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【シーズン総括】AC長野パルセイロ 2022 〈個人総括:GK・DF編〉

2022シーズン振り返り

GK

大内 一生

出場試合数:27/34
出場時間:2,430分
成績:0G・0A
警告・退場:1・0
〈去就〉
育成型期限付移籍期間終了→横浜FCから鹿児島へ育成型期限付移籍

 長野のスクランブルを救った張本人。今季のスカッド構成はGK3人体制でスタート。第2節の藤枝戦の途中で、開幕戦からゴールマウスを守ってきた矢田貝が負傷交代。その後の試合は、金とリュウの2枚体制で回すのがやっとという状態に陥った。
 そんな時に、シュタルフ監督が連れてきたのが、教え子の大内。2020シーズンに、YS横浜でシュタルフ監督と共闘経験があり、即戦力として加入した。加入してすぐにレギュラーポジションを掴み、GK陣の中での中核をシーズンを通して担った。

 特徴は何と言ってもビルドアップへの貢献度の高さ。低い位置から果敢に繋いでいくことに挑戦する。スタイル自体に抵抗はなかったと思うが、当初はチームとの合流期間が短く、やや危ない場面も散見された。しかし、徐々にチームに溶け込み、セービングもさることながら、長野のビルドアップに大きく貢献した。

 監督のお墨付きもあり、来季は借りパクを祈っていたが、ライバルの鹿児島にレンタル先を変えた。鹿児島としても、攻撃的スタイルを継続するために、白坂選手の穴を埋める補強ができただろう。ディストリビューションの速さなど現代的GKスタイルであり、来季の対戦時には注意が必要になる。
(ライバルに移籍なんて寂しいぞ!)

矢田貝 壮貴

出場試合数:3/34
出場時間:215分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(3年目)

 開幕前から長野の守護神になると目された期待の若手GK。昨季も大卒ルーキーながら、気合の入った姿でゴールマウスを守った。

 しかし、第2節に負傷交代でピッチを去ると、第7節のベンチ入りまで復帰することはなかった。彼の怪我で大内が加入することになったわけだが、大内加入後はなかなか牙城を崩すには至らず。
 セービングなど、GKの基本的スキルを素人目で見る限り、大内と遜色はない印象。最後に先発か否かを分けたのは、ビルドアップへの順応だろうか。また、シーズン中盤には第2GKの座を金に明け渡す期間もあり、本人としては悔しいシーズンだったのではないだろうか。

 勝利後、ゴール裏で『共超』を熱唱する彼の姿には、胸を打たれた。来季こそ、長野の守護神として一年間通しての活躍を期待したい。そして、彼が笑顔で熱唱する姿を何度も拝みたい。

リュウ ヌグラハ

出場試合数:0/34
出場時間:0分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(5年目)

 今季は、福井ユナイテッドFCへの武者修行から帰還し、活躍の場を長野に戻した。矢田貝と金は昨季も長野で安定したパフォーマンスを見せており、厳しいポジション争いが想定された。
 しかし、開幕直後の矢田貝の離脱により、思わぬ形でチャンスが巡ってきた。ただ、すぐさまクラブが大内の獲得に動き、大内加入後はベンチに入ることすらなくシーズンを終えた。

 来季も契約を更新し、長野でプレーすることが決まった。今季加入してくる大卒ルーキーは同期世代。大卒1年目となると、そろそろ出場時間や結果など数字として活躍を残したいところである。

 12月22日時点で、GKは矢田貝とリュウの更新のみ。金の去就は不明だが、大きくメンバーが変わることはなく、序列を変えるには一層の努力が必要になってくるだろう。

金 珉浩

出場試合数:5/34
出場時間:415分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(3年目)

 長野GK陣の中では、唯一190cmを超える長身GK。昨季途中に鳥栖から期限付移籍にて加入。今季からは、完全移籍で長野に加入することになった。

 ボール保持時の落ち着きや球離れの早さなどは昨季から定評があり、後方からの繋ぎを主軸にするシュタルフ体制とは相性が良いものと思われた。開幕からは、矢田貝とポジション争いを繰り広げるが、大内の加入によって序列は一転。また、大内加入直後に急にベンチから姿を消したことから、怪我などもあったのではないかと推測する。

 大内加入後の先発出場は2試合。いずれもコロナ感染者の発生によって、大内がベンチに不在の時であった。その後は、矢田貝との第2GK争いにもなかなか勝てず、終盤はベンチに入ることも無くなっていった。

 圧倒的長身という他の2人にはない特徴を持っているため、長野で活躍し、さらに上のカテゴリーを目指せるGKだと感じる。しかし、12月23日時点では、去就は不透明。スカッド構成的にあと1人はGKが必要なため、コストを抑えてスカッドを構築するという方針においては、残留の可能性が高いと見ている。

DF

喜岡佳太

出場試合数:17/17
出場時間:1,498分
成績:1G・1A
警告・退場:2・0
〈去就〉
→モンテディオ山形(完全移籍・夏ウィンドウ)

 今季の長野の出世頭。超J3級の体躯と身体能力を活かし、対人戦を得意とする武闘派CB。
 今季は加入3年目。年々、プレーに自信と安定感が加わり、上位カテゴリーへの引き抜きは時間の問題であった。今季も開幕からCBのスタメンを死守。池ヶ谷・秋山両選手にないスピードという圧倒的武器は、被カウンター時に真価を発揮。最後列の安定感がチーム全体に推進力をもたらしていた。

 前半戦最終節のアウェイ鳥取戦で、勝利したにもかかわらずピッチで涙を見せ、全パルサポが移籍を確信。夏のウィンドウで山形に引き抜かれていった。元パルセイロレディースの八坂選手との結婚という特大ニュースも引き連れて…。

 ビルドアップは、池ヶ谷・秋山に比べると荒削りな部分が見られたが、それを補って余りあるほどの対人戦の強さが評価された。シーズンを通して、彼の抜けた穴は埋まらず、被カウンターリスク管理にやや苦戦した印象を受けた。

 痛手とは言っても、めでたい個人昇格。来季こそ優勝して、上のカテゴリーで再会したい。

秋山 拓也

出場試合数:25/34
出場時間:1,866分
成績:0G・1A
警告・退場:3・0
〈去就〉
契約更新(3年目)

 開幕から数試合は喜岡・池ヶ谷がCBのファーストチョイス。しかし、船橋がシーズン序盤で負傷離脱。川田もシーズン前の負傷で合流が遅れ、池ヶ谷や喜岡がRSBに入る試合が増えた。この起用と沿う形で、秋山がCBに起用される試合が増えていった。

 昨季から見せていた強みの空中戦に加えて、シュタルフ体制でビルドアップ能力も際立つようになった。長短のパスを使い分け、長野のビルドアップの土台を支え続けた。
 また、シーズン中盤にかけてボランチでの起用もあり、新境地を開拓していく姿も見られた。シュタルフ監督のコメントでも秋山のボランチ起用に対する期待感は伝わってきた。

 喜岡の個人昇格によって、ボランチではなくCB起用が基本に戻ったが、最小限の幅でビルドアップを行うスタイルに彼の貢献は欠かせなかった。愛媛戦での負傷離脱は痛手だったが、最終戦ではピッチを駆け回る元気な姿を見せてくれた。

 圧倒的な空中戦の強さで制空権を握り、長野の攻撃の土台を作る活躍に期待したい。被カウンター時におけるスピードは、やや難があるかもしれないが、失い方をコントロールできれば弱点にはならない。怪我なく新シーズンは走り抜けて欲しい。

船橋 勇真

出場試合数:11/34
出場時間:884分
成績:0G・0A
警告・退場:2・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 シュタルフ監督と共にYS横浜からやってきたシュタルフチルドレン。昨季オフに長野から秋田に移籍した吉村とプレースタイルが重なる部分もあり、指揮官との相性も良いことから、開幕前から活躍を期待されていた。

 開幕から4バックでのRSBの定位置を掴み、チームのスタイルに欠かせない一人になった。持ち味である右サイドからの推進力は相手にとって脅威となっていた。また、中盤の右を務めることの多かった佐藤との相性は抜群。攻守において右サイドの生命線を担った。

 しかし、福島戦で負傷し、戦線離脱。船橋が不在となったチームは、右サイドの破壊力が削がれ、攻撃力が半減した。復活した八戸戦では、チームに久しぶりの勝点3をもたらす大活躍。復帰してからの数試合は右サイドで異彩を放った。

 ただ、その後は再び負傷に悩まされる。ハムストリングの負傷癖から抜け出せず、第19節の讃岐戦を最後に今季はピッチに戻ってくることはなかった。彼が出場していた時の長野は平均勝点2を余裕で超えており、フルシーズン稼働できていれば…と悲しんだサポーターも多かったのではないだろうか。

 来季こそ、開幕から万全の状態でフルシーズンを戦い抜き、長野の悲願達成に向けて、師であるシュタルフ監督のもとで躍動して欲しい。

池ヶ谷 颯斗

出場試合数:34/34
出場時間:3,028分
成績:3G・0A
警告・退場:3・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 頼れる副キャプテン。チーム内で唯一の全試合出場を達成した。DF陣での怪我の多発により、本職ではないSBで出場する試合もあったが、安定感のあるプレーを見せつけた。

 また、これだけの長い時間の出場で、一度も累積警告による出場停止を受けなかったことも非常に評価できる。相手FWとの走りあいでスピードで劣る場面もあったが、その後に落ち着いた守備で対応。開幕の頃から最も成長した選手の一人ではないだろうか。

 安定した守備に加えて、セットプレーからの重要な得点役を担った。空中戦の強さを活かしたドンピシャヘディングは見られなかったが、押し込む執念を感じさせるプレーで3得点を記録。名手宮阪の残留も決まり、来季はセットプレーから更なる得点の量産にも期待したい。

 シュタルフ監督からの信頼度はチーム随一。今季キャプテンだった水谷の移籍もあり、来季はキャプテンでの活躍も視野に入れて見守っていきたい。

杉井 颯

出場試合数:27/34
出場時間:1,951分
成績:0G・5A
警告・退場:5・1
〈去就〉
契約更新(2年目)

 トライアウトから加わった左足のスペシャリスト。本人曰く、長野から声がかかった時は驚いたようだが、期待を超える活躍とムードメーカーぶりを見せてくれた。サポーター投票の元気ランキングを作ったら、圧倒的1位を受賞するに違いない。

 開幕当初は、ベンチから戦況を見守り、状況に応じて出場する機会が多かった。しかし、DF陣の怪我もあり、徐々にプレータイムを伸ばしていった。LSBが基本起用だったが、水谷との兼ね合いもあり、RSBで起用されることもあった。
 スタイルが固まった5-1-3-1→4-2-3-1の可変システムでは、LCB→LSBのタスクを担った。昨季の鳥取でも十分に見せつけていたが、左足から放たれるクロスやフィードは一級品。また、後半からデュークとみせるコンビネーションは相手の右サイドを蹂躙した。

 累積警告による出場停止はなかったものの、アウェイいわき戦で痛恨の一発退場。悪い意味で若さが出てしまった一面かもしれない。22歳という若さで、これからも成長していくことが予測される。

 クリスマス当日に契約更新のリリース。ハラハラドキドキだったが、最高のクリスマスプレゼントとなった。デュークと並び、チーム内トップのアシスト記録を来季は2桁に到達させてほしい。

敷田 唯

出場試合数:0/34
出場時間:0分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 同志社大学から加入した大卒ルーキー。練習参加もしていたようで、当時のメンバーを怪我させないかヒヤヒヤするほどの熱いプレーの持ち主らしい。

 プレーしている姿を確認できなかったため、何とも言えないところもあるが、シュタルフ監督の下で現代型CBとしての進化途中だと期待したい。DF陣に怪我人が多発し、スクランブル状態に陥っても、ベンチメンバーにすら選出されなかった。ややスタイルとの適合に苦しんでいることも予想される。

 しかし、長野の大卒CBと言えば、浦上であり、喜岡だ。世界に羽ばたける素質があると信じ、来季の活躍を見守っていきたい。ただ、今季のスカッド構成とは異なり、来季は大野や西田といった新加入選手も揃い、後方の選手層は厚くなる。今まで以上の成長曲線の伸びを期待したい。

川田 拳登

出場試合数:3/34
出場時間:73分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約満了→VONDS市原

 怪我に苦しんだシーズンだったのではないだろうか。サイドレーンであれば、前後左右問わない活躍を見せてくれた選手。今季は開幕前の段階から負傷し、合流が遅れたことが予想される。

 同ポジションの船橋が負傷した際も、ベンチ入りは叶わなかった。信州ダービーでリーグ戦初出場を見せた時も、足にはテーピングが巻かれており、満足のいく状態ではなかったのかもしれない。

 しかし、出場した試合では圧巻のパフォーマンスを見せた。終盤の信州ダービーでも後半頭から投入され、右サイドの攻撃を活性化してみせた。守備強度には、やや難があったかもしれないが、攻撃のセンスは抜群。2020シーズンを見ていた一人として、三田-川田ホットラインをもっと見たかった気持ちが強い。

 今季で長野との契約は満了。活躍の場を新天地に移すことになった。ピッチ外では、SNSを利用し、サポーターとの交流を最も行ってきた選手。コロナ禍だからこそ、交流を大切にする姿勢は、この3シーズンで最も賞賛したい彼の活躍の一つである。

乾 大知

出場試合数:9/34
出場時間:518分
成績:2G・0A
警告・退場:1・0
〈去就〉
未定

 大内と同じく、長野のスクランブルを救った張本人。第24節の岐阜戦を前にフリーでの加入が発表された。池ヶ谷・秋山のバックアップがおらず、いずれかが怪我をしたらDF陣が瓦解する危機に瀕していた。当時、彼の加入がどれだけの安心感を与えたかは計り知れない。

 何と言っても特筆すべきは長野デビュー戦となった、アウェイ岐阜戦での先制点。長野にとって、コロナ禍以降、初めての声出し応援適用試合で、歓喜の声を爆発させたのは彼のゴールだった。セットプレーでの強さは健在で、518分の出場時間で2Gを決めた。

 守備面では、GKとDFラインの間に入ってくるクロスに対して、ややおぼつかない対応が見られた。ただ、これは、試合勘やプレースピードに再び慣れてくれば全く問題ない側面だと感じる。残留組の池ヶ谷・秋山・敷田、新加入組の大野・鈴木・西田とCBの人材は厚くなってきたが、DF陣最年長として、来季も安定感をプラスできる人材であって欲しい。

 そのためにも年内に契約更新のリリースが出ることを祈っている。

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