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130:笑顔の仮面|人生#008

・毎日の鬱備忘録を生み出す思考回路の原体験。
・前回。


・中学卒業~高校入学前の春休み、このまま薄暗い檻の中にいるような生活を続けていて良いのだろうか、とずっと悩んでいた。
・どうしたらここから抜け出せるかだろうか?このまま曇り空の人生で良いのか?ずっとそんなことを考えていた。

***

・中学を転校してからは学校をサボることが増え、もちろん勉強などまるでしていなかったので、高校への受験勉強を始める時の中学3年生の夏頃に行われた三者面談では「君の学力だったらここを目指した方が良いだろうね」と担任に偏差値40くらいの高校をお勧めされた。
・反骨精神はなぜか人一倍あり、兄は偏差値70近い私立高校に通っていたので、さすがに悔しいと思い自分なりに勉強して偏差値55くらいの自称進学校みたいな高校に入学した。

・その時点での家計としては自分は私立高校に通えるはずがなかったので、その高校に不合格となれば晴れて中卒となっていた。
・今考えたらよくあんな危ない橋渡ったなと思っている。

・もちろん、高校入学後すぐにあったテストでは280人いた同学年の中で270位という素晴らしい成績を叩き出した。

***

・中学を卒業する時、その中学生活で何も残らなかったことにひどく寂しさを覚えた僕は、高校生活をどう充実させるかに躍起になっていた。
・小さなころから親にさせられ12年間も続けていたピアノをする環境もなくなり、10年間続けたサッカーにも中学の部活引退時に終止符を打つことに決めた僕は、それまで当たり前にしていた生活の大半を占めていた時間がなくなったので、その時間は何をしたら良いのだろうと思っていた。

・というのはカッコよい理由でそのようなことも当時一応考えてはいたものの、その頃はオタクを拗らせすぎていたので、ライトノベルやアニメ・ゲームの主人公のような生活が送りたいと純粋に思っていた。
・『バカとテストと召喚獣』『とらドラ!』『僕は友達が少ない』『物語シリーズ』などの主人公になるためにはどうしたら良いだろうと思っていた。
・『アマガミ』の橘純一になりたかった。

・もともと根暗で内気な性分なので(だからこそオタクを拗らせたのだろうが)、なぜか魅力的なヒロインが多数いる上述のような物語の主人公には絶対になれるはずもなかった自分は、まずは友達が欲しいなと思った。
・中学を転校した時にすべての友人関係の縁は切れていたし、転校後の中学も不良ばかりだったので特に仲の良い友人は高校入学時点ではいなかった。

・友を作るためには話しやすい人物にならなければいけないかなと思った。
・話しやすい人物は基本明るい。自分は根暗だから急に明るくなることはできない。

・ということで考えた策は、無理やりでも良いので「笑顔を顔面に貼り付けること」であった。

***

・「基本笑顔でいる」「話す時はとりあえず口角を上げる」ことを徹底して意識した。
・人と話すのもへたくそで、それは何度も回数を重ねて慣れていくしかないと思っていたが、とりあえず笑顔でいれば話しかけにくいオーラみたいなものは出ないだろう。

・最初のうちは頬が筋肉痛になるという意味のわからない事象に出くわしていたが、それも次第に慣れた。
・慣れていない頃は引き攣っていただろうが、徐々に自然な笑顔を出せるようになった。

・そうしたら友達がそこそこできた。
・放課後一緒に帰ったりカラオケにいったりボウリングをしたり無駄に駅で駄弁ったり。
・はじめての彼女もできた。わりとすぐに別れたが。

・なるほど、笑顔でいることは得策だったなと思った僕は、それ以来今に至るまで基本笑顔でいることを心掛けている。
・今ではそれがスタンダードなので、貼り付けているわけではなく自然と心から笑顔が出る。

・曇り空だった人生に、晴れ間が差した。

***

・親から与えられたものでもなく、自分なりの人生を考えたときの最初の一歩目は笑顔だった。
・今では「良い笑顔をすることが多い」と褒められることも多々あるのだが、それは意識的に笑顔でいることを心掛けた時期があったからだろうと思っているので、自分の頑張った結果が人間性となって表れていることに喜びを感じている。

・と、あたかも素晴らしいライフハックを紹介するかのようなノリで綴っているが、高校で最初に出来た友達との共通項は『アイドルマスター』の話題だった。

・とにかく、中学以前と高校以降で世界の捉え方はだいぶ変わった。
・人生の分岐点はどこか、と問われたら高校入学時と答えるだろう。


・次回

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