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細いリング

細くて華奢な指輪が好きだ。

もともと、指輪とか、ブレスレットとかはあまり好きではなかった。わたしはタイピングとか、料理とか、文字を書くとかの手を使う作業が好きなので、手元が重たくなるとなんだか気分まで憂鬱になるのだ。  

あるとき、アクセサリーの展示会に行くことがあった。目当ては、少し前になくした指輪だった。気づいたら無くしていて、でも気に入っていたからなんとか買いなおしたくて、そのブランドが出展するというイベントに向かったのだ。

残念ながらイベントでは目当ての指輪は見つからなかったけれども、展示会というだけあってどのブースもあらゆるサイズをおいている。それまでわたしは店頭で見つけた指輪を試して、指に入れば買う、というなんとも雑な買い物をしていた。
けれども、その展示会ではじめて、自分の指のサイズにぴたりと合う指輪を選ぶという経験をした。
 
指輪はサイズが肝心なのだ。ぴたりとはまった指輪は、つけていることを忘れるくらい、しっくりとくるつけ心地なのだと、そのときはじめて知った。 
特に華奢でシンプルな指輪は生活を邪魔しない。つけていないも同然のそのつけ心地と、細さからくる繊細な美しさに惹かれ、わたしはすっかり細いリングが大好きになった。
 
今では細いリングをいくつか持っていて、いろいろな指につけて日々楽しんでいる。

生活を邪魔しない、けれども時々きらりと光る細いリングは、手元に彩りを与えてくれている。

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