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【マッチプレビュー】2022 J3 第20節 AC長野パルセイロvsカターレ富山

正念場

 7月30日、因縁の地である讃岐で行われた一戦で劇的勝利を収めたパルセイロ。この結果を持って今季初の3連勝&5戦負けなしを達成した。決して簡単な試合ではなく、チャンスの数ではなく質を見れば、どちらに試合が転んでもおかしくない試合だったと言える。それでも、最後の笛まで勝利を、ゴールを目指し続けたパルセイロが意地で1得点し、勝点3を持ち帰った。
 そして、8月6日・7日の週末は基本的にJ3リーグの休み週だった。そのタイミングで未消化試合であった「FC今治vs Y.S.C.C.横浜」「いわきFCvs松本山雅FC」が行われた。FC今治は勝点3を掴み取って昇格戦線第2グループにぴたりとつける位置に戻った。そして、注目の首位決戦では、いわきFCの猛攻を凌ぎきった松本山雅FCという構図で勝点1を分け合う結果となった。

全クラブ消化試合揃う

 以上の画像のように首位決戦で勝敗がつかなかったことにより昇格戦線は更に混沌に進んだと思われる。昇格大本命グループのいわきFC・藤枝MYFC・鹿児島ユナイテッドFC・松本山雅FC。昇格戦線1.5列目のカターレ富山。虎視眈々と上位の足踏みを狙う第2グループの愛媛FC・AC長野パルセイロ・FC今治。順当に考えれば、今季の昇格は現段階でこの辺りのクラブに限られたはず。上位4クラブの勢いが凄まじいが、第2グループはそれぞれ現在地より上位を苦しめた経験がある。これを考慮すると、余計に昇格クラブがわからなくなってくる。
 我らがパルセイロはこの休み期間の間にコロナウィルス罹患者や濃厚接触者が増加。8月11日12:00現在、陽性者4名、濃厚接触者2名が発表されている。現状のフルスカッドのサイズは29名、6名がメンバー入りできないと考えると23名でトレーニングと試合を行わなくてはならない。GKが何人関係しているかにもよるが、非常に大きな影響であることは間違いない。しかし、他クラブも同じ条件で何とか乗り越えてきた。『ORANGEの志』として"One Team"が試される正念場と言えるだろう。

通算対戦成績

 昨季までの対戦成績は、パルセイロから見てJ3通算6勝4分5敗だったが、前半戦で敗れたことにより6勝4分6敗の完全五分となった。昨季はホーム→アウェイという流れにおいて、4-0→0-3と天国と地獄を見た対戦相手。その流れを踏襲するのであれば、今季はアウェイ→ホームの流れなので、0-1→「?-?」…。とにかく必要なことは、シーズンダブルをされないこと。そして、当然引き分けで良しではなく、勝点3をホームで掴むということである。
 2015シーズンからの長い付き合いだが、今節の結果次第ではどちらかが再び一歩通算成績で有利にすることができる。過去のチームと現在のチームは全く違うかもしれないが、何かのDNAは繋がっているはず。そうでなければ、2020シーズンの最終戦…なんてことは起きないはずなのである。どんなジンクス・験を担いででも勝たなくてはならない。そして、カターレ富山もJ3でパルセイロに対してシーズンダブルを達成したことはない。お互いに勝点を削りあってきたライバルだからこそ、この一戦における勝点3の持つ意味は非常に大きい。上位4クラブに割って入るためには、お互いに負けられないどころではなく、勝たなくてはならない一戦となる。
 そして、パルセイロは直近5試合負けなしということもあり、最後に敗れたカターレ富山には何としても勝利したい。

今季これまでの両クラブ

第19節終了時点(消化試合数一致)

AC長野パルセイロ

 まずはホームチームのAC長野パルセイロ。今季19試合を消化して9勝6分4敗で勝点33、暫定7位に位置している。

順位推移表

 前節のカマタマーレ讃岐戦も勝利で飾ったことにより、今季初の3連勝を達成、勢いは十分と言える。7月に行われた5試合で4勝1分と徐々に調子を上げている様子を見せ、この勢いが上位陣にも通用するのか試す機会にもなるだろう。また、直近の負けなし期間の順位推移に目を向けてみてほしい。第15節の勝利でこそ順位は上がっているが、それ以降は引き分けの第16節ではランクダウン。3連勝の期間では変動なし。上位陣との貯金が狭くなってきてはいるものの、大崩れするようなクラブが出てきていないことから連勝しても順位を上げられていないのが現状である。逆に引き分けですら現状維持ではなく後退を意味する激戦区に身を投じています。
 コロナウィルス罹患者や濃厚接触者が増加していても、自力で上位の勝点を削る今節のようなチャンスを逃すわけにはいかない。カターレ富山の勝点は36、パルセイロの勝点は33。勝利することができれば、勝点で並ぶことができる重要な6ポイントゲームである。他会場の結果次第では、勝利しても順位変動がない場合もあるが、順位表に映らない勢いを手にすることも重要な昇格に向けたファクターになっていくだろう。

カターレ富山

 次にアウェイチームのカターレ富山。今季19試合を消化して11勝3分5敗で勝点36、暫定5位に位置している。

順位推移表

 特筆すべきは、やはり第9節〜第14節までのウノゼロによる6連勝だろう。鹿児島ユナイテッドFC・いわきFC・松本山雅FCの貯金に迫る勢いで昇格争いを猛追した。しかし、7月に入って行われた福島ユナイテッドFC戦で引き分け、松本山雅FCとの上位直接対決で惜しくも敗れた。その後のヴァンラーレ八戸戦とY.S.C.C.横浜戦は下位相手にしっかりと勝点3を積み上げた。ただ、藤枝MYFCが勝ち続けたことで、上位3クラブに割って入ったためカターレ富山は順位を1つ落とした。
 前節のいわきFC戦では、コロナ感染の影響でベンチ登録人数が1人少ないながらも1-1のドロー。先制しただけに勝点3を手にしたかったと思うが、スクランブルの中首位チームから勝点を削った点に関しては、流石の強さだと言える。
 今節、2点差以上でパルセイロに敗れると順位が入れ替わる。愛媛FCがガイナーレ鳥取に勝つと、最大で2つ順位が下がる。次節は愛媛FCとの直接対決も控えており、まずは今節の勝点3を是が非でも奪りにくるだろう。

今節の注目選手

※当該選手の出場を保証するものではありません。

AC長野パルセイロ

 AC長野パルセイロの注目選手には、藤森亮志を挙げる。
 第18節、第19節ともにチームに勝点3を持たらした張本人。2021シーズン終盤は、ゴールへの強烈な執着心を感じさせる力強いドリブルからパワフルな左足で相手ゴールを強襲する活躍が印象的だった。また、出身高校である上田西サッカーを彷彿とさせるロングスローも持ち味で、パルセイロにとっては松原優吉選手以来のロングスロワーという強みも兼ね備える。
 そんな彼が前節、前々節と勝負を決めたのは"頭"。現スカッドの中で、元々目立つ特徴のあった彼が新たな武器を見せたのである。どちらのゴールも根底にあるのは、得点への執着心。2試合連続チームを救う活躍を見せたヒーローに期待を寄せないわけにはいかない。

カターレ富山

 カターレ富山の注目選手には、大野耀平選手を挙げる。
 パルセイロの藤森が新星ヒーローとすれば、大野選手はシーズンを通して、チームを救い"続けている"ベテランヒーローと言える。今季これまで7得点を既に決めており、得点数という観点だけでもヒーローと呼べるが、彼の凄さはそれだけではない。
 彼の凄さの本質は、1得点あたりの出場時間にある。大野選手は、1得点あたり59分の出場となっている。今季J3で5得点以上を決めた選手の中では、圧倒的に1得点あたりの出場時間が少ない。ランキング2位の選手が1得点あたり135分の出場であることから、彼の得点能力の高さと試合を決定づける力を推し測ることができる。
 川西選手、吉平選手、マテウス選手といった出場時間の長いFWも当然脅威だが、大野選手、高橋選手といった少ない時間でも試合の流れを変えられるFWはそれ以上に脅威である。シーズンダブルをされないためにも、パルセイロはそれぞれキャラクターのあるFWを封じ込めなければならない。

試合の注目ポイント

メンバー構成

 今節は、ホームチームとアウェイチームでコロナ感染による影響差が明確にある。ホームチームのパルセイロは、陽性者と濃厚接触者合わせて6名いることが8月11日時点で判明している。一方、カターレ富山は第19節のいわきFC戦をメンバー登録が17人/18人の状態で戦い抜いた後、無事に復帰し怪我人関係以外では万全の状態で臨めるはず。
 両チームの陣容は2週間前の第19節から大きな変更がある可能性もあり、第14節の前回対戦時とも大きく変わる可能性もある。パルセイロとしては、コロナ感染と向き合いながら無事なメンバーで勝点3を目指す以外に道はない。戦い方のスタイルを大きく変更することはないと思うが、選手の特長を生かす指揮が強みのシュタルフ監督の采配に注目したい。
 前回対戦では、前半立ち上がりからカターレ富山の守備に苦しみ、流れを握られた中のワンチャンスを決められて敗戦。雷雨による中断後は明らかにパルセイロが主導権を握る展開だっただけに、登録できるメンバーでどれだけ前回対戦のようなチャンス創出ができるかも勝敗を左右するだろう。

まとめ

 ここまで2022 J3 第20節 AC長野パルセイロvsカターレ富山のマッチプレビューを書いた。
 両チームの勝点差は僅かに3。得失点差もカターレ富山が3上回っている。パルセイロは、万全なメンバー構成を組めないかもしれないが、この"3"という差を乗り越えて勝点3を掴み、順位表の上へ上へと一歩一歩駆け上がってほしい。一方のカターレ富山は、パルセイロ→愛媛FCという直接対決2連戦となる。昇格争いのライバルを自ら蹴落とす好機で、相手に迫られるわけにはいかないだろう。
 上位4チームに離されないために、お互いが勝点3を求めた熱い戦いに期待する。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。


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