見出し画像

企業間の持ち合い株(政策保有株)の推移をまとめてみた

上場企業の持ち合い株(政策保有株)について集計をまとめてみましたので、その推移について紹介したいと思います。2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂によって、上場企業の持ち合い株(政策保有株)に対する開示義務が拡大されました。2019年3月期の開示から、開示義務にあたる保有銘柄数が大幅に拡大されたことで、各企業のより具体的な保有銘柄の実態もわかるようになりました。

持ち合いの問題点はいくつか指摘されています。保有する対象が多いと、得られるリターンは本業の事業活動で得られるではずの利益よりもリターンが低いと考えられることから、株主資本の有効活用の点で問題があるとされます。

また、逆の立場で株主に占める持ち合い株が多い場合で考えると、モノを言わない安定的な株主が増えすぎることで、本来機能するはずの株主によるガバナンス不全を起こし、少数株主の意見が妨げられるという問題があります。

今回過去からの推移をみるために、2012年から全上場企業の有価証券報告書を確認、全企業の総保有額(貸借対照表計上額の合計)の推移を折れ線グラフにまとめました。全上場企業が保有する持ち合い株(政策保有株)の時価総額の合計を青線で、市場全体の時価総額の合計を赤線で、政策保有株の市場占有率をグレーの線で示しています。結果は以下の通りです。

画像1

市場全体の時価総額は基本的に上り基調ですが、青の政策保有株の総額は横ばいになっています。特にグレーの線(占有率)に着目すると、市場全体に占める持ち合い株(政策保有株)は減少傾向であることがわかります。このことから開示義務の強化と株高も手伝い、企業間の持ち合いは解消に向かっていることが確認できます。

各社が保有している銘柄などの詳しい情報は、別に集計を行い、別の媒体で紹介しています。保有する政策保有株式が多い会社(株持ち企業)、逆に保有する政策保有株が少ない会社、たくさんの会社から保有されている会社についてご興味があれば、以下のURLよりご覧いただければと思います。

・株持ち企業ランキング(持ち合い株の多い会社) 東洋経済オンライン
・たくさんの企業に株を持たれている会社ランキング 四季報オンライン
持ち合い株の少ない会社ランキング 四季報オンライン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?