【マッチプレビュー】2022 J3 第18節 AC長野パルセイロvsテゲバジャーロ宮崎

反撃開始

　2022 J3リーグも第18節を迎え後半戦がスタートします。前半戦はいわきFC、松本山雅FC、鹿児島ユナイテッドFCの勢いが物凄く、一貫して昇格圏内を席巻していたように感じます。

実際の上位3クラブの順位推移

　実際の推移を見てもその感覚はあまりずれていない印象で、第10節終了以降はこの3クラブが常に順位表の上3つを独占していました。これほどまでに前半戦で圧倒していた3クラブが最後まで上位を席巻しようとも、J2昇格のために設けられた椅子は2つ。この3クラブ内でさえ、必ず1クラブ以上は残留することになります。ただ、この3クラブ以外にもJ2昇格を目指すクラブはいくらでもあります。どのクラブも3クラブの勢いを折らないことには昇格圏内に躍り出ることはできませんが、その機が来た時にその場所を狙える位置にいなくてはならないです。昇格を目指すクラブは上位3クラブ以上に調子を上げなくてはならないため、パルセイロも後半戦の最初からギアをマックスにしていく必要があります。
　昨季の中断明け初戦はテゲバジャーロ宮崎、今季の後半戦開幕節もテゲバジャーロ宮崎が相手。運命的なものを感じざるを得ませんが、きっちり対戦相手についておさえておきましょう。

通算対戦成績

　パルセイロは今季前半戦の対戦を含めて、テゲバジャーロ宮崎に対してJ3通算1勝1分1敗で、完全な五分となっています。ただ、3試合分しかデータがないため相性というところを分析するには物足りないデータサイズと言えるでしょう。
　しかし、この通算対戦成績についた1敗は今季の前半戦のものです。忘れもしない第10節から第12節の悪夢の3試合、その中で唯一のアウェイゲームであり、唯一勝点を1つも奪えなかった試合でした。そして、パルセイロは前半戦で4敗を喫していますが、そのうちの1つはテゲバジャーロ宮崎戦です。今季受けた借りは今季中に返すしかありません。
　第11節で対戦した時は、後半アディショナルタイムに与えた相手のCKから決勝点を奪われて敗北となりました。ここ最近パルセイロはセットプレーからの得点が増え、宮阪のボールフィーリングが好調であることを考えると、セットプレーから前半戦の借りを返す先制ゴールを生んでほしいと思います。そして、先制ゴールの後は勝利をぐっと引き寄せるための追加点を2点でも3点でも奪えるだけ奪って、後半戦最初のスパートにしていきたいところです。

今季これまでの両クラブ

7月22日時点順位表

AC長野パルセイロ

　まずはホームチームのAC長野パルセイロ。今季17試合を消化して7勝6分4敗で勝点27、暫定7位に位置しています。
　前半戦17試合を振り返って、上位陣と比べてみると負け数は遜色ないくらいに少ないことが伺えます。しかし、上位陣と比べると勝ちが少なく、引き分けが多いということが言えるでしょう。前項でも言及した第10節〜第12節の悪夢の3試合のうち2つは勝ちが引き分けになった試合でした。他にも先制点を奪われて苦しい試合になる傾向があり、先制点を奪った試合では未だに負けがありません。
　後半戦調子を一気に上げていく鍵は、先制点と勝ち切る力でしょう。前半戦終盤は相手の順位が比較的下位だったことも影響しているかもしれませんが、いずれの改善点も克服し出しているように感じました。何となく試合に入らず、開始1秒から相手を喰らい尽くすような覇気で圧倒し、優位に試合を運んでほしいと思います。また、その結果1点しかリードを奪えないとしても最後まで勝ちきるところにこだわりをもって戦ってほしいです。

今季の順位推移（パルセイロ）

テゲバジャーロ宮崎

　次にアウェイチームのテゲバジャーロ宮崎。今季17試合を消化して4勝6分7敗で勝点18、暫定13位に位置しています。
　今季はこれまで平均してシュート数は1試合あたり15本以上、枠内シュート率も50%を超える高い攻撃スタッツを記録しています。攻撃に特長のあるチームということは昨季から変わっておらず、一定の成果を出していると言えるでしょう。
　しかし、テゲバジャーロ宮崎の懸念点としては勢いに翳りが見えるとこでしょう。前半戦第11節でパルセイロと対戦する以前の10試合では3勝6分1敗を記録しています。勝利というところからは少し結果を得られていないようにも思えますが、松本山雅FC・鹿児島ユナイテッドFCと対戦した時も相手より枠内シュートを放ち、ドローに持ち込むなど負けない強さがありました。ただ、第12節以降は一転して6連敗と勝点を1つも積み上げられていません。ウノゼロ無双状態のカターレ富山戦以外シュートに関する攻撃スタッツで相手を大きく上回ることは少なく、自慢の攻撃力も鳴りを潜めている状態です。
　勝利から遠ざかって前半戦を終えたテゲバジャーロ宮崎ですが、第9節・第10節の無得点状態から脱したのも対パルセイロ戦。うまくいっていない時に流れを変える試合にできたパルセイロ相手に苦手意識は持っていないはずです。今回も連敗を止めるきっかけにするべく血眼で勝利を目指してくるでしょう。

今季の順位推移（テゲバジャーロ宮崎）

今節の注目選手

※当該選手の出場を保証するモノではありません。

AC長野パルセイロ

　今節、AC長野パルセイロの注目選手に挙げるのは宮阪政樹です。
　昨季から加入し、横山政権下でもシュタルフ政権下でも攻撃のタクトを任されているプレーメイカー。何と言っても特長はその右足から放たれる正確無比な配球でしょう。逆サイドに展開する正確さはもちろんのこと、高い位置をとったSBにつける地を滑るような滑らかなボールの軌道も鳥肌モノ。ミドル〜ロングレンジのパスは、まさに芸術と言っても過言ではないほどの素晴らしい能力です。
　前節は開始2分で得たFKからショートバウンドで相手GKを強襲すると、山本が詰めて決勝点となりました。第16節のFC今治戦でも宮阪→山本をきっかけに池ヶ谷がゴールを奪っており、パルセイロのチャンスメイクとして欠かせない一翼を担っています。今節も山本とのホットラインが開通するのか。はたまた、芸術的なパスから違ったヒーローを誕生させるのか、注目していきましょう。

テゲバジャーロ宮崎

　今節、テゲバジャーロ宮崎の注目選手として挙げるのは千布一輝選手です。
　前半戦17試合で全試合フルタイム出場を続け、チームを牽引する核の存在。多くは4-1-2-3システムの中盤の底であるアンカーポジションで出場していて、宮阪と同じくチームのパスワークの中心になる選手と言えます。中盤の底が主戦場ということもあり、0ゴール1アシストと数字に残る活躍は少ないですが、全試合フルタイム出場ということからも欠かせない存在であることが伺えます。
　中盤の底で組み立て役を担うこともあれば、相手チームを押し込んだ場面では積極的にミドルシュートを放つなどゴールに対して強い意識も持っていると感じられます。また、プレーメイカーとしての顔もあれば、中盤でのリスクケアマンとしての顔もあります。ブロックやクリア数もそれなりにあり、タックル数も毎試合コンスタントに記録していることから戦えるアンカーでもあることがわかります。
　チームの核である選手を調子に乗らせないかがこの試合の鍵になってくるかもしれません。

試合の注目ポイント

鍵を握る横からの攻撃

　今節は横からの攻撃が鍵を握るかもしれません。"横からの攻撃"とは、基本的にはサイド攻撃からのクロスorFK（位置による）やCKのことを指します。
　テゲバジャーロ宮崎はセットプレーからの失点が4点、クロスからの失点が8点で計12失点。全22失点のうち半数を占めています。中でもクロスからの失点が8点ということは全失点のうちの3分の1以上がクロスから失点しているということです。パルセイロは全19得点のうちクロスから4点と決して大きい数字ではありませんが、仕掛けが得意なサイドアタッカーとキックの名手宮阪がいるということを考えるとセットプレーからの得点も期待されます。
　パルセイロもセットプレーから全17失点中6失点と3分の1を記録、テゲバジャーロ宮崎はセットプレーから7得点を記録しています。どちらにとってもセットプレーは大きな鍵になるでしょう。また、パルセイロはクロスから5失点していますが、テゲバジャーロ宮崎はクロスから2得点のみ。この点に関しては噛み合わせ的にパルセイロに有利なデータと言えるかもしれません。
　攻撃でどのエリアを鍵にして攻めるのか、結果として生まれたセットプレーから得点を奪うのはどちらなのか、目が離せない激戦になるでしょう。

まとめ

　ここまで2022 J3 第18節 AC長野パルセイロvsテゲバジャーロ宮崎のマッチプレビューをしてきました。
　中位脱出に向けてどうしても連勝がしたいパルセイロと連敗から抜け出し切り替えられる後半戦のスタートとするために勝利がほしいテゲバジャーロ宮崎。両チームにとって欲しいのは勝点1ではなく、勝点3。試合開始から最後の笛が鳴るまでアグレッシブにゴールに襲い掛かる攻撃が応酬するのではないでしょうか。
　初めての対戦はUスタでの昨季ホーム開幕戦。あの時は相手にとってJ加入初ゴールを献上してドローに持ち込まれました。昨季のアウェイゲームは中断明け1試合目で２-０の完勝。今季の前半戦は終了間際に勝点を失う敗戦。折り返し地点で勝利し、その後も勝ち続けるという昨季達成できなかったものを掴むために、昨季同様節目の試合でテゲバジャーロ宮崎との対戦に勝ち、スタートラインに立つ。
　被シーズンダブルはあり得ない。獅子が欲するのは勝点3。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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