柏木怪異譚 棲むもの 参
3人分のお茶を注ぎ終えると、冬崎くんはテーブルの向かいへと座った。私の背後には襖を隔てて、先ほど通ってきた長い廊下がある。
わずかな沈黙の間私は昨日見た夢のことを思い出していた。どこかの部屋でモンキチョウが飛んでいる。その部屋は光が差し込んでいるのに、どこか暗くてそして冷たかった。不思議なことにその部屋の中には、入り口のドアとは別にドアがついている。
そのドアの方へ蝶は飛んでいき、すり抜けて行ってしまった。だから、私も追いかけようとしたのだ。すると、後ろから誰かに手をひか