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【マッチプレビュー】2022 J3 第13節 AC長野パルセイロvsヴァンラーレ八戸

停滞からのジャンプスタートへ

 直近3試合は試合終了間際に勝点を落とす戦いが続き、サポーターとしてもチームとしても「なぜ結果が出てこないのか」というもやもやした気持ちになっているところだと思います。ただ、J3の日程はそのもやもやが晴れるまで待ってはくれません。そのもやもやを自分たちが起こすオレンジの旋風によってかき消し、勝点3を掴み取ることでしか解決する道はありません。そうであれば、これまでに落とした勝点をいつまでも悔やむのではなく、これからやってくる数々の戦いで勝点3を取るために1つ1つ積み上げていく方が効果的であるはずです。似たような勝点の落とし方で下を向いてしまう気持ちも理解できます。ただ、我々の愛するクラブにやってきて全力を尽くしてくれている今季のチームは長くても今季終了で一度解体されてしまいます。チームを構成する選手、監督、スタッフは自分の人生をかけて戦っているはずです。この苦しい状況から巻き返すためにも、サポーターが下から持ち上げる覚悟で応援していけたらと思っています。
 さあ、第13節は第12節に続いてホームゲームとなります。ホームゲーム2連戦は今季2度目、第9節&第10節以来となります。ホームゲームでありながらこれ以上勝点を逃すわけにはいきません。前回のホーム2連戦はいずれもドロー決着で、このもやもやが始まったのも第10節です。このもやもやが始まったのがホーム連戦なら、もやもやを晴らすのはホーム連戦の間にしてしまいましょう。まだまだパルセイロはやれるはず、サポーターもチームも"One Team"となって勝点3を掴み取りにいきましょう!

通算対戦成績

 ヴァンラーレ八戸とのJ3リーグでの初対戦は2019シーズンのことでした。2018シーズンJFLの年間順位を3位でフィニッシュさせて、Jリーグ入りを決めました。JFLの昇格組といえば、J3に旋風を巻き起こすことで注目を集めますが、ヴァンラーレ八戸は10位フィニッシュと思ったような成績にはつながりませんでした。
 しかし、パルセイロとの対戦では話が変わり、2019シーズンは見事にシーズンダブルをもらってしまいました。最近のパルセイロを語る上で欠かせない三田もこの当時はヴァンラーレ八戸に所属しており、Uスタで行われた一戦ではパルセイロに対して1得点しています。
 こうしてJFL昇格年のヴァンラーレ八戸には苦しめられ、2020シーズンのアウェイゲームでも2-2のドロー決着。初めて勝利したのは2020シーズンのホームゲームであり、あの試合以外パルセイロはヴァンラーレ八戸に勝てていません。J3通算1勝3分2敗。ヴァンラーレ八戸との試合は、接戦になることが多く、「決めたら決められ返す」という印象が強く残っています。まさに、現状のもやもやから脱するためには申し分ない相手になります。昨季、大雨のミッドウィーク開催であったアウェイゲームこそスコアレスドローでしたが、それ以外の顔合わせでは毎試合スコアが動いています。ただでさえ、サッカーは最後まで何が起こるかわからないことを痛いほど経験している状態で、シーソーゲームになりやすいヴァンラーレ八戸との対戦がやってくるという巡り合わせ。必ず勝利して4月以来の勝点3を掴み取りましょう。

今季これまでの両クラブ


AC長野パルセイロ

 まずは、ホームチームのAC長野パルセイロ。今季ここまで12試合を消化して4勝5分3敗、勝点17で暫定9位に位置しています。シーズンの序盤は当時暫定首位であった藤枝MYFCや福島ユナイテッドFCに対して先制点を奪われながらも同点に追いつく"負けない強さ"で上位進出を虎視眈々と狙う場所に位置していましたが、5月に入って以降失速、5月に入って以降第8節から第12節までの5試合連続未勝利と停滞しているのが現状です。やはり、特筆すべき点は、直近3試合の試合の終わらせ方に不安が残るところでしょうか。1点を争う状態で終了間際に失点して失った勝点は3試合で5点と決して少なくありません。まずは昇格争い第2グループに割り込むことができるように1試合1試合で勝点3を取りにいく必要があります。
 また、試合終了間際の締め方を改善していくためにも優位な形で試合を進めるべく、前半から先制点を奪うことが課題になってくるでしょう。ここまでの12試合で前半に得点したのはわずかに2試合。試合を通して先制点を奪った回数も4回と決して多くはありません。失点してからギアが入る様子は散々見てきたため、そのギアの入れ方を試合開始から実践して、試合開始から試合終了まで相手を圧倒するような気迫を見せることが上位に食らいついていく鍵になってきそうです。

ヴァンラーレ八戸

 次はアウェイチームのヴァンラーレ八戸。6月15日のミッドウィーク開催になった第8節延期分SC相模原との一戦を終えて、消化試合数は12と全クラブに追いつく形になりました。12試合を終えて3勝1分8敗で勝点10、暫定16位と苦戦しているシーズンにも思えます。全試合合計で10得点に届かず、失点は20に迫っています。中でも得点力に関して言えば、第8節延期分前段階で6得点と2試合に1点ペースでかなり伸び悩んでいるようにも見えます。
 しかし、ヴァンラーレ八戸もシーズン序盤の低迷ぶりから6月13日に体調不良で休養されていた葛野監督の退任を発表し、イギリスやJクラブ、シンガポールの年代別代表での指導経験を持つ志垣氏を新監督として招聘しました。そして、志垣監督の初陣となるのが第13節のAC長野パルセイロ戦となります。監督が変わるということで、チームスタイルも大幅に変更してくる場合も考えられます。パルセイロと対戦する直前で監督交代に踏み切り、新監督体制の試金石としてパルセイロとの対戦に臨むチームはこれで2クラブ目。思い返せばその1クラブ目であるFC岐阜戦からもやもやゾーンに突入しています。チームスタイルの変更が考えられる中で対策しづらい戦いになると思いますが、ここは基盤となる戦術の上に選手の闘志とサポーターの後押しを合わせて、強引にでも勝点3を勝ち取らなければいけないでしょう。

今節の注目選手

※該当選手の出場やベンチ入りを保証するものではありません。

AC長野パルセイロ

 今節の注目選手は古巣対戦となる三田尚希選手でしょう。2020シーズンにヴァンラーレ八戸からパルセイロに移籍してきた三田は、加入初年度からパルセイロに欠かせない点取り屋として活躍し、2020シーズン・2021シーズンと2シーズン連続でチーム内得点王に輝きました。得点が欲しい時に生まれる彼の得点は何度もチームを救い、2020シーズンでは昇格まであと一歩のチームの原動力とも呼べる活躍でした。
 しかし、今季に入ってリーグ戦では未だに得点なしと苦しんでいる状況です。天皇杯長野県予選準決勝でチームを決勝に導くゴールを決めたものの、これまでの2シーズンと比較すると本人としてもサポーターとしても物足りなさを感じる結果になっているでしょう。シュタルフ監督体制になって以降、4-1-2-3のRWGとして出場する試合もありましたが、最近はWBやIHといった1列下がった位置での起用もありました。シュタルフ監督のことなので、選手の特長とゲーム内での役割を考慮した最善の選択であることは重々承知ですが、「パルセイロは彼の一発が生まれるか否かで大きく左右されそう」というのが大方のサポーターの声と言えるでしょう。現状のチーム内得点を見ても森川&宮本がトップであり、三田から得点が生まれれば上位進出のためのエンジンになるはずです。
 古巣相手にきっかけを掴み、その左足でケチャップの蓋をこじ開けて欲しいです。

ヴァンラーレ八戸

 今節の注目選手に島田拓海選手を挙げたいと思います。第8節の延期分として行われたSC相模原戦で先発出場をし1得点を記録しました。この試合ヴァンラー八戸は、第12節からスタメンを8人入れ替えて臨みましたが、直近2試合連勝と勢いに乗るSC相模原に勝利し、ガイナーレ鳥取戦での乾杯を払拭する結果となりました。
 6月12日の第12節が行われた後に、ヴァンラーレ八戸は葛野監督退任を発表したわけですが、葛野監督は元々5月末より体調を崩しており、その間は東ヘッドコーチが陣頭指揮をとってきました。それを考慮すると、第8節延期分で勝利できたのは監督交代ブーストというよりも、チーム全体としての強さが出たことに起因するものと言えるでしょう。
 島田選手のスタメン出場は第8節延期分を終えて7試合と約半分ですが、2トップの一角としてもシャドーの位置のセカンドストライカーとしても出場してきました。彼の特長は「キープ力」と「献身性」であると思います。最前線の預けどころとして地上戦、空中戦共に頼りになりますし、前線からのプレッシングを厭わない献身性も兼ね備えています。
 攻守においてチームの最前線で体を張れる選手に得点が生まれたことで、更に調子を上げて長野Uスタジアムに乗り込んでくるはずです。2トップに入るのか、シャドーに入るのかは不明ですが、彼のプレーには注意が必要です。

試合の注目ポイント

運動量と強度

 第一に重要になってくるのは、運動量と強度。すなわち、ORANGEの志で表すところの『Run Fast』『Aggressive Duels』です。なぜ今更こんな初歩的な観点に注目するかというと日程的にパルセイロ側に大きなアドバンテージがあるからです。パルセイロは第12節&第13節ともにホームゲームで移動もなく、ミッドウィークにも試合がありません。対するヴァンラーレ八戸も第12節&第8節延期分ともにホームゲームだったわけですが、延期分の試合はミッドウィークに開催されたため、中2日&中3日での3連戦となり、3戦目は八戸から長野への長距離遠征となります。当然、それを考慮した上でのターンオーバーは実践されていましたが、新監督の初陣と3連戦の最終戦、長距離アウェイが重なり、難しいコンディション調整になるはずです。
 パルセイロとしては、このアドバンテージを生かさない手はありません。日程面というチームからするとどうしようもない側面で差ができることになりましたが、そこで同情して勝てるほど戦力差もありませんし、そんな甘い考えでは優勝や昇格を口にすることすら恥ずかしいことです。また、ヴァンラーレ八戸としても、ターンオーバーができていることや順位が上のSC相模原を倒した勢いを継続しやすいという利点があります。新監督の初陣にもなるので、相手としては死に物狂いで浮上のきっかけにしたいという覚悟で臨んでくるはずです。
 決して、順位が上だから、日程的に有利だからと油断して受けに回ることなく、運動量と強度の側面で試合開始から圧倒していく必要があるでしょう。

先制点

 パルセイロは1試合平均1.08得点、ヴァンラーレ八戸は1試合平均0.67得点とお互いに絶対的な得点能力に優れたチームではないため、この試合も1点を争う熾烈な戦いになることが予想されます。
 パルセイロは序盤こそxG(ゴール期待値)が1.0を超えた状態での得点だったため、ゴールに迫りながらその機会をものしている印象でした。しかし、信州ダービー以降xGが1.0を超えることはなく、よく言えば効率的に得点が取れており、悪く言えば偶然得点が取れている状態になっています。対するヴァンラーレ八戸はxGで上回りながらも得点を奪えず勝点3を掴めない試合も多く、何かのきっかけで大量得点できる可能性を抱えています。
 お互いにこれまでの試合を振り返って、欲しいのは2得点目。その2得点目を奪うためにも、まずは先制点を奪い試合の大半を優位に進めていくことが重要になってくるでしょう。

まとめ

 何とかもやもやを晴らして上位に食らいついていきたいパルセイロと監督交代ブーストの手始めとしてアウェイ初陣を勝利で飾り下位脱出を図りたいヴァンラーレ八戸。お互いに順位表での立ち位置に開きはありますが、その位置に満足していない両チームの対戦になります。お互いにとって勝点3以上の良薬は、世界中のどこを探しても見つからないでしょう。
 パルセイロがここ数試合の鬱憤を晴らす勝利を掴むことができるのか。それともヴァンラーレ八戸が新監督の初陣を勝利で飾るのか。リーグ全体から見れば、中位〜下位の対戦カードであるため注目度は低いかもしれません。しかし、当事者にとって結果に対して甘く考えて良い試合なんて1試合もありません。
 現在地点から1つ上のグループに食い込むためのチケットを手にするのはどちらになるのでしょうか。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ

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