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【シーズン総括】AC長野パルセイロ 2022 〈個人総括:MF②・FW編〉

2022シーズン振り返り

MF

住永翔

出場試合数:10/34
出場時間:303分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約満了→ラインメール青森

 チームにテンポをもたらすゲームメーカー。昨季横山体制のチームに加入し、大卒1年目ながら、チームに落ち着きをもたらす活躍を見せた。

 昨季は、川崎との天皇杯後にメンバーに定着するようになったが、今季は、開幕からメンバー入りを果たした。チームにパステンポをもたらす活躍から、宮阪の後継者としても期待されていた。
 序盤の4-3-3システム時期は、途中から中盤に投入される起用法が目立った。また、船橋の不在により、急遽RSBの発掘が求められた際には、RSBにも挑戦した。個人的には、この位置で川崎の橘田選手のような成長を見せることを期待していた。

 しかし、シーズンが進んでいくにつれて、出場機会に限らず、ベンチメンバーに選出されることも少なくなっていく。約3分の1にあたる、第12節までは10 試合、メンバーに選出されていたが、その後の22試合では、2試合のメンバー入りにとどまった。出場時間で見ても、第13節以降は16分とほとんど出場機会を得ることができなかった。

 今季は、同ポジションの宮阪が躍動し、坪川同様に中盤の底を主戦場とする住永にとって厳しいシーズンだった。また、坪川と比較すると空中戦に難があり、試合終盤を締めるタスクにおいて序列が低かったと予測する。

 大卒2年目の勝負となるシーズンだったが、出場機会は十分に得られず、今季で契約満了となった。新天地は、高校時代もプレーした青森の地に決定した。今となっては、高校年代常勝軍団となった青森山田の初優勝に貢献した主将であり、明治大時代も副主将としてチームを束ねた。各年代で最強を誇った経験を活かし、更なる成長に期待したい。

山中麗央

出場試合数:23/34
出場時間:961分
成績:6G・1A
警告・退場:1・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 アカデミー育ちの大卒ルーキー。中学年代まで長野の下部組織に所属し、高校年代でも同組織と提携関係にあった市立長野高で活躍した。拓殖大入学時点では、「期待していなかった」と監督が語っているが、大学時代に急成長を見せた"長野のライオン"。拓殖大の関東1部残留に大きく貢献し、実績と自信を得て、長野の地に帰ってきた。

 長野にとって、2人目の下部組織出身選手ということもあり、サポーターやクラブからの期待は大きかった。開幕前や開幕後のTRMで得点を積み重ね、第5節のホームいわき戦でプロ初出場を果たす。
 しかし、この試合は本人にとって納得のいく内容&結果ではなかった。昇格組のいわきに終始主導権を握られ、本人としても先発出場をしたが、ハーフタイムで無念の交代となった。チームとしても0-4と大敗を喫し、今季初黒星をホームで経験した。

 それでも、この敗戦からシーズンを通して大きく成長した。第10節にいわき戦以降のベンチ入りを果たすと、途中出場から起死回生の逆転弾を叩き込む。アシストは同じく下部組織育ちの小西であり、クラブの底上げを実感する得点であった。
 この試合以降、ベンチ入りの試合を増やし、徐々に試合出場が当たり前に感じられる選手になっていく。

 今季は、チーム内2位となる6得点を記録。そして、全得点がホームUスタで記録されている。大卒1年目としては、十分な活躍を見せたのではないだろうか。
 来季も長野で戦うことが決まり、より一層の期待が寄せられる。いち早くアウェイの地でもゴールを奪い、ホーム15得点&アウェイ5得点を達成し、長野をJ3優勝&J2昇格に導いて欲しい。

藤森亮志

出場試合数:21/34
出場時間:747分
成績:3G・0A
警告・退場:3・0
〈去就〉
契約更新(4年目)

 今季、サポーターの心に残る劇的なゴールを何度も決めた漢。そして、あの2020シーズンに加入し、昇格を間近で逃す悔しさも、全く歯が立たなかった昨季も知る県内出身選手。昨季終盤に大車輪の活躍を見せ、今季も活躍が期待された。

 シーズン前半戦はややチームスタイルの適応に苦しんだのか、ベンチ入りすらしない試合が目立った。しかし、後半戦は17試合中、16試合に出場した。そして、この後半戦でサポーターの心に残るゴールを決める。
 第17節のホーム宮崎戦で0-2の劣勢からひっくり返した3得点目。続く、第18節アウェイ讃岐戦では、今季初3連勝へ導く終盤の先制点。いずれも、今季の得点の中でも印象的なゴールだった。

 加入から間もない頃に注目を集めた超ロングスローを見ることは少なかったが、闘志溢れるドリブルで敵陣を切り裂く姿はまさに長野の切込隊長であった。個人的に、第23節アウェイいわき戦にて、藤森がPA内で倒された際の判定にはまだ納得がいっていない(笑)。
 来季も敵陣を切り裂くキレキレのドリブルから、パワフルシュートを打ち込んで欲しい。

 更に上のステージに上がるためには彼の成長も欠かせない。現状のドリブル精度に満足せず、対峙するDFに選択肢があることを匂わせ、より効果的な進入ができるようになることが望ましい。豊富な運動量もシュタルフイズムとの親和性は高く、来季も同ポジションの選手らと切磋琢磨し、チーム全体の攻撃精度を高めて欲しい。

小西陽向

出場試合数:4/34
出場時間:71分
成績:0G・1A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(4年目)

 長野にとって、初めて下部組織から輩出したトップチームの選手。昨季の終盤から徐々に出場時間を増やし、今季もピッチ上での活躍が期待された。

 シーズン序盤は、TRMでの得点者として活躍している印象が強かった。昨季と同様にWGでの活躍が期待されたが、森川・デューク・三田と実力者揃いのポジション。今季リーグ戦での出場&ベンチ入りは第10節が初めてだった。
 小柄な体格ながらも、第10節ホーム岐阜戦では値千金の逆転弾を呼び込むアシストを記録する。小西&山中というアカデミー出身選手の連携で生まれた逆転弾という素晴らしい得点だった。
 しかし、同試合で終盤にRWBを務めると相手FWに対応しきれず、被同点弾の起点となってしまった。今季から取り組んできたであろうポジションだったため、本人にとっても非常に悔しい結果となったはず。

 その後は、思うように出場機会を得ることができず。度々、途中出場でRWBを務めることが多かったが、目立った活躍は見られなかった。第10節の反省を活かし、守備で奮闘する姿が見られたのは良かった。
 ただ、持ち味であるドリブルを生かす場面には恵まれず。周囲とのスピードアップのタイミングを合わせることに苦しみ、攻撃の起点となる活躍は見られなかった。

 来季は加入して4年目のシーズンになる。ホームグロウン選手であるため、簡単に契約満了を出すことは考えにくい。しかし、大学進学を決めた同世代がプロ入りを決定する年代であるだけに、そろそろ結果や出場時間という形で貢献を見せたいところだ。

原田虹輝

出場試合数:6/34
出場時間:287分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
期限付移籍(川崎F→)→育成型期限付移籍(川崎F→)

 J王者である川崎からの期限付移籍ということで、サポーターから寄せられた期待は非常に大きかったのではないだろうか。昨季は鳥取に所属しており、J3経験があることも非常にプラスになる経歴であった。

 しかし、シーズン序盤は出場機会を得ることに苦戦する。リーグ戦で出場することはなく、長野の選手として初めて公式戦のピッチに立ったのは天皇杯長野県予選準決勝だった。途中出場ながらも、さすが昌平高育ち、さすが川崎の期待の星、その片鱗を感じる高い技術力を発揮して、勝利に貢献した。
 その後も天皇杯県予選で出場機会を獲得する。ただ、被決勝点の起点を与えるボールロストに関わるなど、悔しい試合になってしまった。同ポジションで出場機会を掴む佐藤や坪川と比べると、強度にやや不安がある点が気になるポイントであった。

 今季最終盤の第32節までは、度々ベンチ入りを果たしたが、試合終盤に中盤のリフレッシュを図って投入されることが多く、結果を残すことはできなかった。

 迎えた第32節、累積警告による佐藤の出場停止もあり、RSB/RWBとして先発起用される。シーズンを通して試験的に経験を積んできたというコンバートであり、勝利することはできなかったが、新たな可能性を感じさせた。
 360°あらゆる方向から圧力がかかるボランチに比べて、圧力の方向が限られるサイドでは得意の技術を遺憾無く発揮。強度という面でも、5バックの一員とすることで補うことに成功したように感じる。

 来季は契約方法が変わり、長野にとってややリスキーなレンタルになったが、残留が決まった。中央に活躍の場を戻すのか、SBとして新境地を開拓するのかにも注目して、彼の更なる活躍を見守っていきたい。

高橋耕平

出場試合数:1/34
出場時間:4分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 昨季は特別指定選手としてチームに加入。今季は、大卒一年目として正式にプロキャリアをスタートさせた。

 大卒一年目のシーズンは出場機会の獲得に苦しみ、出場試合は1つ、出場時間も4分と限られたものになった。しかし、彼をUスタで見た時、近年の長野にはいなかった線の太い選手であることがわかった。昨季も出場していたが、あんなにもゴツい身体だっただろうか。他の選手にない特徴を感じさせる体格なだけに、来季は更なる進化に期待したい。

 出場時間が十分でなく、特徴や改善点などは見受けられなかった。来季は再び横一線からのスタートになる。今季はRWBでの出場だったが、来季はどのポジションで定位置を掴み取るかに注目したい。

FW

宮本拓弥

出場試合数:29/34
出場時間:1,649分
成績:4G・2A
警告・退場:2・0
〈去就〉
期限付移籍期間満了→ヴァンラーレ八戸(完全移籍)

 シュタルフ監督と共闘経験のあるJ3での実績も十分なFW。期限付移籍という形でも加入させたという点に、指揮官からの厚い信頼が伺える。

 万年ストライカー不足、決定力不足と呼ばれる長野に新風を吹かせられるか注目が集まった。

 開幕戦のアウェイ北九州戦では、早速スタメン出場を果たす。恵まれた体格を生かしたポストプレーを武器に、長野のストロングであるWGを活かす起点として活躍した。また、今季の長野にとって初得点は、宮本のヘディングゴールだった。右サイドの崩しからのクロスに反応し、豪快に叩き込んでみせた。
 そして、契約上出場停止となる第2節のアウェイ藤枝戦を挟んで迎えた、第3節ホーム讃岐戦。PA外から右足を振り抜いてダメ押しの3点目を記録した。頭でも足でも、PA内でもPA外でも得点が取れる待ち望んだストライカーであった。

 しかし、その後は相手の執拗なマークもあり、ゴールからは遠ざかる。絶好のチャンスシーンを決めきれない場面が続き、"師匠"感が出てきた。それでも、第10節の岐阜戦では、独力で難しい体勢で得点を決めるなど、「それは決めるんかい」とサポーターのツッコミを誘った。

 同ポジションの山本が怪我から復帰し、復調の兆しを見せると、徐々に先発の機会を失っていった。得点以外の起点作りのタスクもあったわけだが、どうしても得点力以外での差別化ポイントを見出せなかった。
 基本的に山本ができることは宮本もできて、宮本ができることは山本もできる。こうなると、調子の良い点が取れる方が起用されるのは当然のことだ。

 所属元の藤枝はJ2昇格を果たしたが、本人は活躍の場を八戸に移すことになった。名将、石崎監督の元で再びJ3最高レベルのFWに返り咲けるだろうか。長野戦以外の活躍を期待したい。

佐野翼

出場試合数:14/34
出場時間:209分
成績:0G・0A
警告・退場:1・0
〈去就〉
契約満了→クリアソン新宿

 2020シーズン、全パルサポの驚愕を呼んだ彼の新加入リリース。前シーズン最終戦で、現役ラストマッチを迎えた明神に肘打ちを入れて一発退場。Uスタでの試合だったこともあり、当初の印象は決して良いものとは言えなかったはずだ。しかし、結果という形で信頼を勝ち取っていく。

 木村、吉田、岡とポジション争いを繰り広げながら、出場機会を増やしていく。どんな出場時間でも得点という結果を手にしてくる彼は、いつの間にか長野のジョーカー、ストライカーとしての輝きを放っていく。
 チーム内得点王の三田は約2700分で10ゴールを記録したが、彼は半分以下の約1300分で7ゴールを記録し、チーム内得点ランキング2位になった。
 昨季は終盤に出場時間を伸ばしたものの、シーズン通して定位置を掴むことはできず、2ゴールにとどまった。

 今季は更に出場時間を減少させ、得点を記録することはできなかった。1300分→800分→200分と徐々に活躍の機会を失い、宮本や山本の牙城を崩せなかったことは非常に残念であった。しかし、チームが得点不足に悩む時、サポーターが期待を寄せたFWは彼であることが多く、「あいつなら何とかしてくれる」という声が少なくなかった。

 結果には結び付かなかったかもしれないが、あの加入から、気づけばサポーターに愛される長野のFWになっていた。今季で長野とは契約満了となり、新天地を新宿に移すことになった。
 いち早く新天地が見つかったこともあり、彼の実力は、やはりどこでも認められる素晴らしいものであることを実感した。

 カテゴリーは異なるが、来季以降の活躍を祈っている。

高窪健人

出場試合数:0/34
出場時間:0分
成績:0G・0A
警告・退場:0・0
〈去就〉
育成型期限付移籍(→FC徳島)→期限付期間満了復帰

 大卒2年目の勝負のシーズンとなった今季。シーズン途中に四国リーグのFC徳島に活躍の場を移して、武者修行することになった。

 FWとしては、「試合に出てなんぼ、得点をとってなんぼ」というところがあるはずなので、活躍を求めながらも長野に戻る道を残してくれたことは嬉しかった。

 FC徳島では、シーズン途中加入ながらも、チームの四国サッカーリーグ優勝に貢献。7試合に出場して10得点を記録した。チームメイトの操選手の15得点に続いて、リーグ内得点ランキング2位となった。シーズン途中加入から、目に見える形でアピールできたことは素晴らしい活躍だったと言える。

 長野でも全く出場機会がなかったわけではなく、昨季は開幕戦でスタメン起用も経験している。ゴールの感覚を取り戻した彼が、来季は長野のエースとして躍動する姿を期待したい。
 また、12月27日現在で、「The 9番」タイプは、山本と高窪のみであり、このままの陣容で臨むことになれば、彼にとって大いにチャンスのあるシーズンになりそうである。

山本大貴

出場試合数:23/34
出場時間:1,531分
成績:9G・0A
警告・退場:2・0
〈去就〉
契約更新(2年目)

 今季のチーム内得点王。シーズン開幕は、怪我で出遅れたものの、チームにフィットしてからは怒涛のスピードでゴールを積み重ねていった。

 今季の攻撃陣の中では、圧倒的な得点力を誇った。1得点あたりに要した時間は170分程度。2試合に1点決められる計算である。彼が、シーズン最初から稼働できていれば、1点差のハラハラも少なくなったのではないかと考えてしまう。

 特徴は、ファーストタッチのしなやかさとDFラインの背後へ抜け出す駆け引き。今季は2列目で起用される機会もあり、ファーストタッチでの収まりの良さなどが非常に際立っていた印象。また、ファーストタッチというところで言うと、クロスに合わせる空中姿勢の美しさも素晴らしかった。どうやったら、あれだけヘディングを枠に飛ばせるのか。是非、他のFW陣にもレクチャーしていただきたいっ...。
 DFラインとの駆け引きも試合中止めることなく、配球がなくても絶妙なタイミングでの抜け出しを繰り返していた。だからこそ、ボールが来ない時の彼の要求姿勢にはFWの本能的な渇望を感じた。

 来季も契約を更新し、長野のエースとしての活躍が期待される。怪我なくシーズンを走り抜け、怒涛のゴールラッシュを記録してほしい。今季平均得点時間は170分なので、来季は最低限19得点。また、1分で2得点決めることも発覚してしまったため、1(分)×2(点)×90(分)×38(試合)=6840得点にも期待したい(笑)。

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