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古代ローマから続くイタリア人の食事風景

「イタリアでは、料理店でも家庭で食べるようなものを出しているんですか」そんな質問が、若手料理人から出たことがある。そういえば、日本の料理店は、寿司屋、鰻屋、蕎麦屋、天麩羅屋、和食などみんなその道のプロが作っていて、家庭料理が出るのは定食屋くらいのものだ。 

一方イタリアでは、中華料理などの外国料理を除けば、ほとんどが家庭でも作っているようなものを出している。わざわざ外に食べに行くんだったら、家庭ではできないプロの味を楽しみに行けばいいものを・・・と日本人の私たちは思ってしまうが、よくよく考えてみると、イタリア人の食に対する考え方が違うんじゃないかしらと気が付く。

パスタ10

例えば、日本での食前の言葉は「いただきます」―それはおそらく天から与えられた食事に対する感謝の気持ち。ところがイタリアではBuon appetito、直訳すれば「よい食欲を」という事で、お互いの顔を見ながら「これから一緒に楽しい食事をしましょう」という感じになるのだ。この一言から見ても、イタリア人の食は、社交に重きが置かれているんじゃないかしら。

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