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【マッチプレビュー】2023 J3 第3節 AC長野パルセイロvs奈良クラブ

2023 J3 第2節振り返り

試合結果

YS横浜1-3鳥取 (1,509)
鹿児島1-1今治 (5,137)
琉球2-1岩手 (1,871)
奈良1-1八戸 (1,260)
宮崎0-1FC大阪 (1,570)
沼津2-1富山 (2,854)
岐阜1-1松本 (6,733)
北九州3-0讃岐 (2,710)
相模原2-1福島 (1,308)
愛媛1-1長野 (2,742)

2023 J3 第2節

 3月12日、13日に行われたJ3リーグの各会場結果は上記の通り。ホームチーム勝利試合4試合、アウェイチーム勝利試合2試合、ドロー決着4試合という内訳になった。また、入場者数で見ると、今節のトップ数値は岐阜vs松本の一戦。地域的に近い特性もあるかもしれないが、7,000人に迫る観客が声援を送る中、熱い試合が行われた。ただ、全体を俯瞰すると入場者数はかなり減った印象。開幕戦という箔の付け方が通用しなくなった背景があるかもしれない。鹿児島、岐阜、松本、北九州、愛媛あたりは安定した入場者数が見込めそうだが、他のクラブは更なる工夫が必要になるだろう。
 今節は、昇格候補筆頭の鹿児島vs今治のカードがあったり、昨季J2組の琉球vs岩手のカードがあったりと該当クラブ以外も注目するカードが多かったのではないだろうか。チームの練度からすると、まだ全貌が見えないというのが正直なところだが、やはりこの2試合のクオリティは高かったと感じた。

順位表

 開幕連勝スタートとなったのは鳥取と琉球。特に、鳥取は、2試合続けて3得点を記録する攻撃力を見せつけた。3位の北九州から7位の今治までは1勝1分の負けなしスタート。その他にトップハーフに位置するのは、岩手・相模原・富山とJ2経験のあるクラブ。
 一方で、八戸・奈良・愛媛は開幕2試合で未勝利。福島・YS横浜・宮崎は、勝点0スタート。特に、宮崎は、開幕2試合で得点0と苦しい開幕になった印象。

いよいよホーム開幕戦

沼津vs八戸
FC大阪vs岩手
岐阜vs鹿児島
福島vs宮崎
YS横浜vs松本
鳥取vs愛媛
今治vs琉球
長野vs奈良
富山vs北九州
讃岐vs相模原

2023 J3 第3節 対戦カード

 今週末は第3節。開幕ホーム連戦だったクラブが、今季初アウェイゲームを戦ったり、開幕アウェイ連戦だったクラブが、今季初ホームゲームを戦うことが見られる。
 長野vs奈良の試合も「初」が目立つ対戦カードだ。長野にとっては、今季初のホームゲームとなり、ホーム開幕戦となる。一方、奈良にとっては、今季初のアウェイゲームとなり、J参入後初のアウェイゲームかつアウェイ開幕戦となる。
 個人的に奈良は長野とのつながりが深いクラブだと感じている。数年前は長野から奈良への移籍ルートがよく確認された。中学生の頃、あのトランペットの音色が大好きだった私は、あの男の凱旋が非常に楽しみである。

 それでは、「初」づくしの熱い戦いをプレビューしていく。

マッチプレビュー

通算対戦成績

 奈良クラブは、2023シーズンからのJ参入ということで、長野vs奈良のカードはJの舞台で初の対戦になる。

昨季対戦の振り返り

 昨季対戦記録はないため、省略。

前節の振り返り

 長野は、前節、アウェイ愛媛に乗り込み、第2節を戦った。対戦相手の愛媛は、開幕戦で岩手を相手に1-5の大敗を喫した。その分、結果に対する執着は強くなることが予想され、難しい試合になると考えることは難しくなかった。
 前半は、愛媛がボールを握り、長野が機を見てスピーディーなカウンターを仕掛ける様相。第1節同様に、長野は相手SBに対するプレッシングの遅れから押し込まれる時間帯が続くが、決定機は何度か創出した。また、押し込まれながらも、最初に決定機を迎えるなど、狙いははっきりしていた印象。しかし、前半はお互いにあと一歩が遠く、スコアレスドローで折り返す。
 後半は、長野が修正を加えたプレッシングから愛媛の前進を防ぐ場面が、増えていったように見えた。ビルドアップの質で言えば、愛媛に分があったかもしれないが、思い通り前進させない守備は有効的だった。そして、途中交代で投入された原田が、左サイドからのクロスに飛び込んで先制点を奪う。ショートカウンターから短いパス交換で、守備組織を瓦解する狙いがよく現れた先制点だった。
 しかし、愛媛vs長野の対戦カードがこのまま終わるわけない。その予想は的中し、同対戦カードで3試合連続終了間際のCKから愛媛が得点。昨季はJ初対戦で2試合とも決着がつかなかった、今季も1試合目は1-1のドローで決着とはならず。昨季の苦い思い出を完全払拭とはならなかった。
 一方で、開幕2連続アウェイを勝点4で終えたことは大きな収穫と言える。

 奈良は、前節、ホームに八戸を迎えての一戦。対戦相手の八戸は、開幕戦で琉球に0-1で敗北しており、お互いに2023シーズン初勝利を目指しての対戦となった。
 前半は、立ち上がりから両クラブの色がよく出た流れになった。4-1-2-3でボールを握りながら前進していく奈良と高い位置からプレッシングをかけていく八戸という構図。八戸の2トップとIH姫野のプレッシングによって、奈良は思うように前進することができない時間帯が続く。右サイドのスローインの流れからボールが中央にこぼれ、八戸の前澤が冷静に流し込んで先制。八戸が、プレッシングの勢いそのままに先制点を奪った。奈良は金子、八戸は姫野が負傷交代によって前半途中で退くことになった。姫野の不在は、奈良にとっては前進するきっかけになった。SBから斜めに差し込むパスを活用して八戸ゴールに迫っていく。浅川が一度ヘディングでゴールネットを揺らしたものの、オフサイドの判定で取り消し。前半は0-1と八戸リードで折り返した。
 後半は、奈良が積極的な守備から主導権を握った。前半のプレーはどこか思い切りに欠けるプレーが散見されたが、後半は守備から気持ちの入ったプレーで八戸を飲み込む。中盤でボールを奪うと左サイドからDFラインとGKの間にアーリークロス。ファーサイドから走り込んだ浅川が合わせて50分という早い時間帯で同点に追いついた。その後は、お互いに積極的な守備を見せると、よりオープンな展開が増えた。そのため、ゴール前に迫る場面も多かったが、お互いにチャンスを活かしきれずに1-1のまま試合終了となった。

予想スタメン

 長野は、3-5-1-1の基本システム。GKには矢田貝。3バックは右から池ヶ谷・大野・秋山。アンカーに宮阪。WBに船橋・杉井。IHに西村・三田。トップ下に佐藤。1トップにと予想。特に怪我人などが発生していない限りは、前節と同じスタメンになるだろう。クラブから特にリリースはないが、第1節で先発した砂森が、第2節のメンバー外だったことを考えると、おそらく軽症ではあるものの負傷離脱ということになるだろう。定型化しつつあるこのスタメンを、崩すような選手が現れてくるとチーム全体としての底上げができてくるだろう。
 奈良は、4-1-2-3の基本システム。GKにはアルナウ。4バックは右から寺村・鈴木・伊勢・都並。アンカーに堀内。IHは可児・片岡。3トップは右から浅川・酒井・嫁阪と予想。前節の前半途中でRWGを務める金子が負傷交代。交代後のメンバーの並びになると予想した。前節、途中交代で出場した寺島・西田の左サイドコンビも非常に良い動きをしていたが、まずは安定したところから入ることが予想される。おそらくだが、フリアン監督はオープンゲームよりも確実にボールを握ることで主導権を確保したいはずだ。怪我人の影響なのか、昨季JFLで主力となっていたメンバーが、やや少ないように感じる。この辺りのメンバーが戻ってくれば、また違った人選になってくるのだろう。

注目ポイント

◎トランジション局面

 長野vs奈良の試合で注目したいのは、攻守の切り替え。所謂トランジションと呼ばれる局面である。試合の展望としては、奈良がボールを握り、長野がショートカウンターを狙うという構図になるだろう。長野にとっては、前節の愛媛戦のような姿勢になる可能性が高い。一方、奈良にとっては第3節にして初めて「積極的なプレッシングを行わないチーム」との対戦になる。松本戦・八戸戦はともに、DFラインに対する激しいプレッシングを受け、前半は「繋ぎながら相手のプレスをいなす」良さが出せなかった印象。2試合とも良さが出ないうちに、失点を喫し、追いかける展開になってしまった。守備の入り方の違いがどう影響してくるのかも注目していきたい。
 トランジション局面で優位に立ちたいのは長野。奈良はSB(特にRSB)が高い位置をとって攻撃参加する。4-1-2-3をピッチ上に確実に配置し、攻撃を組み立てていくことが主軸で、開幕2試合はネガティブトランジション時に弱さが見られた。長野は、この隙を突いて、これまでの2試合よりも確実かつスピーディーに決定機を創出したい。
 「省エネ守備」と「スピーディーかつ確実な攻撃」は今季の長野のコンセプト。繋ぐことが得意な奈良に対してボールを握らせながらも、奪いどころを共有して奪いきれるか。攻撃の軸であるショートカウンターは、挑戦回数を増やせるか。いずれも今季のJ3で通用するレベルかが試される試合になると考える。

まとめ

 長野は開幕2試合をアウェイで戦い、負けなしの1勝1分。奈良は開幕2試合をホームで戦い、勝ちなしのの1分1敗。対照的にも見える両クラブの戦績だが、前節はともに引き分けで終えている。長野は追いつかれ、奈良は追いついた立場。勢いという面で見れば、奈良に若干の軍配が上がるかもしれない。しかし、長野にとってはホーム開幕戦。ホームの利を活かし確実に勝点3が欲しいところ。J参入後初のアウェイゲームとなる奈良を精神的に飲み込むような雰囲気をUスタ全体で出せるかどうか。チームだけではなく、地域の、サポーターの、スタジアム全体のOne Teamが勝敗に大きく影響するのではないだろうか。
 優勝に向けて、開幕3試合2勝は最低条件だろう。現時点では、どのクラブが昇格戦線を牽引していくかは不透明なままである。そして、どこかのクラブが2020シーズンの秋田のような快進撃を見せる可能性も0ではない。そうなったときに置いて行かれてしまっては、昇格に向けてすぐに黄色信号が灯ってしまう。J3優勝という目標を掲げた以上は、ストイックに結果を求めていきたい。そして、快進撃を見せ、昇格戦線を牽引…いや、2位グループを突き放すような連勝街道を走るチームは、長野であるとホーム開幕戦で証明しよう。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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