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新型コロナによる病院経営の悪化が、私立大学の経営にも影響を与えるか

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、病院の経営状況が悪化することが懸念されています。感染者を受け入れると、病室を確保したり、新規患者の受け入れを制限せねばならず、効率が悪化することが影響しています。また、普段は検診や定期検査などに通う患者も、自らが感染することを恐れて、病院へ行くことを控えていることも影響していると考えられます。

私立大学の収入に占める医療収入の割合は?

では、私立大学の収入面で、病院経営がどの程度の比重を占めているのでしょうか。医療収入が大きな私立大学に注目。一般企業でいうPL・事業活動収支計算書をもとに、実態をまとめてみました。教育活動の収支差額とは、企業でいう本業部分、営業収支にあたるのでこの損益をみれば、本業である大学教育・研究・診察にかかる収支がわかります。データは2019年3月期の決算でまとめているので、新型コロナの影響がない状態の実力値がわかります。各数値の単位は百万円単位で計算しています。

結果をまとめると以下のようになります。

医療比率

例年通りでも教育収支は赤字の場合も

医学系の私立大学を中心に、教育活動収入のうち90%以上を病院収入に依存する大学もあるほか、有名な総合大学でも3割以上を依存していることがわかります。例年通りの病院経営を続けていても、教育収支段階ではマイナスとなっている大学が多くあることがわかります。もちろん、配当金などの教育活動外の収支や資産売却等の特別収支を含めると、大学経営全体では黒字化しているケースもあります。

新型コロナの患者受け入れによる収入減と、追加コストが発生が確実と考えられる今年は、例年以上に収支が悪化するでしょう。私立大学の全体の経営を考える上でも、深刻な影響があることが懸念されます。

大学の経営実態を分析したい方は、私立大学の財政状況をまとめた、東洋経済新報社の私立大学財政データが便利です。ご活用ください。

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