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2022J3リーグシーズンプレビュー⑥

 2022J3開幕に向けて各クラブシーズンプレビューをまとめてきましたが、ついに今回が最終回になります。最終回まとめるチームは「AC長野パルセイロ」です!私が応援しているクラブなので、1記事分を使って大々的にまとめていきたいと思います。

①2021のAC長野パルセイロ

 2021シーズンはパルセイロにとって悔しいシーズンとなりました。2020シーズンは最終節でSC相模原に逆転優勝を決められ、悲願のJ2昇格がまた手からするりと抜けてしまいました。
 その悔しさを胸に挑んだ2021シーズンでしたが、開幕戦で勝利して以降リーグ戦で8試合勝ちなしの状態が続きます。J2からの降格クラブがいない状態でのスタートであった2021シーズンは、J3で昇格候補筆頭と目されていましたが、その期待を大きく裏切る停滞ぶりでした。序盤の停滞の最大要因は、得点力の欠如にあったと思います。その証拠に開幕戦後の未勝利期間で複数得点をとった試合数は0、先制点を奪っても追加点とはならず隙をつかれて失点、同点弾の後流れに乗り切れずそのまま試合終了、相手に突く隙がなければ得点が取れずにそのまま試合終了とチームは不完全燃焼に陥っているように思えました。

 そんなチームに転機が訪れたのは天皇杯2回戦のことでした。相手は近年J1リーグで無類の強さを誇る川崎フロンターレ、天皇杯で爪痕を残しがちなパルセイロと言えど、さすがにこの状態のフロンターレには厳しいんじゃないか。リーグ戦でも波に乗れていないし...というのが当時の私の正直な感想でした。
 当時のスタメンは以下の通り。

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川崎フロンターレはACL前最後の国内公式戦のため、日本代表招集メンバーを除く容赦ないフルメンバー起用。対するパルセイロはリーグ戦で中核となっていたメンバーを、ほとんど出場させない采配。水谷と藤山以外は正直当時横山監督のファーストチョイスではない印象の選手ばかりでした。

 川崎フロンターレは容赦なく本気だし、パルセイロはターンオーバー考慮か...これは思ったよりも厳しいかも。そう感じていましたが、この試合でひかえに甘んじていた選手達が躍動しました。結果こそPK戦での敗退となりましたが、川崎フロンターレ相手に自分達のスタイルを完遂できたことが大きな自信としてチームに蓄積されました。もちろん、ベンチ外であった当時の主力メンバーにも火をつけたのでしょう。

 天皇杯敗退後は破竹の勢いでJ3リーグを蹂躙していくことになります。ガイナーレ鳥取に8-1の大勝を収めると、当時首位争いをしていたカターレ富山、FC岐阜にも勝利、嫌な思い出のある愛鷹でもアスルクラロ沼津に対してラストプレーで劇的勝利、間違いなく昇格争いに戻れる勢いを持っていました。

 このまま昇格争いに加わるかと思われましたが、そう簡単に上位争いを崩すまでには至らず...夏の移籍期間で横山イズムの中核であった藤山をブラウブリッツ秋田に引き抜かれ、オリンピック期間でリーグ戦は中断となりました。
 再開緒戦こそテゲバジャーロ宮崎に苦戦しながら2-0の勝利を収めましたが、後半戦最大の山場である上位陣との対戦を屈辱の無得点&3連敗、中位下位にも無得点で引き分け。藤枝MYFC相手に先制したかと思えば、即失点&被逆転弾。こうして自力で昇格争いに加わることはほぼ不可能になり、FC岐阜相手に逆転負けを喫したことで3年間続いた横山体制に終止符を打つことになりました。その後、暫定監督として就任した吉澤ヘッドコーチを中心に昇格可能性が潰えながらも、2勝3分0敗の負けなしでシーズンを終えることになりました。

 シーズンを通して課題だったのが得点力不足でした。ただ、得点の取れるFWがいなかったで済むような問題ではないと感じるシーズンでした。昨季は昇格争いに関わることすらできなかった悔しさをバネに2022シーズンを戦っていくことが求められます。

②2022のAC長野パルセイロ

 昨季陥った得点力不足の解消が急務と言える2022シーズンですが、新監督にシュタルフ悠紀リヒャルト氏を招聘しました。シュタルフ監督は昨季までY.S.C.C.横浜を指揮し、クラブ最高順位となる8位に導いた手腕を持っています。今年の8月に38歳を迎える若き指揮官ですが、戦術整備の徹底は年上のS級指導者にも引けをとらないものを持っています。戦術を浸透させるまでに時間がかかる可能性はありますが、クラブやサポーターと一体となって昇格を目指す姿勢は地域密着型を目指すパルセイロにとって好循環をもたらしてくれる可能性が高く、オフザピッチの監督にも注目していきたいと考えています。

 新指揮官を迎えたということで注目していきたいのはチームコンセプトや戦術面になってくるでしょう。
・チームコンセプト:『ORANGEの志
 One team/Run fast/Aggressive duel/Never give up/Grow every day/Enjoy football
・戦術面:判断の基準となる『24の原則

 シュタルフ監督の口から出た上記2つが今季の戦いぶりを見ていく中で重要になってくるところだと思います。チームの概観を形成していくであろうORANGEの志は、昇格争いに加わり昇格を実現できるかのメンタリティに直接関係してくる柱の部分になっていくでしょう。

 また、シュタルフ監督はサッカーをプレーの原則で定義していると言っていました。前述した判断の基準になる24の原則が結果以外の試合運びを評価する上で重要になってくるはずです。負けた原因を見つけるためにも、自分達のペースで試合ができた原因をするためにも振り返ることのできる原則を設けていることで、ダラダラと変化のない連敗をする可能性が低くなっていくと考えています。
 なんとなく勝ってるから同じメンバー・同じシステムで、という考えも昇格するチームには必要な勢いであると思いますが、強かに勝利を掴むためには原則に従った変更も必要になってきます。そんなシュタルフ監督の考え方こそ、昨季無双状態のパルセイロを止めた一因になっているのだと考えています。

 そんなシュタルフ監督のサッカー観をチームに落とし込み浸透させていく上で重要な役割を担う人物が数名います。
 1人目は、吉澤ヘッドコーチです。昨季、横山監督の右腕としてチームを見て終盤には自信が指揮をとる試合もありました。昨季の中心選手の引き止めに成功したと言っても良い陣容になっているので、昨季からチームのトップとして構築してきた目線は、シュタルフ監督にとって必ず好材料になりますし、ピッチ外のリンクマンとして活躍することが昇格争いの優劣を決めてくるかもしれません。
 2,3,4,5人目は一気にいきます。皆さんもお気づきかと思いますが、シュタルフサッカーを経験したことのある池ヶ谷・船橋・佐藤・宮本です。彼らはY.S.C.C.横浜時代にシュタルフ政権を経験しており、クラブ最高順位を経験した3人と1シーズンで14得点をとり得点ランキング2位にはいったストライカーという構成なのでチームにもたらす追い風は大きいと思っています。

 さらに深く見ていくと1年目の昇格を占う5人が務める役割もちょうど良いバランスになっているのです。ピッチ外で右腕となる位置に吉澤氏、システムの背骨になる各ポジションにシュタルフイズムを知る選手が1人ずつ(CF宮本・CMF佐藤・CB池ヶ谷)、シーズンを通して重宝されていた吉村選手の抜けた穴に船橋というような絶妙なバランスになっていると思えます。
 当然、シュタルフイズムを初めて経験する選手もシーズンを通して熾烈なポジション争いを繰り広げていくでしょうし、ベンチ外になった選手がメラメラとチャンスを狙っている姿勢は昨季の天皇杯でも確認することができました。チーム内の激しいポジション争いがチームの昇格争いにも良い影響を与えるに違いありません!

関連記事

・ヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッドFC、いわきFC、Y.S.C.C.横浜は
 こちら
・SC相模原、カターレ富山、藤枝MYFC、アスルクラロ沼津は
 こちら
・FC岐阜、ガイナーレ鳥取、カマタマーレ讃岐、愛媛FCは
 こちら
・FC今治、ギラヴァンツ北九州、テゲバジャーロ宮崎、鹿児島ユナイテッドFCは こちら
・松本山雅FCは こちら

まとめ

 開幕直前になって全J3クラブのサポーターがそれぞれのクラブに対して思っていることだと思いますが、あえて今の気持ちを書かせていただきます。

「あれ、うちのクラブ良いな、今季は優勝あるんじゃない?」

 これまで全クラブのシーズンプレビューをしてきましたが、どのクラブが優勝してもおかしくないシーズンであると感じました。もちろん、スカッドの厚さなどを考えるとFC岐阜や松本山雅FCが優勝候補と目されるのも理解できますし、J2経験クラブがその後に続きそうな予想もわかります。しかし、シーズン前の予想はあくまでも予想にすぎません。前評判を覆す大躍進でJ2昇格を決めたクラブをいくつも目の前で見てきました。

 (まあ、J3リーグ9年目ですからね)

 今年こそ我らがAC長野パルセイロがJ3シャーレを掲げることを信じて、今季も全力応援していきます!

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