目の連勝+4試合負けなしとなれば、スロースタートではありますが上位に食い込む余地はまだあると考えます。
 前節はFC岐阜に対して5-0の大勝を収めて勢いは十分と言えます。今季第14節までは最大でも2得点しか奪えていなかったことを考えると第16節を前にケチャップの蓋を開け、ロースコアの流れを変えるような力を持ち合わせているでしょう。ただ、前節ゴールラッシュの口火を切ったインディオ選手が累積警告で出場停止ということが、どれだけ影響するかにも留意しなくてはなりません。

今節の注目選手

※当該選手が出場することを保証するものではありません。

AC長野パルセイロ

 今節パルセイロで注目選手に挙げるのは水谷拓磨です。2020シーズンに加入して加入初年度から絶対的な主力としてチームを牽引してきました。今季からはキャプテンを任されるようになり、よりチームの中心選手になったことが伺える任命でした。
 前節、本人は「ゴールは狙っていない」と話した、インスイングのクロスがそのままゴールに吸い込まれて今季初得点を記録しました。今季途中2試合ほど原因不明で戦列を離れることで、サポーターに移籍or怪我を匂わせるサプライズがありましたが、何もなさそうでホッとしました。左サイドからの組み立てが多くなるパルセイロにとって替えの効かないSBであり、今節も重要な役割を担うでしょう。
 キャプテンであり、ビルドアップの潤滑油である彼が古巣相手に活躍することが勝利の鍵になることは間違いないです。最近スタメンから遠ざかっている三田との元FC今治ホットラインが開通すれば、これまであと一歩抜け切らない勢いの面でプラスになるのではないでしょうか。

FC今治

 今節FC今治で注目選手に挙げるのは中川風希選手です。
 前節も2ゴールを記録し、今季これまでで6得点を奪っています。FC今治内チームトップの得点数であり、膠着しやすいこの対戦カードでも得点力が爆発すれば、中川選手個人だけでなくチームにとっても好循環を与えることのできる点取屋としての資質を遺憾無く発揮することになるでしょう。
 今季からFC今治に加入した選手ですが、J3経験はすでにFC琉球時代に積んでいます。当時J3だったFC琉球で32試合16得点の大活躍をし、チームをJ2昇格に導く原動力になっていました。単純計算で2試合あたり1得点決められるストライカーですから、対戦相手としてはこの上ないほど厄介なFWになると言えます。
 4-1-2-3の3トップの頂点としても、4-4-2の2トップとしても、4-2-3-1の2列目としても活躍ができる比較的ユーティリティな前線の選手です。彼がFC今治のシステムのどこに配置され、どんな役割をパルセイロ戦で担うかにも注目しておく必要があるでしょう。
 大学卒業後は一時的にスペインに渡っていた時期もあり、日本のサッカー環境のみで育ってきたFWとは少し違うゴールへの感性も持ち合わせているのかもしれません。パルセイロとしては勝利するためにこの選手を起点とした攻撃には注意しなくてはなりません。

試合の注目ポイント

総得点

 再三強調している点になりますが、過去4試合で決着がついた試合は1度だけ。そして、得点もわずかに3点のみと非常に堅い試合結果になることが多い同対戦カードですが、今節ではどれほどのゴールシーンが生まれることになるのでしょうか。
 お互いに15試合を終えて総得点は17点と単純計算で1試合1点以上は奪っているチーム同士の対戦になりますが、これまでの流れ通り拮抗した試合になるのでしょうか。
 パルセイロは前節SC相模原に対して試合開始早々に得点を奪い、14分までに2得点。2点目の直後も鋭い攻撃から相手DFラインの裏をついて決定機を作り出しました。結果的に3点目以降は奪えずに試合終了間際苦しい展開になりましたが、65分頃までのパルセイロの攻撃はかなり良い数値を叩き出していました。「決定力がない」と言ってしまえば終わりですが、シュタルフ監督がインタビュー等で口にしている「ゴールへ結びつくチャンスを増やす」という点に関してはすでに結果に繋がってきています。この成長曲線が1週間でどれだけ向上するかによっては大量得点も考えられるでしょう。
 一方のFC今治。順当に考えればゴールラッシュの可能性が高いと考えるのはこちらでしょう。前節FC岐阜に対してアウェイゲームでありながら5-0の完勝を収め、勢いに乗っている状態でしょう。前線からのプレッシングや鋭い攻撃などJ3を勝ち抜く上で必要なスタイルは確立していますし、近藤選手や島村選手など打開力や運動量に優れた選手を擁しています。セットプレーには190cmの身長を誇る安藤選手の一撃もあるため、早い段階で得点が生まれると2節続いての大量得点にもつながる可能性は大いに秘めています。

まとめ

 これまでAC長野パルセイロvsFC今治のマッチプレビューをしてきましたが、いかがだったでしょうか。
 お互いに8位・7位と順位も近く、波にいまいち乗り切れていない部分やこれまでの対戦から見るジンクスなどを踏まえても激戦となることは必至でしょう。もちろんパルセイロサポーターである私としては、ロースコアのジンクスを吹き飛ばして、5点でも6点でも8点でもパルセイロのゴールラッシュになることを期待しています。また、退場or累積警告でパルセイロは東、FC今治はインディオ選手がメンバー外となることが決定しています。両選手共にチームにとっては間違いなく必要なゲームチェンジャーの役割を担える選手なので、不在の状態をどう乗り越えるかの両監督の采配にも注目しましょう。
 この戦いを制した方が上位進出の挑戦権を得るポジションに上がることは間違いないでしょう。前半戦終盤の戦いでお互いに勝点3が欲しい一戦。Uスタで繰り広げられる激戦を見逃すな。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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