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真昼の遊霊

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学校の文芸部で書いた作品を掲載しています。各作品の製作制限時間は10分です。さあ、続きを書きましょう。
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記事一覧

私は考える〇〇である。

『人間は考える葦である』とはよく言ったものだが、私は葦とも言い得ないような人間であるよう…

大蒜
3年前
3

行列

廃ホテルから出てきた彼らは、葬列に並ぶ人たちのように悲しみにくれ、そうしてフラフラと前に…

ながめ
3年前
7

長い夜に

秋という季節が好きだ。 夜が長いからだ。そうして冬みたいに寒くない。 朝は苦手だから夜は…

ながめ
3年前
9

生誕祭

空が落ちてくる。 大地が浮かび上がる。 ぼくのせいだろうか。 ラッパ吹きの天使がもうすぐ…

ながめ
3年前
5

秋を混ぜては

美術館前のあの噴水には、もう色付いた落ち葉が浮かんでいる。 ここから見える銀杏並木の山吹…

ながめ
3年前
13

ピンクの夕焼け

春先だろうか、夕焼けが赤く染まるのではなくあたり一面ピンク色に見えるときがあるだろう。私…

大蒜
3年前
5

ケーキを焼いて

あなたがやって来たのは、ちょうど私があなたのためのケーキに粉砂糖を振りかけようとしていた時だった。 玄関の方から急に声がしたから、私は粉砂糖を勢いよくふるってしまった。 キッチンには風に乗って砂糖が舞う。 手土産の紅茶を持ってきたあなたはいい匂いだと言う。 そうやってあなたと話していると、風に乗った粉砂糖が口に入って、なんだか空気が甘く感じる。 このことを知っているのは私だけ。 だから私はひとりでクスクスと笑う。 それを見て不思議そうにするあなたのことも。

あくび

読経の声が聞こえる。 木魚の音が響く。 仏像が輝く。 その繰り返し。 今日は祖父の三周忌…

catchman_371
3年前
6

有り余る暇

今年度も半分終わってしまいましたがいかがお過ごしでしょうか。 僕は学校にも行けず、バイト…

大蒜
3年前
3

好きなにおい

誰しもが「好きなにおい」と聞いて思い浮かべる匂いがあると思いますが僕の場合それはパン屋さ…

大蒜
3年前
6

ゴーストへ

彼にダイヤモンドをあげた。 透明なキラキラしたダイヤモンドをあげた。 彼は喜んで受け取ろ…

ながめ
3年前
6

林檎のお話

あかい。まるい。おおきい。うまい。「あまおう」である。はたしてこれは本当にイチゴを指す形…

大蒜
3年前
4

煙草

タイトル通り煙草について書きます。 こんなのを書くくらいだからもちろん僕も喫煙者なんです…

大蒜
3年前
5

ミルク色で満たして

ここ数日読んだ、何冊かの本の中に冷めたコーヒーを飲み干す描写があった。 依頼人と探偵の間に用意されたコーヒー、別れ話をするカップルの間にあるコーヒー。 場所も喫茶店であったり、探偵事務所であったり、誰かのキッチンであったり色々だった。 私の話をすると、私ってコーヒー苦手なんだよね。 匂いは好きだし、飲んでいる大人もかっこいいと思うけど、あの苦味は苦手かな。 多分冷めたコーヒーの描写は時間の経過だったり、張り詰めた空気感を出すためにあるんだと思う。 でも、私はコーヒ