20190605歌舞伎座『月光露針路日本』

実は、最近古典歌舞伎を研究中で、隙あらば歌舞伎座に通っている。

若いとき高く感じた敷居も歳をとるにつれて、
いつのまにか気にならなくなり、ヨレヨレのTシャツにチノパン・スニーカーで行くのが恥ずかしくなくなったのだ。
もちろん着飾ってテンション上げて歌舞伎座に行くこともエンタテインメントの一つの楽しみ方だから否定はしないが、ともかく数を見ることが大切かなと今は思っている。
で、見てからその演目の歴史とか、演出手法を勉強することにしているのだ。実際、昔のテレビの世界は他のエンタメからいろいろ頂いて生かしてきた歴史があるし、我らが尊敬すべき先輩井原高志さんは、ブロードウエイの舞台を見ながら、真っ暗の客席で指ひとつ分の改行をしながら気がついたことをノートにメモを取っていたという逸話があるくらいだ。

そんな歌舞伎研究を始めたばかりの僕も
昨年末こんな発表があったなんてちっとも知らず

歌舞伎座の裏看板で三谷幸喜が13年ぶりに歌舞伎を書き、初めて歌舞伎座で演ると知った。

びっくりした!
と同時にやっと歌舞伎座に上がるのかとワクワクした。
タイミングよく歌舞伎の勉強を始めていたから理解して見られるかもと!
13年前、仕事が忙しくて見逃してしまった『決戦!高田馬場』(歌舞伎のタイトルは漢字奇数文字で作られる決まりがあってビックリマークを入れたとのこと)の二の舞いはごめんということで

観ましたよ

すごかったです

三谷さんの歌舞伎愛の結果なのか、周りが歌舞伎であることを伝えていったの成果なのか、門外漢の僕には計り知れませんが、改めて古典研究の一助になりました。

現時点でネタバレも憂慮されますし、舞台の魅力を舞台外から伝えることはできないと思っておりますので、詳細について言及するのは避けますが、若き日、NHK大河ドラマ『黄金の日々』で六代目市川染五郎の虜になり

その熱を持ってプロになってから『王様のレストラン』を書き千石武役で九代目松本幸四郎を担ぎ出した三谷幸喜が

当代松本幸四郎をあそこまで盛り上げる脚本を書いて、歌舞伎座に登ったというこの壮大なゴッドファーザー顔負けのサーガ!これこそまさに歌舞伎の醍醐味と実感した次第であります。

演出的には話題になっている第2幕の犬は、もちろん見世物として面白かったですけど、あえて皆さんが言及していないところをオススメしておくと第3幕別れのシーンにおける竹本は数ある伝説のロックコンサートに勝るとも劣らないシャウトっぷりでした

涙だーーーっ出ましたもの


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